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第8話:弟子Aすごい頑張る

この物語は!

魔王を討伐するためにある国が勇者を選定し、その勇者に世界の命運を託し切磋琢磨し苦難に満ちながらも仲間達と協力し魔王を退治する勇者を探す事を辞め、魔王を居城まで運ぶ話だ!



 遠くで、日が沈むのが見える。

 回りも、村に居た時と違い、近くには森もなく、平地が続き、彼方には日が沈んでいく夕日が見える海もあった。

 どれぐらい進んだか、港町にはだいぶ近づいただろう。足取りは最悪だったものの、何とかここまで来た。


「むっ、敵だぞ。人間」

 その一言に……。

「……えっ」



 対応しきれていなかった。



 ここは、街道で見晴らしのいい場所だ。一体どこに敵がいるのだというのだろうか。

 疲れからか注意力も散漫としており、完璧な警戒とは思ってなかったものの、それなりに力は持っている弟子Aは、油断している事実込みで、問題なく対処出来ると思っていたのだ。

 言っては何だが、弱いモンスターしか出ない地域で負けはありえなかった。

 今まで出会ったモンスターは、スライム一匹だけだったのだから。

 

 しかし、既に弟子Aは自身がそのありえない事を体験している事実を忘れていたのだ。

 

 そう、その声を聞いたにも関わらず、左手……魔王というありえない存在と出会っていたことを――。

 

 身体がいつの間にか引っ張られたように動き、視線を、元居た場所に向ける。


 地面から研がれた刃のような大きな氷が布の服の一部を貫いていた。


「ぐっ――」

 左手の魔王に身体が大きくさっきまで居た場所から引かれていた。身体が動いてなければ、弟子Aは確実にやられていただろう。

「何をしておるか、馬鹿者! ……どうやら敵は一体だけのようだな」

 身体に痛みが走る。別に傷つけられた訳ではないが、既に全身疲労だ。

「敵って……一体どこから!」

 視線を左右に向けるも見当たらず、嫌な感じはあるのだが、殺気も特に感じなかった。

「ほら、次が来るぞ。ボヤボヤしてれば死ぬのは我も一緒なのだ、キビキビ動け、愚図が」

「っ……!」

 再び、地面が少し盛り上がり、氷の刃が串刺しにせんと幾つも突出してくる。

 左手の魔王に文句を言いたいが、今は一番の危険に注意を向ける。

 悲鳴を上げるように軋む身体を無理を押してでも動かし、後ろに下がる毎に苦痛で顔が歪む。それらを全て避けると、右手に持っていた杖を掲げる。

「見晴らしのいい場所で、殺気も消えてて、姿も見えない! しかも、この周辺で魔術を使う魔物なんて多くはいない……!」

「ほう、ならば答えは如何に?」

「ゴースト! 人間と見ると、ただ何の意思も持たず、すぐ襲ってくるしね。ぐぅ……身体痛い」

「ゴースト……か。なかなかに勘が鋭いではないか。さて、その対処は?」

 もう無理と言わんばかりに、悲鳴を上げている体を無視し、掲げた杖を振り下ろす。

「我望むは、汝の黄泉への案内。ならばその声に応えよ!」

「神聖魔術での還元か。面白いではないか」

 多くない魔力残量から、魔力を献上し、弟子Aの足元に、魔方陣が瞬時に展開。

 アイアンクローなんかに魔力を使うんじゃなかったと若干の後悔を抱きながら……。

 その間に、目を開けているのも辛い状態での視界に映ったのは、確認出来るだけで、三十もの槍の矛先を象った氷だ。それらは虚空に出現し、弟子Aを全て正面から狙って飛来して来る。

