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グロ注意

「私のお父さんもお母さんも、人間でした。でも、私は違いました。紫の瞳に尖った耳。こんな、こんな呪いをもって生まれてしまった。すぐに殺せと言われた、らしいです。」


「ぴ、ぴよ。」(う、うわぁ。)

おっも。めっちゃヘビーじゃん。紫色の目、すごくキレイなのになぁ。前世の世界では、エルフなんてすごい尊重?されるのに。かわいいし!


「お父さんとお母さんは、私のことを殺さないで、地下室を作って、私を育ててくれました。おじいちゃんが町長で、お父さんは次期町長と言われてて…。で、えっと、私は地下室で本を読んで暇つぶしして暮らしてました。」




暗い暗い地下室、私はそこで住んでいました。

部屋は私一人が生活出来るほどの大きさ、布団と本棚、地上へと続く階段以外はなにもありません。

みんなが寝静まった夜。

いつものように本を読もうと、精霊に祈ります。


「光の精霊よ、辺りを照らす光をお与えください。」


お父さんとお母さんは、空気穴から地下室に僅かに入り込む光を使って本を読んでいると思っています。…実際は、精霊様の力を借りているのです。光の精霊の力を借りるのは難しいとされる、と本にありました。


人と精霊の関係にも向き、不向きがあります。私は光の精霊と相性が良く、この日も力を貸して頂いてました。



ぱら、ぱらと本をめくり、読み進める。お母さんとお父さんには内緒。子供が夜更かししてはいけません!って怒られちゃう。


なにか視線を感じる気がして、部屋をキョロキョロするけど、なにもありません。

きききき、気のせい気のせい…。う、もう寝ようかな。光を消し、布団に潜り込り目を閉じて。

すぐに眠ることが出来るのは私の隠された特技なのかもしれません。



お母さんは、朝と昼の2回ご飯を持ってきてくれます。ニコニコ笑って、優しくしてくれます。ご飯は作りたてで美味しくて。

お母さん、大好き。ふふ。


お父さんは次期町長らしいです。週に1〜2回くらい私の様子を見に来てくれます。仕事が忙しくて、あんまり会いに来れないのが残念だと言ってくれました。

私は、お父さんも大好きです。えへへ。



夜になると、光の精霊様を呼び出していましたが、あの日からちょっと怖くなって夜はすぐ寝るようにしていました。

あ、空気穴からの光が弱まってきた。そろそろ夕方、本が読めなくなっちゃうから、夜はあんまり好きじゃない。いつものように布団に潜りました。


暗い、暗い夜更け。騒がしい音が聞こえて目が覚めます。誰かが声を荒らげて、争うような音がしました。

しばらく争う音はしていましたが収まりました。それからはガサガサと漁るような音がして、ズズズとこの地下室への入口が開いてしまったのです。


悪夢のはじまりでした。

知らない人がたくさんいて、みんな私のことを怖い目で見つめます。1人の男の人が私の腕を掴み、立たせました。

痛い!やめて!掴んだ手を叩いて抵抗しましたが、逆に叩かれました。怯える私は牢屋にいれられました。ぶたれた顔がじんじん痛い。牢屋では魔力封じの首輪、手錠をされました。


「痛いよう…。お母さん…。お父さん…。うぅ。」


痛みと悲しみでしくしく泣いて過ごす。光の届かない牢屋では、日付の感覚が無く、あれから何時間経ったかわかりませんでした。



「立て。」

三角座りをして、泣いていた私。いつのまにか兵士みたいな人来ていて、私を牢屋から連れ出しました。口に布を当てて、しゃべれないようにして。それから、首輪に鎖を付けられて、まるで犬の散歩みたいに連れ出します。


連れていかれた場所は広場みたいな所でした。そこには、お母さんとお父さんがいました。罪人として。



地面にささった十字架の丸太に、身動きがとれないように縛り付けられて、周りの人から石を投げられるお父さん。いつからそんな状態なのか。血を流して、腫れている顔。血は黒く、乾いていて、顔を上げる事すら出来ないほど弱っていました。


同じような状態のお母さん、でも、お腹に細い剣が刺さっていました。たぶん、もう、生きていないでしょう。石が当たってもぴくりとも動きませんでした。それでも石を投げることをやめない人々。



「ふぐぅ!!!!うぅ!!ううううう!!!!」


お母さん!お父さん!やめて、やめて!お母さん!!!お父さん!!!!


