まいねーむいずヒヨコ
oh......oh......そんな…
(私、ひよこになっちゃったの…?)
って、いやいやいやいやいや、本当にどういうことなの?
俗に言う前世の記憶ってやつ?それとも転生??
それにしてもひよこって。もしいるのなら神様、あなた恨みます。
くるりと後ろを振り返れば、私が割った卵の殻があった。びきびきに割れてる。他にも2つ卵があったけど、まだ割れてない。
他に割れている卵は無いみたい、ふふんやったぜ一番乗り。
勝ち誇っても、意味は無いんだけどね…。
これが転生…なのか?転生って魔法とかある世界で貴族に生まれて領地改革〜〜〜とか、チーハー俺TUEEEEとか、悪役令嬢に生まれてバットエンド回避してたらモテモテでしたみたいな、そういうやつやん…。
(現実は小説より奇なりって、まさにこのこと!!!)
ツン
(ここって地球なの?もしかして異世界?判断材料が足りない。)
ツン
(ひよこってことは成長したら何になる?にわとり?あーもー、情報が欲しい…。)
ツンツンツンツ
「ぴよー!」(なんやねん!)
つんつんうるさい!今考えてるの!
ばっと振り返ると、そこにはでっかいくちばしがあった。
「クェー!」
でっかいくちばしの持ち主は、燃えるように赤い鳥だった。私より5倍くらい大きい。ひえぇ。
くちばしは黄色だが、頭から尾羽まで真っ赤で、頭のてっぺんから黄色い飾り羽が2つ出ている。フォルムは白鳥のようにしなやか、そこまで首は長くない。
尾羽はすらっと長く、風に流れて波を作っている。
尾羽までいれたら、何十倍も私より大きいことになる。
そして、羽の先っちょは燃えていた。途中までは真紅の翼だが、丁度風切り羽らへんが轟轟と燃えている。
下から見上げているから、ずももって擬音がつきそうなほど威圧感がある。怖い。
俗に言う不死鳥っぽいなぁ。
ふむ、なるほど、異世界ですね。
ヤッピー!
「クェー!クェックェッ!」バッサバッサ
「ぴよーー!」(ぎゃあー!)
羽をバサバサ広げて、不死鳥(?)さんが跳ね回っている。なんか喜んでる?いや、揺れて危ないからあんまり動かないで!巣が燃える燃える!
燃える羽が巣に触っても燃えないみたい、よかった。焼き鳥になっちゃうところだよ!なんちゃって、てへぺろ。
不思議と敵対心は湧かなかった。なんというか、本能でこの鳥が親だと認識しているのかもしれない。生まれてすぐ見たものを親と認識するとかいうやつなのか、わからないけど。
「グ、グェ、ヴェェエァ!!」
「び、びょおおお!?!?」(ぎゃ、ぎゃぁあああ!?)
突然苦しみ出した不死鳥さん。目をかっぴらいて、見てるとトラウマになりそう。き、きもすぎる。何が何だか分からず呆然としていると、不死鳥さんは、くちばしを開いて紅玉を吐き出した。
コロン
「ぴよ!」(ひぃ!)ズザザザザ
何かが転がって私の足元に来た。え、汚ぇなんぞやこれは?
驚いて後ずさりしちゃったよ。
上を向いて不死鳥さんの目を見る。つぶらな紅い瞳だった。そして、紅い玉をくちばしで押して、私に近づけてくる。
「ぴ、ぴよぴよ?」(え、これを食えと?)
紅玉を見てると、お腹が減るような…。やめて!私のひよこ本能!
うううう、お腹が鳴りそうなくらいペコペコになっちゃった。
食べるしか、ないのか…。
やだやだやだ、食べたくないけど、目をつぶってなら…。
ツンツン、グイグイ
待ちかねた不死鳥さんが紅玉を押し付けてくる。
待ってね、今から食べるから!そんなクチバシでせっつかないで!泣きそう、泣けないけど。
脳内でそんな葛藤をしていると、目の前の不死鳥さんがくちばしで紅玉をひょいと拾った。
「ぴぇ?」(ふぇ?)
「クエ!」
そしてそのまま私のくちばし(口の中)に入れた。
「ぴぃいいいいー!!!!」(ぎゃああああー!!!!)
「クエーー!!」
心の準備がぁあ!まだ、まだ出来てなかったのー!
ううぅ、意外と美味しい…。