 幸いに、距離もあり、現在展開中の魔術効果範囲内でもあったのはありがたかった。敵はそこに居るという新たな確信を得ながら……。

 しかしながら、今対処すべきはあの氷の槍が先だった。

「何だよ、あの数っ!? ぐぅぅ、炎の壁よ!」

「ほぉ……」

 既に別の魔術を一種類詠唱中のモノを保留し、かつ中級魔術の詠唱を破棄し、効果は薄いにしろ発動させるソレは、常人では考えられない事であった。

 魔王もそれが分かっているらしく、感心したように眺めていた。

 しかし、この一手は更に消費し続けている魔力と苦痛を加速させていく。


「偉大なる預言者にして天才魔導師の弟子を舐めるなよー!」

 魔力消費が激しくなるにつれ頭痛も増し、顔を歪めながらも、初の見せ場と言っていい場面のためか、格好良い姿を披露出来ているからか、なかなかに調子が良かった。

 自身の正面に展開された炎の壁が、接近してきた氷の矛群を全て溶かし、蒸発させて行く。

「調子に乗りすぎだ。足元がお留守になっている……世話が妬ける」

「なっ!――っ」

 寒気がした。炎の壁の内側……弟子Aのすぐ足元からうっすら氷が見えたのだ。

 二度目の決定的な油断をしてしまう。うっかり属性でも付いているのだろうか。

 身体は限界を超え、もう石になったかのように動かない。立っている状態を維持するのがやっとだった。

「(動けぇぇぇ!)」

 だが、意思に反して身体は動かず、地面から出現した氷の刃を、ただ眺めるしかなかった。

 そして瞬きをした刹那、魔王が手を下の方に向けているのが見えただけで、何をしたのか理解出来なかったが氷の刃は、消えていた。

「クククッ、我には下級魔術など効かん。……幾つの貸しになるやらだな、人間?」

 助かったと安堵のため息を付きたいものの、意識を一瞬で切り替える。

「っ……なれば、我が導きに従い、汝を黄泉の門へ送り返さん」

 背後から、嫌な気配がするも振り向かず、握る杖に力を込め、弟子Aは別の呪文を唱える。

「次は、後ろから来てるぞ」

 楽しそうに顔を歪めながらこっちを見ている。実際には魔王の顔など見てないが、間違いなくそう笑っていると断言出来る。

「―――(言われなくても!)大地よ、大地よ、大地よ、我が願い届けたまえ、我が祈り通じたまえ!!」

「次は、精霊魔術か。多彩な催しではないか」

 魔王が何か喋っているようだったが、頭が割れそうな痛みが襲ってきてそんなのに意識はさけなかった。これ以上の魔力消費は、自身の身体と共に脳も警鐘をならしている。

 既に魔力も底を付かんとばかりに消費しているのが原因だ。普段ならこれぐらい問題ないのに、魔王にとんでもない量が吸われているみたいであった。

 無数の氷の矛が飛来するよりも速く、周囲の地面が生きてるかの如く動き、それは背後に生まれた無数の氷の矛を正面に捉えるように回転し、さきほど生み出した炎の壁が迎え撃つ形となる。


 ――刹那、炎と氷がぶつかり合う!


 拮抗状態は生まれない。だが無限に生み出されているとも思われる氷の矛が、何度も炎の壁にぶつかって霧散を繰り返しながらも炎の勢いを削り取っていく。

「このままでは、量で圧倒されるぞ?」

「ううっ……我は送り手なり、我は送り手なり、我は汝の送り手なり!」

 既にあらゆる身体の部分が引き裂かれるかのような痛みで意識を手放しそうになるも、踏み止まり、底を尽きかけていた魔力を放り込む。

 完成した魔法陣が更に大きくなり、辺りを眩い光が包み込んだ。



 全ては、なかったかのように何もなくなっていた。

 嫌な感じも、氷も炎も魔方陣、動いた地面、全て何もなく元に戻ったかのようだった。あるのは、さきほどまでの景色と、四体満足の弟子Aと左手の魔王、そして破れた布だけであった。

