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10/21

 広場の入り口の途中で、コーリアが帰るとぼくは一人だけで、トルメル建国記念祭の白い花だけで飾ってあるアーチを通った。


「あーー!! 勇者さまだ!! その服装ーーー!! 勇者さまよね!!」


 小さな女の子がぼくに気が付いて、傍へと駆けて来た。


 え?!

 な、何??


 え?? 学ラン引っ張るなよ?!


 何故?


 ぼくを勇者って呼ぶのは、コーリアしかいないはずなのに??


 そして、ぼくの手を握ると、ぶんぶんと元気いっぱいに降りだした。ニッコリと笑った顔は底抜けに明るかった。それから、他の小さな子供たちまでもが集まってきてしまった。


 困り果てたぼくは、笑顔を無理にでも作り、密かにこの祭りの角へとゆっくり歩いて行った。だが、それがいけなかった。祭りの角は親たちのたまり場の一つになっていて、今度は大人の男や女たちが集まってきてしまった。


 この世界の中世のような服装を着ている人たちは、ぼくの顔を一目見たいと思っているのだろう。あるものは、マジマジと見つめ。あるものは、にこやかにぼくを見つめていた。


 どの顔も、ぼくに多大な期待を宿した目をしている。


「おい! この手の模様見てみろよ! 勇者さまだよ!! 正真正銘のトルメルの勇者さまだ!!」


 あ!!


 ぼくの手が?!


 いつの間にか、大男に、ぼくの手をがっしりと握られてしまい。天高く挙げられる。一瞬にして、みんなの間で大歓声が上がった。


 ぼくはどうしていいのか。

 混乱する。


 う、恥ずかしいというより。

 困っていた。

 ふらふらするほどの眩暈が……?!


 いや、嬉しいは嬉しいんだけど!!

 な……なんか、クラクラとしてきたぞ……。 


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