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ぼくはゆっくりと朝食を食べたら、学ランに着替えた。外は今日も雪がしんしんと降っていて、とても静かだった。
静かな日だな。
でも、何かよくないことが起きそうな感じがする。
胸騒ぎがしてくるんだ……。
魔族の襲撃??
まさかね。
祭りの警護はしっかりしているっていうし。
たぶん、大丈夫だろう。
「あの勇者さま。なんというか……変わった服装ですね。その異世界の服?」
「ああ、でも。前のぼくはいつも着ていたんだ……」
あ、でも。
なんだか、前のぼくはこの服を着るのが、とても嫌だったみたいだ……。
不思議な気分だ……。
この服。
カッコイイのにな……。
「さてさて、勇者さまもお着替えになられましたし。しばらくしたら、お外へとご一緒しましょう。もう、広場ではお祭りの騒ぎが聞こえるそうですよ。みんな浮かれているようで、何よりですね。ふぅー、みんな……いいですねえ。羨ましい……あ、コホン!」
コーリアは咳払いを一つしてから、話を切り替えた。どうやら、コーリアも祭りに行きたいのだろう。
「それまで、私は客間の掃除をしていますね」
「うん……あ、そうだ」
「はい?」
「コーリアは祭りにはいかないの?」
「ええ。私はこの客間の台所を守るという義務がありますから」
「はあ……」
「まあ……祭りは夜までやっていると思うんだ。行きたければ行ってみればいいんじゃない?」
「……」
「じゃ、もう行こうよ。あ、ライラックさんは?」
「自室に今も籠っていますよ……もう、戦わないそうです」
「そうか……仕方ないよね」
ぼくたちは、ライラックさんが自室にこもっているので、勝手にトルメル建国記念祭へと向かった。