「あ゛あ゛あ゛っっっっ! 身体がぁぁぁ腕がぁぁぁ!! 頭がぁぁぁぁ!!! 痛すぎるぅぅうう!!!!」

 杖を放り投げ、弟子Aはもう限界とばかりに道で転げまわっている。

 言葉の内容とは裏腹に元気そうにも見えるが、実際に限界を超えた状態であった。

「アレだけ無茶をすれば当然だな。そんな身体と微量の魔力で、同時に魔術を三つも展開とか、貴様は天才なのか馬鹿なのか……まったく、楽しませてくれるわ。しかも関連もせぬ魔術をだからな。神聖に、黒魔術に、精霊魔術にと……貴様、なかなかに素晴らしい逸材だな」

 魔王が、今更ながら、興味深そうに弟子Aを見ている。偉大なる師匠の弟子Aは伊達ではなかった。

 ぐるんぐるんと弟子Aが転げ回っているのだから、左手の魔王も、同様の状態であり、冷静に分析しているその様は、少し滑稽にも見えた。

 しかし、逆に何ともないように話すその姿は、ある意味、すごくもあった。

 魔術と一括りにしてはいるが、系統やらあるのであった。魔術講座はまたいずれ。


「あうあうあー。もう、もう一歩も無理無理、これ何、全身やばすぎるぅうぅぅ!?」

「ククッ、面白い物を見せてもらったからな。その痛みだけは取ってやろう」

 魔王はちっちゃな手で指を鳴らそうとして、何度しても失敗していた。



 何十回目かの挑戦でやっと鳴ったのか、満足そうな顔をしながら弟子Aに魔術をかける。

「はやぐぅうう!――ううううう……う?あんまり痛くなくなった……?」

 ピタッと動きを止めると、身体が少し軽くなった。先ほどまでの痛みはあまり感じないのである。

「クックックッ、全快ではないにしろ、これで港町まで行けるだろう。さっさと、歩くといい」

 何がそんなに機嫌の良いのか、久々の笑いを浮かべながら魔王は弟子Aに促した。

「ぐぅ……ありが――とう」

 恥ずかしそうに、それだけ呟く。

 魔王は、ただククッと笑うだけであった。


 地面に落ちていた杖を拾い上げ、土を払い落とすと、再び歩き始める。

「はぁ……。しかし、どうしていきなりゴーストなんか出るやら、そもそも戦闘真面目すぎるでしょ……死んじゃうかと思ったし」

事実、弟子Aは左手の魔王に二度、死を回避させてもらっていた。

「……」

 日が落ちかけていたとはいえ、夕方だ。ゴーストは夜〜深夜が本領を発揮する。

 決して存在出来ない時間帯でもないが、出来て人を脅かしたり、驚かしたりが精々という所。

 こんな時間帯に、低級魔術のオンパレードが出来るほど強力なゴーストも稀である。

「この辺りじゃ、十分に強敵クラスじゃないか……街道にあんなのが出てたら、結構噂になってると思うんだけどなぁ」

 更に言えば、街道などで出ることは滅多にない。そんな遭遇する事すら稀なゴーストが街道まで来るというのは、弟子Aの不幸体質が成せる技なのかもしれない。

 とはいえ、それ以上の稀である魔王と遭遇してるので、ある意味で当然かもしれないが……。

「……」

 ぐったりした様子で、片手で杖をつきながら、ゆっくりゆっくりと歩いて行く。

「って、噂すら聞く余裕もなく出てたんだった。村で情報収集が出来てれば……。せめて、きちんと休めていたなら」

「……」

「さっきから、黙って何か良からぬ事でも……」

 怪訝そうな顔で左手の魔王を見ると、何時になく真剣な様子で考え事をしているようだった。

「……貴様らがゴーストと呼称するアレは、それなりに瘴気を与えると活性化するのだ、人間よ」

「――あ」

 弟子Aは聞いた事があった。ゴーストとはあまりどういった存在かは分からないが瘴気がある場所に多く、そしてより強力であると。

「影響が出てきている……?」

「かもしれんな。単に偶然、貴様らがゴーストと呼ぶ存在が、強かったというだけかもしれぬが。もしかすれば、我が眷属になりたくて馳せ参上したのかもしれんがな」

「仮に後者ならとんでもない歓迎の仕方だね。ボクは嬉しくて思わず全魔力をつぎ込んでホーリーぶち込んじゃう」

「うっ……」

嫌な事でも思い出したのか、魔王の顔が歪む。

「というか、魔王ならゴーストも含めて眷属なんじゃないの? おかしいでしょ、一応魔王?な身体のボクを襲うっていうのも……これでモンスターにも注意しなきゃいけないのかぁ」

