第06話 「私のマル秘世界救世計画その②」
深海層の海水を浅海層へと循環させる方法について、シーグリッド先生と再度話し合ってみた。
私自身の構想としては、底の部分に開閉する仕掛けを付けた深海まで届くパイプ状のものを、海面に設置した浮きに鎖などで吊り下げるというものだ。
海面が波などで上下すれば、設置してあるそれらも上下動する。
その際、上に全体が引っ張られれば、水圧によりパイプの底部に付けたシャッターが閉まり、逆に下に沈めばシャッターが開く仕掛けにする。
そうすれば、何度も上下を繰り返していれば、やがて深海層の海水が強制的に上層に汲み上げられるという仕掛けである。
これらの仕掛けを、先生に図面を描いて説明してみたのだが、早速駄目出しをされてしまった。
先生の説明によれば、この装置を稼働させるのなら全体を出来るだけ軽量化しなければならない。
でなければ慣性がおおきすぎて、波による海面の上下動に、海中部分にあるパイプがその動きに追従出来なくなるというのだ。
また、浮きに吊り下げられるパイプ部分は、長い間海水に曝される事を前提とした、耐久性の高い材質を使わなければならないが、そんな軽量化と耐久性二つの要素を兼ね備えた材質というのが現状では未だ無いというのだ。
ががーん!
そういえば、このアイデアの元ネタになったディスカリバーチャンネル?だったっけ?とにかくその番組での実験では、パイプにポリ塩化ビニール使ってたけど、何ヶ月か経って実験結果を調べに行ったら、やっぱり破れてたなぁ。
実験結果だけいえば、その装置周辺の海面の二酸化炭素濃度が減少してたとかで、成功だったと言ってたけど……やっぱTVだし信用出来るか不安になってきた……。
「とりあえずこの海水循環装置とでも言えばいいんですか?これに関しては私の研究室で学生に研究させましょう。」
「え!?いいんですか?学生をそんな私ごとに使っちゃって?」
「大学というのは学生達を教え導くとこですからね。研究テーマとしては面白いし、学生達に対する良い課題になるから問題ないですよ。ただ、この装置完成したとして、海まで持っていって設置するには、労力が絶対的に足りないですね。」
う~む……やはり労力となるゴーレムの開発は必須という事か……。
それも運搬に適したものと、装置の組み立てや設置に適したもの、複数必要っと。
「じゃあ私の方はゴーレム錬成の研究の方をすすめます。どうも何やるにせよ労力となるゴーレムは必須になりそうですから。」
「それはいいけどゴーレムの製作の材料なんか、あてはあるの?」
しまった!それは盲点だった……。
「いまのところ未だあてはありませんが、実証用として小型の物を先ず製作する予定なんで、それが出来てから考えます。」
取り敢えず実証機だからボディサイズは人間サイズでいいか。
ボディの材質はメインは木製で、関節部分は摺動性を考慮して焼付き防止に、砲金と錫と鉛や亜鉛使って、グリースが自動的に圧入される仕掛けを……ってこの世界グリースってあったっけ?
というか存在しなかったら先ずそれを作る事から始めなきゃならない!?
「……先生……。化学関係の先生で知り合いっています?」
いきなり材料集めの時点で障害発生!!