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ラッコ

エリシアは、長い間泣いて、泣いて、泣き疲れて羽毛に埋もれて寝てしまった。


oh......羽毛が液体でびしょびしょ…。


眠っているエリシアを、穴の中に動かそうとして鎖の存在に気づいた。エリシアの首に巻き付けられた鎖と首輪、どうにかして外せないかな。


クチバシでつんつん突っつく。鎖は首にぐるっと巻き付けられて、輪っかに溶接されている。ちょっとゆとりはあるみたい。

私が鎧の人に捕まった時は、ただ巻き付けられただけだったのにな〜。

幸い、鎖はそこまで太くない、人間の指程のサイズ。


地面にエリシアを寝させて、溶接部分の下に平らな岩を置く。私はクチバシで硬そうな岩を加えて、叩く!!

ギィン!ガィン!と固いものがぶつかり合う、嫌な音がする。エリシアにぶつけないよう慎重に、慎重に。何回かぶつけていたら、バキッと音がして鎖が壊れた。


よっしゃあ!!ラッコ作戦、大成功!

…でも首輪は私じゃ無理だ。鎖が取れて見えやすくなった首輪は、黒いチョーカーのよう。真ん前に赤い宝石のようなものが埋めてあってキラキラ輝いている。

ぴったり首にフィットして、ゆとりが無いしなぁ。布っぽいような革っぽいような素材。ハサミとかあったらいいのに。


エリシアは耳元でガィンガィン音が鳴っても、変わらず寝てた。眠り深すぎ!

木の下の穴まで運んだ。また穴の上に座って、周りを警戒しながら眠った。だれも襲ってきませんように…。zzz。





ツン、ツン、zzz。ツンツン、ぴょ…zzz。

ツンツンツンツンツンツン…zzz。

ブチ!!

「ぴよーー!!!」(いたーーい!!!)

なになに、なにぃ!!おしりがヒリヒリする!!

びっくりしてぴょーんと飛び上がった。


「ユリセリさん!ユリセリさん!起きてください!」


足元から声がする。あ、エリシアちゃん起きたの…。穴の上からよけて、中を覗くと、入口までエリシアは来ていた。私が邪魔だったのか…。

這い出てきたエリシアの手には、黄色い羽毛が数本握られていた。ぴよーー!!おしりの毛がぁぁ!


「ゆ、ゆりせりさんが死んじゃったのかと思いました…。毛を抜いちゃってごめんなさい。」


エリシアは、じわっと涙目になって抱きついてきた。不安になっちゃったのか、なんか、ごめんね。でも毛は抜かないでね…。


「あの、鎖、ありがとうございます!」

エリシアが、頭を下げる。


「ぴよ!」(いいのよん!)

ふふん、どんとこいだせ!でも、首輪は外せ無かったの。ちら、ちらと首を見て伝えようとする。


エリシアは首を傾げていたけど、首をぺたぺた触って気づいたみたい。「あぁ!」とニコッと笑った。


「光の精霊よ、刃を生み出す力をください!」


エリシアの目の前に、白く輝くナイフが生み出された。エリシアはそれを掴むと、首輪を切る。切れた首輪は、ぱさりと地面に落ちた。白く輝くナイフは役目を終えると、空中で霧散した。


「これで、大丈夫になりました!へぇ、こういう首輪だったのですね。こ、この赤い宝石は…!!」


にっこりと得意そうに笑ったエリシア。落ちた首輪を拾って、眺めていたけど、赤い宝石を見た途端顔色が変わる。そして首輪をあらぬ方向へぶん投げた。えっ、投げちゃった!


「ぴよー!!」(えぇー!!)

「ユリセリさん!早く!こっち!!」


投げた方向と、逆向きに走り出すエリシアちゃん。まっ、待って!置いてかないで〜〜!!ってあれ?


「はぁ、はぁ、もうだめ…。」

追いかけてすぐ、べたーっと地面に倒れ込んでいるエリシアちゃんを見つけた。

は、走るのおっそ!!スタミナゼロかよ!

生まれてから、ヒッキーニートだもんね。ガリガリだし…太らせたい…。今何歳なんだろ?見た目的に、小学生の高学年くらいに見えるけど。


エリシアちゃんの隣に座り込む。クチバシで背中をつんつんする。さぁ!背中に乗りな!!


「ユリセリ…さん…。」

よろよろと立ち上がり、察したのか、背中に乗ってくれた。首ら辺にぎゅっと、美少女が抱きついてくる。

とりあえず、こっちの方向に走ればいいんだよね?落とさないよう、ゆっくりめに走る。


「はぁ、はぁ、さっきの赤い宝石は、追跡の宝石だと思います。」


追跡の宝石?なんじゃそりゃ??


「わ、赤い宝石が、不思議な魔力を出していて、対となる青い宝石があって、それが赤い宝石へと導くらしい、です。本で見たことがあるんです!」


「ぴぴぴぴ、ぴよよ!?」(なななな、なんだって?!)


宝石のGPSか!!!だとしたらまずいじゃんね!

足を早めようとした、その時だった。



「水の精霊よ!魔なる獣の足を止めたまえ!」


奥の木の影から、私の足を目掛けて、水の槍が飛んできた。

まずい!咄嗟に右に飛んで避ける。「びゃあ!」背中から悲鳴が聞こえる。ごめん!


「ほぉお!魔なるもののくせに、これを避けますか。」


木の影から白いローブを羽織った、金髪蒼眼の男と、白いローブのフードを目深に被った5人が出てきた。男の表情は微笑んでいるけれど、目は獲物を見る蛇のように鋭い。


「人を襲わない、黄色の魔物。報告にあった通りですね…。おや、背中にいるのは呪い子ですか?興味深いですねェ。」


「ぴよーーー!!」(エリシアは呪い子なんかじゃない!)


ビクリと背中にいるエリシアが反応する。ぎゅうと、抱きしめる力が強くなった。


「人語も理解している…?敬愛なる信徒よ、黄色の魔物は生け捕りにしましょう。背中の呪い子は生きても死んでも構いません。優先するはあの魔物です。さあ、捕らえなさい!」


「「はっ、全てはルーサー様に!」」


男が右手を上げると、周りの5人がナイフを出して襲いかかってきた!

や、やばいよぉー!どうしよう!

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