表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/21

18

 前方の真っ白な森林から、風を切るような速さで、耳を塞ぎたくなるような大量の蝿の羽音が迫り来る。地震と同じくらいの凄まじい揺れと共に、獣の群れの駆ける足音が近づいてきた。蝿と獣の大軍が近づくにつれ、徐々に森林からの腐敗臭が強くなりだした。


 ぼくは、急いで森林の中央目掛けて、さっき覚えた技を使おうとした。


 そうだ。この技の名前は鋼雲剣……。 


 何故か記憶の奥底からそんな名前がでてきた。


 森林から大軍のギラギラした目をした蝿と獣の姿が現れた。


 このままだと、城が崩壊する。


 ぼくは剣を大きく振り上げて、頭上から振り下ろす。白い森林の大地にありったけの剣圧をぶつけた。


 その剣圧に耐えきれずに、大爆発した地面はそのまま土や草をたまらず大空へと吐き出した。同時に、地面に叩きつけられて怒った剣圧が弾けて、光の矢となって、四方へ飛ぶ。


 森林の形が大きく変わった。


 草木は空へと根っこごとふっ飛び、続けて剣を振り下ろすと、大地が陥没し。そして、噴きあがる。


 獣と蝿は破裂した大地に巻き込まれるか、光の矢で串刺しになった。


…………


「そんな……」


 だけど、森林を覆う大軍には効かなかった。まるで、そよ風が蟻の大軍に吹き去った程だったのだろう。


 足腰が、ガクガクと震えて仕方がないというのに、それでも大勢の蝿や獣がぼくの脇を猛スピードで素通りしていく。


 これが……魔族の実力なのか……。


「あのなあ、だから言っただろ。いくら鬼窪王よりも強い素質を持っているっていっても、人間には疲れというものがあるんだぞ」

「あ、ああ……」

「でもな、秋野がこんなに強い意志を持っているなんて初めて知ったぞ。よーっし、ここは私が!」

「え?」

「うりゃー! 瞬間的強制休憩時間だ! 回復しろ!!」

「ええーー??」 


 宗教服の少女が両手の掌をぼくの方にかざした。

 すると、ぼくの身体は突然疲れが吹っ飛んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