「アレが眷属?……ククッ、さぁな。我とて魔王だが、決して万能という訳ではない。それに言うが貴様らの中にも、王に対して全ての民が、一切の不満もなく忠誠を誓っているとでも言うのか?」

「むぅ……」

 魔王の癖に、いや魔王だからなのか、とんでもなく痛い所を突いて来ると思った。

 人類という種で見て、全てが一枚岩ならば色々な柵もなく、一つの国家のみが出来ていただろう。

「貴様が思った通り、そういう事だ」

 弟子Aの心を見透かしたようにそれだけ言うと魔王は再び口を閉じた。反論はしたいものの、いい言葉も見つからず弟子Aもまた口を閉じるしかなかった。





 日が落ちた頃合いに港町に付く事に成功した。

「ボク、もうゴールしてもいいよね……」

「……」

 左手の魔王は、返事をしない。

 ココに来るまでに、破れた布を使い包んでおいたのだ。

 街の守衛か分からないが、槍と鎧に身を包んだ人達が怪訝そうにこちらを見ていたが、何も言われなかったのでそのまま横を通り過ぎ、街へと進んでいく。


 目指すは宿屋。港町は、港を中心に漁業が盛んでなかなか新鮮な魚など美味しい海の食材が手に入る。特に東の大陸と西の大陸を結ぶ唯一の交易場として、露店など、珍しい商品が数多く並んでいた。

 大通りに入ると、まさにそこは人、人、人。まだまだ日が落ちたにも関わらず、行き交う人の目を惹こうと、商売人の呼び込みの熱気は、眩しく輝いているようであった。

 しかし、弟子Aは少し回復しただけであるので、買い物などする気力もなく、本気で宿屋ですぐ寝たいのである。

 大通りを突っ切るのには体力が必要すぎると判断し、真っ直ぐ行くのは避けて、別の道を探していると運が良い事に、宿屋を発見する。

 しかし、なかなかにでかい建物であった。他の建物の軽く三倍ほどはあり、他の外観とは全然違うそこは、まさにこーきゅー宿屋……ホテルという感じであった。

「場違いな気がする……」

 それでも仕方ないので、弟子Aはその宿屋まで行き扉を潜る。



「いらっしゃいませ」

 入ってすぐに声を掛けられる。こういうのには慣れていなく、少しオドオドしてしまう。それに、入り口傍に人が居るのに驚きだ。

「あ、どうも……」

 少しじっと弟子Aを見ていたが、失礼と思ったのか、宿屋の人がすぐ頭を下げる。

 内心ドキッとしたが、構わずフロントまで歩く。結構距離があるのに更に驚きだ。

「いらっしゃいませ、当宿屋へようこそいらっしゃいました。ボロ……んんっ……お客様」

 恭しく、フロントの宿屋の主人……ではなく、何人か居る雇われただろう人の一人が声を掛けて来る。

 だが、一瞬目の前の受付の人の心の裏が垣間見えるような発言が聞こえた気がする。幻聴と思っておこう。

「一泊したいのですが……」

 自身の財布の中を確かめる。


 所持金:1740G

 

「……お客様、当宿屋にはお泊りになった事はありますでしょうか?」

「いえ、ないです」

「……お客様、失礼ながら当宿屋は、その、サービス、お食事など、お客様に対して誠心誠意快適にお過ごしに出来るよう配慮しています。あの、どうしても質を上げるためにそれに見合った対価になりまして……」

