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 トルメル城とは比べものにならないほど、白く広い無人の城下町。その城下町から中央にある一本の道路で、白い城へと繋がっている。城下町の林立する様々な図書館や市場、屋台、噴水広場、本屋や民家などの建物は、どれも空虚で平坦だった。


 まるで、元々人が住めないような作りだ。

 形だけの城下町なんだ。


 だけど、ここからよく見える巨大な白い城は、無数の黒くて大きな蝿の羽音がここまで鳴っていた。複数の黒い獣の遠吠えもとても不気味に聞こえている。まるで、白い城に真っ黒な動く浮腫ができて、真っ黒な獣がその中身を警備しているようだった。


「あの白い城……前に見たことがあるんだ。確か、サンピエトロ大聖堂やベルサイユ宮殿のようなバロック様式だ。……うん???」


 どこで見たんだろう?


 ぼくは、こんなところは知らない。


「それにとても臭いな……」

 

 見たところ。白い王国は白い腐敗は起きていないようだ。腐っていないんだね。それにしても、さて、どうやって、攻略しよう?


 また、正面から特攻して爆発する剣技での攻撃もいいかもな。


 ぼくがそう考えていると、ここから南の方角のお城の城門が開いて、白い城から一本道の道路をおびただしい数の大きな蝿や獣たちが、ぞろぞろと移動してきた。


 まるで、遠征だ。


「あ、あれ? あっちの方角には?!」


 そして、蝿や獣は物凄い速さで動いていた。


「間違いない!! ぼくが元来た道を通っているんだ!!」


 あっという間に、蝿や獣たちは遥か彼方まで、吹雪の中へと消えては雪の止んだ道に現れ、一直線にトルメル城を目指していた。 

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