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ひよこ②



「ぴよおおおお!!!!」

もうお嫁に行けないよォ!!!ぴぇぇぇえ!!!!


なんというか、体の芯が温まるスープを飲んだ感覚になった。体の内側からジワジワ温まってる感じ??美味しかったんだけど、そうなんだけどさぁ!ぬおおおおおおお!!!!


百面相をしている(気分)になっていると、ふと視線を感じた。不死鳥さんがこちらをじっと見つめているではないか!

私がゴクリと飲み込んだあとも、不死鳥さんはじっと見つめていたみたい?


なんか顔についてるのかなっていうくらいずーっと見てくる。


「ぴ、ぴよ??」(あ、あの??)


「…。」


「ぴよぴよ、ぴぃ?」(ありがとう、ございました?)


「…。」


なんか答えてくれ!さっきまでのようにクエーって答えてくれ!!気まじぃ〜…。てか、普通に喋ろうとしてもぴよぴよしか言えないよう。


それから五分くらい見つめ合ったあと、不死鳥さんはくるりと私に背を向けて巣から飛び立ってしまった。


一体なんなんだ。わけわかめだよ!!やっぱり言葉、通じて無いのかな…。だってぴよぴよしか言ってないし、そりゃぁそうだよね…。ふぬぬぬ、これから、どうしよう…。ふぬー…。んぐぐ。


「ぴぃい…。」(ふぁあ…。)


お腹が満たされたからか、思考にもやがかかるように眠くなってきた。ちょっとひと休みしよ…。


眠ろうとして気付いた。

ヒヨコの場合、どの体勢で寝るのが良いの?


「ぴい!ぴい!…ぴ、ぴよ。」(ふん!ふん!…あ、これだ。)コロンコロン


仰向けになってみたり、横になってみたりいろいろ試してみた。1番良かった足を曲げて座る、お風呂に浮かべるアヒルのようになって眠ることにした。ふむ、こりゃあ良いや!安定する!


お日様が暖かくて気持ちいい…。寝れるぅ…。


うとうとしていると、右からピキピキと割れ音が聞こえる。


「ぴ!!」(うぇ!!)


はっと目が覚めて、音がした方向を見た。卵にヒビが入って、割れかかってるぅー!!!!中からクチバシでつついてるんだ!スゴい、外から見るとこんな感じなのか!!

私の兄弟?姉妹が今まさに誕生しようとしていた。


ピキリピキリと音をたて、亀裂が大きくなっていく。


「ピッ!ピィ!」(がんばれ!がんばれ!)バタバタ


私は短い翼を羽ばたかせ、興奮した。眠気なんて飛んでったわい!

がんばれ!がんばれ!そう願っていると、パリンと大きな音がして、顔が出てきた。


可愛らしい大きなクリっとした赤い目。頭のてっぺんから羽がひとつ伸びていて、アホ毛みたいに見える。不死鳥さんを幼くしたような顔つきだった。


「クェエ!!クェエエ!」


そこからどんどんクチバシでつついて、周りの殻を割っていった。そして全身が現れる。


フォルムは丸い、ひよこみたいにフワフワな毛が生えている。そしてなんといっても赤い。紅まではいかないが、地球では有り得ない体毛の鮮やかさである。も、燃えてないね。良かった。


「ピヨ?」(はじめまして?)


まずは挨拶だよね…?

一人っ子だったし、家で1人で遊ぶ子だったから小さい子への話し方とかわからないよ。


不死鳥ジュニアは私の目を見つめて、一言。


「クェ?」コテン


きゃー!!首を傾げてる!かわいい!!


「ぴよ!」(かわいい!)


「クェ?」


どうしよう、まず言葉が通じない。ですよね!!

私もピヨとしか話せないし、あっちはクェだし!!不死鳥さんの言葉もわからないからなぁ。


「ぴよおおおー!!!」(どうしよおおおー!!!)


勝手に焦っていると、上でばさばさ羽音がした。そのまま見上げると不死鳥さんが降りてくるところだった。


「ぴよおー!!」(助かったー!!)


良かった不死鳥さん来てくれた。やっぱり私たちの親だよね?

お母さんなのかな。お父さんっぽくはないし、うーーーーん。


「ぴ!」(ママン!)


ママン、ママンって感じがする!!お母さん呼びは少しハードルがあると言うかなんというか。ママンって感じがする!!大事なことなので2回言いました。


「グェエエエ!!!」コロン


私にしたように、苦しみもがいて赤い玉を出した。生まれたばっかのこの子は、私より素直に食べていた。偉い。てか、ママンの顔が怖いんだよねぇ。


割れていない卵はあと1つあるけど、未だ生まれる気配なし。ちゃんと生まれてきてくれるといいな。


それに、ママンが私を見て戸惑っていた理由も分かった。だって私、黄色いもん。さっき生まれた子とママンは赤いのに、私は黄色。そりゃ見つめあっちゃうよね。困惑してたのかなぁ。ヒヨコだから黄色いのかと勝手に思ってた。


でも、ママンは赤い玉くれたし、育ててくれるはずだよね、ね?

ちらっと見てみる。あの赤い玉は母乳的な、あれだよね?たぶん。


「…。」チラリ


「…。」


どうやらママンは飛び立とうとせず、この巣の中に留まるようだった。私と生まれた子はママンの足元に身を寄せ、温まる。めっちゃ羽毛が温かい、今度こそ眠れる…。おやすみ…。

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