「はぁ……それで(正直さっさとお金払って寝たい)」

 色々と限界に来ていた弟子Aは、まさかここで、待て!を喰らうとは思ってもみなかった。

 いつもの弟子Aならば、自分の格好の事を思い出し、相手の言いたい真意を悟って、さっさと退散をするか、所持金を見せるかしてすぐに、引くか押すかを選択していただろう。

「えーっと、そのですね。お客様、持ち合わせの方は大丈夫でしょうか……本来ならばこのような事はお聞きにならないのでですが、申し訳ないです」

頭を深々と下げつつ、目の前の人が言ってくる。

「……ああ(眠い眠い寝むすぎるぅ)」

 ようやく理解に成功する。杖を置き、空いた手で財布をフロントの目の前に置くと、何か重い音がする。その元凶である、財布の中身を見せる。

「こ……これはとんでもない失礼を!」

更に頭を下げる。

「気にしないで。で、お幾らかな?」

「一泊、200Gになります」

「そう。……はい」

 正直高すぎると思ったものの、既に弟子Aの思考は眠気、疲れ、魔力消費も相まってまともではなかったため、あっさりと支払う。

「そこの君、お客様のお荷物を」

支払いを確認したフロントの人が、入り口に居た人を呼ぶと自分が泊まる部屋だろう場所のカギを渡すと、弟子Aの木の杖と高級食器が入ったアイテム鞄を受け取る。

「それでは、お客様こちらへ」

少し驚いた様子の荷物持ちの人が、弟子Aを部屋までエスコートするのであった。



「いやー驚いた驚いた。まさかあんな子供、あんなに大金持っているとは」

「どこかで盗んだんじゃ?」

「あー、怪しいかもしれないなぁ。一応連絡入れておこうか」

「……そうだな。ひとっ走りしておいてくれ」

「了解です」

 そうしてフロントから、一人姿を消す。疲れた表情をして破れまくっている布の服、木の杖、そしてボロボロな布で覆われた左手。怪しさ満点の空気を放っていたため、断られても仕方なかったがお金を出してきた客に対し、断るというのはプロフェッショナルではない。

 意外にも、対応したフロントの人はそういう部分を持ち合わせていたのだ。



「それではごゆるりとお休みくださいませ。お荷物の方と部屋のカギは、テーブルの上に置いておきますので、失礼致します。何かありましたらフロントまでお申し付け下さい」

 一礼し、荷物持ちの人は、室内から退室して行く。

 部屋は、値段に見合う……一言で言えば弟子Aが今まで住んでた家より広かった。

 家というよりも、一室であったが、ここは豪華なのも含め、素晴らしいものだ。

 しかし、そんな外観や設備、窓からの景色には目もくれず、でっかいベッドへと飛び込んだ。

 ふわふわとしており、仰向けの身体が沈む。

「ふわぁぁぁ……最高。こんなベッドで寝るの……初めて……ぐぅ」

 素晴らしく早い寝つきであったが、今日起こったことを考えれば当たり前なのであった。

「もう、しゃべってもいいのか、人間よ?……ん?人間!……無視とは良い度胸だ」

「ぐぅー……ぐぅー……」

「むぅ、真っ暗で何も見えないじゃないか。……む、寝てるのか。ククッ、それでは邪魔は出来んな。精々、我が魔力の供給に役立ってくれ」

 布で包まった魔王が、布から抜け出す。

 その目に映ったのは寝ている姿だったが、あえて眠りの許可を出すも既に弟子Aは睡眠の中。魔王もまた目を瞑り、自身の回復へと勤めるのであった。



此度125年8月18日

午後10時を過ぎた頃であった。


世界が闇に覆われるまでのタイムリミット:十三日をきりそう

弟子A現在の装備

武器:木の杖→なし

防具:破れた布の服→ボロボロに破れた布の服?

左手:全裸の魔王→布が巻かれた魔王(布は脱着可)


所持金:1740G→1540G


所持アイテム

木の杖

幾つかの薬草

高級食器一式

宿屋のカギ


弟子A最後の見せ場……になるかは、まだ分かりませんがここまでお読み下さり、ありがとうございました。

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