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第3話:弟子Aの苦難

第3話がついに完成しました。

しかしサブタイトルが地味に苦労しますね。

さて、第三話始まり始まり〜。

この物語は!

魔王を討伐するためにある国が勇者を選定し、その勇者に世界の命運を託し切磋琢磨し苦難に満ちながらも仲間達と協力し魔王を退治するまでの話である。はず。


 弟子Aの目が覚めるとそこは天国だった。

「アハハ、ウフフ……」

 周りは花畑のようで、亡くなった師匠が対岸で手招きしていた。

 旅が始まって数時間は無為に過ごし、そこから持ち直して数分。

 弟子Aはこうしてここに辿り着いたのだ。

 だからか既に抗う気力もなく、拒む理由すらなく、自分はその対岸へ行こうと川を渡る。

 だが、存外に川は深く膝辺りまで水面が来ている事に気づいた時には遅く足を取られ川下へと流されていった。

「ふぉっふぉっふぉっ、まだまだじゃのぉ。わしの所に来るには後10年早いわ、ふぉっふぉっふぉっ」

「(いや、十年って。ボクまだ十八歳だし)」

 何と衝撃の事実。弟子Aはピッチピチの十八歳であった。

 もうひとつ付け加えれば、男であり。身長低い、容姿は幼い感じ、頭脳はそれなり、魔術の腕はそこそこ、体格も細い、力は見た目通り。典型的な魔術師タイプだった。

 そして、彼女居ない暦は年齢と同じ。

 だが、一つ言えばあくまで今は亡き師匠から見てのことだった。

 既に水没してしまった弟子Aの淡白な突っ込みは、師匠に届かないだろう。

 だがそれでいいのかもしれない。今はまだそこに辿り着くのには早すぎる。

 まだ弟子Aの旅は始まったばかりなのだから―――



―完―



「って、終わっちゃうの……あれ旅? ……確か街から出て数十分の所に居たはず」

 弟子Aの意識が混濁しているため、少しずつ心の中を整理する。

「いや、川? あれ? あれ?? そう、バケモノの変態に襲われて……」

 頭の回転が少しずつ明確に、そして早くなる。

「足を掴まれて……それから」

「お前を我が眷属にしてやったのだ。感謝しろ人間」

「そうそう眷属にされて……え゛っ」

 視界と意識がはっきりとする。

 飛び上がるようにして起き上がるそこは、戦闘を行ったその場所のままであった。

「ああ、なんだ夢かよ……夢オチかよ」

「いや」

「ああ〜耳鳴りが〜幻聴が〜」

「おい、貴様。我を無視するな」

「うーん、ワレワレハウチュウジンダァァ」

 まるで扇風機に向けて声を発してるかのような感じで言葉を発する。

 決して聞こえない言葉が聴こえてるから誤魔化す訳ではない。

 そう心に念じながら目を瞑る。

「(きっと、この目を開ければ何もないはず。何もないはず)」

 力強く、神に祈りをささげるかのように目一杯ありったけ心を込める。

 ぱっと目を開けるとそこには、青い空。白い雲。何かが焼けた後。遠くに見える城壁。

 そして自分以外には誰もいなかった。

「よし、賭けに勝った!」

 やっぱり夢オチか。そう断言しようとした瞬間それは目に入った。

「我を無視するなと言ったろうがぁぁ!」

 殴られた。顔面と左手に衝撃が走る。

 いやいや、顔はともかく自分の左手に衝撃はおかしいでしょう。

 視線を左手に向けるとそこには……

「おいぃ! なんだよこれ!?」

「我が眷属にしてやったのだよ。人間。いや、正確には身体を乗っ取ったと言ったほうがいいか」

「手が、手がバケモノに!?」

 左手があのバケモノになっていた。コレは夢だと思いたい。

「誰がバケモノだ。我は魔王ゼ「全裸の変態だろうが、この筋肉モリモリ変態バケモノが!」……」

 遮るようにして言葉を発する。

 相手はソレに対して何も言えなかったようにただ俯く様にうな垂れた。

 さすがに少し、気が引けたが、こちらも左手がバケモノになってしまっただなんて、他の人に知られたら、前科(全裸)と合わせて王や師匠に顔向けどころか、勇者探しすらままならない。

 それに既に日が昇ってるということは、残り日数は確実に減っているという事だ。

 だからこそ、こんな所で頓挫する訳にはいかなかった。

 解除の呪文を高速で頭の中で捜索する。

「あれでもない!これでもない!?」

「……」

 左手の魔王は、さっきの一言が効いたのが一言も発していない。

 おとなしくしてくれるならそれがいい。解除の呪文を使い、手を元に戻し、勇者を探し出し一緒に、魔王を倒さねばならないという任務が、ボクにはあるんだから!


 ………


 ん?

「(あれ、何かおかしな一言を言わなかったか、いや考えたのか?)」

「……」

 未だ沈黙を続ける左手の魔王。

「(え゛っ、ちょっと待つんだ。いや、誰に言ってる。いやいや混乱してるな。落ち着け)」

「……ぐすん」

 左手の魔王が涙ぐんでいた。

「いや、可愛くないから。きもいから。やめてね、そういうの」

 魔王にそう言い放つ。

 魔王は、既に大粒の涙が目に浮かびそして頬を伝っていた。

 しかしながら、そんなどうでもいい事には意識の1mmたりとも割かず、弟子Aはそれ以上に重要な事に気付くのだった。

「あっ! そうか。やっと合点が言った! 魔王だよ魔王。そうか〜お前が魔王だったのか」

 思わず笑いがこみ上げる。喉につっかえた小骨が取れた感じである。

 考えもこれですっきりする。

「そうだ、我が魔王ゼ「うぇぇぇぇぇええええ!?」」

 目を輝かせながら再び言葉を紡ごうとした所に叫ぶ。そりゃ叫ぶだろう。

 叫び足りないぐらいだ。だから力のいっぱい叫ぶ。

 大気が振るえ、大地を揺らし、そして近くの森から野鳥が飛び立つ。

 それぐらいに叫ぶ。

「お前が魔王……だと?」

「そうだとさっきも言ったぞ」

「いや、チェンジで」

 それは全ての時を止めるのに十分な破壊力を持った一言であった。



此度125年8月17日

午後1時を過ぎた頃であった。


世界が闇に覆われるまでのタイムリミット:二週間切ったぐらい

末文までお読み下さりありがとうございます。

弟子Aと何と新しい登場人物とは、魔王でした。

さて、タイトルの勇者は一体いつ来るのでしょう?

まさに早く来て!!!な状態のわけですが。

予想などして、内容共々楽しんでくだされば幸いです。

では、次の話も完成次第投下したいと思います。

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