涙が溢れて止まらない。やめて!と叫ぶ声もくぐもってしまって、石を投げて興奮する人達の耳には入らない。

向こうに走り出そうとして、鎖を引っ張られて、後ろ向きに転びました。


「うるせぇ。」兵士が転んだ私のお腹を蹴り上げます。痛くて視界がチカチカしました。痛みで這いつくばったままの私を、兵士は引きずって歩きます。そして、お母さんとお父さんの前に連れていかれました。



「んぅぅう!!…ふぅ!んぅヴ!」


お父さんの足元に、這いずって近寄ります。周りに散らばってる小石が、手や膝に刺さって痛いけど、それどころじゃない!

近くに行くと、お父さんの顔の傷と血がハッキリと見えました。


「ぇリ……シア………。」


「んぐ、んううう!!」


下から覗き込んだお父さんの顔は、片目が潰れていて、腫れ上がっていて、見るからに痛々しい。


「汚らわしい!」そんな声がした。ひゅっと石が投げられ、お父さんの頭に当たりました。それから、お父さんは動かなくなりました。


私は愕然と、石が投げられた方を見ました。たくさんの青い目の人々が、私を見ていた。好奇、警戒、忌避、色んな目。青い、青い、悪魔だと思いました。


「呪い子!!」どこからか声がしました。

「呪い子だ!」「あれが!なんて恐ろしい!」

ざわざわ、ざわざわ、口々に私がいかに恐ろしい存在か、話していたと思います。私は、あなたたちの方がよっぽど恐ろしい、と思いました。


「静粛に!」

ひときわ大きな声で叫んだのは、聖ルーサー教団紋章入りの白いローブを纏った老人でした。この街の教会の神父様だと思います。


「あぁ、今、この街は大いなるにルーサー神の怒りに触れようとしておるのだ。なぜなら、魔物との交わりの証を持つ、呪われし子供に魅了され殺さずに匿ったからである。」


神父様は大きく手を広げ、天を仰ぎました。

ふざけるな!この街を返せ!と人々が怒気を顕に、大声をあげています。


「カンドマール夫妻は神をも恐れぬ大罪人となった!しかし、本当に罪深いのは、この呪われし子供なのである!呪われし子供は魔境の森にある聖なる祠に連行し、浄化の儀式を行い、この街の呪いを浄化するのである!!」


わああ!と人々は沸き立ちます。

ドレアル様!ドレアル様!と大歓声をあげます。神父様の名前はドレアルというらしいです。その顔は穏やかそのものでしたが、私にはそれがとても恐ろしく感じました。



それから私は、豪華な馬車に載せられました。私が大人しくなると、口の布は外してもらえました。

馬車では、座っている私の周りを、教団の人が囲み逃げられないよう見張られました。


魔境の森に着くと、「聖なる祠を目指すのだ。」と言われて、5人の教団の人に連れていかれました。その道中は、いかに魔物は悪いもので、私がいかに恐ろしい存在なのかを延々と教えられました。でも、私は人間も魔物も、神も…何もかもが憎かったのです。



「そして、山頂の聖なる祠で、ユリセリさんに助けて頂きました。私はこうなった原因の呪われた私の姿も、魔物も、神も、人間も憎いです。でも、ユリセリは私のことを助けてくれました。誰にも助けて貰えなかった私を…。」


ふっと影がさしたように微笑むエリシアさん。目に光がない。美少女かわいい。いや、しかし


「ぴよー。」(やべー。)


う、うわぁ。

なんというか、あーなってるから、今まで大変だったんだろうなとは思ったけど、その上を行くんだなぁ…。

前世の私よりずっと小さい体で、そんなの、かわいそうだよ。どうぞ、私のふかふかボディで癒されておくれ。

ぎゅっとエリシアを抱きしめる…抱ける腕がないので、体を押し付けるだけだけど。


「ぁ、ユリセリ、さん。……う、うう、うゎぁぁああ!!おがぁさん!おとぅさん!どうして、ぁああああ!!」


堰を切ったように大泣きした。うん、うん、泣いて少しでもストレスをやわらげて欲しい。羽毛が色々な液体でグシャグシャになろうと構わない。

エリシアを守りたいと思った。



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