6.既知との遭遇
本日2話目です。短め。
掲示板によると初討伐報酬はその人個人にとっての初討伐らしい。なので、もしまたゴブリンソードマンと遭遇したら出来るだけ圭にトドメをさして貰うことを話し合って決めた。
ちなみにゴブリンの短剣は俺が持っている。ゴブリンソードマンの時は圭に渡して俺が抑えておく予定だ。
暫く歩くとゴブリンらしき生物を見つけた。近くには女子高生が二人いる。
「圭!襲われてるみたいだ!早く行こう!」
「ああ!」
走りながらも鑑定をかける。
ゴブリン Lv.3
やはりゴブリンだ。鑑定のレベルが上がったおかげで敵のレベルが分かるようになっている。てっきりモンスターもランクとか危険度が表示されるのかと思っていた。
「おい、遥輝、あれうちのクラスの北條さんと漆畑さんじゃないか?」
「本当だ」
漆畑さんはクラストップの成績でメガネをかけている。余り話したことないので部活は分からない。
北條さんはショートカットでバスケ部だっけか、スポーツ系の部活だった気がする。
向こうも此方に気付いたようで俺は北條さんと目が合った。何故逃げないのか不思議に思い漆畑さんの方に目を向けると、座り込んでいた。
遠目からだが、見た感じの外傷は無いので腰が抜けているのだろうか。
圭が手を上げて何か言おうとしているのを止める。もちろん後ろから奇襲をかけるためだ。
敢えて声を出してこっちに気を引かせるのも考えたが、ゴブリンは怯える二人を見て面白がっているのか、ゆっくりと近付いている。
ゴブリンまで5メートル程のところまで近付くと、足音で気付かれたのだろう、ゴブリンが此方を振り返る。
が、もう遅い。ゴブリンが手を前に出して、頭を守ろうとするが、俺は<ゴブリンの短剣>を横からゴブリンの首に刺す。
漆畑さんが「ひっ…」と言ったが直ぐに「ギィェェェ」と言うゴブリンの叫び声に掻き消される。ゴブリンを刺した俺は、前回よりはマシだが、やはり気分が悪い。
短剣を抜くと、ゴブリンは倒れ込んだ。例によって大量に噴き出した血で手が汚れる。服にもまた少し付いた。
【経験値を獲得しました】
【ゴブリンの初討伐を確認。初討伐報酬 30SP
or 低級回復薬 を選択可能】
システムさんの声が聞こえて、ゴブリンが粒子化したのを確認していから二人に話しかける。
「大丈夫ですか?」
「うん、怪我はないよ。助けてくれてありがとう」
俺が二人に尋ねると北條さんが答えてくれた。怪我は無くてもさっきの光景はショックが大きいだろう。
「漆畑さんも大丈夫?」
「は、はい。あの、ありがとうございます…」
「橋本くんと圭はアレが何か分かるの?」
「まあ一応ね。ゴブリンだよ。20分前くらいになんか声が聞こえなかった?まあ簡単に説明すると今の世界はラノベの異世界やゲームみたいになっちゃってるんだよ。試しにステータスオープンって考えてみて。言ってもいいけど」
「あ、ほんとだ!」
「中澤さんと漆畑さんはこれからどうする?さっき調べてみたら電車は全て運転見合わせ中らしいけど」
「それで俺と遥輝は行く宛も無くそこら辺をほっつき歩いてるってワケ」
圭が補足する。
「うーん、葵、どうする?」
「どうせ帰れないんだったら凛ちゃんに任せるよ」
「ねぇねぇ、私達も橋本くん達に着いて行っていいかな?」
「うん、俺は別に構わないけど圭は?」
「もちろんいいぞー」
と言うことで俺と圭に北條さんと漆畑さんが加わって、行動を共にすることになった。
前話で「今週2話だす予定」と言いましたが。もうちょっと多いかも。多分。
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訂正 中澤莉沙→北條凛