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ビュウビュウとした吹雪の中。寒さが身を凍らしてきた。
「だいぶ。北へ来たぞ……」
ぼくは、トルメル城からすでに十キロまでを、走り通していた。でも、疲れていない。ぼくの身体は、一体どうしてしまったのだろう?
ぼくは、まだ、館を目指しているのだろうか?
それとも、また大きな蝿を倒そうとしているのだろうか?
強力なものはどんな姿なのだろう?
吹雪が更に増す。
前が真っ白になってきた。
急に坂を上がると、白い世界が開けた。
「城があるぞ……大きいなあ……いや、これは?!」
そこには、凄まじい蝿の羽音と獣が蔓延る。真っ白な王国があった。