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戦闘らしきもの

女の子を少し離れたところから、囲むように男たちは立ち位置を整える。ちょうど五角形になっている。中心はもちろん女の子だ。


先頭の男が胸元からナイフのようなものを取り出す。装飾が煌びやか!そのナイフの刃を上向きにし、胸に当て祈るように柄を握る。


「おぉ、天におわします我らが神よ。どうか哀れな我ら下民に、救済を。罪人を罰し、善良なる下民に幸福を。」


なにやら牧師さんみたいな、独特のイントネーションがついた口上を述べる。周りの男たちは、牧師さん?が述べた口上を一言一句間違えずに続いて唱える。長くて単調なリズム、ちょっと眠くなっちゃう。


「「神に祈りを。悪には救済を。我らが神、ルーサー様の名の元に。」」


最後はみんなで声を揃えて唱え終わった。アーメン、なんて続きそうなセリフだなぁ。なんてのんびり眺めていると、先頭の男がナイフを素早く逆向きに持ち替えた。そして疲れきって立つのもやっとの女の子に歩み寄る。


…まさか!刺すつもり!?


助ける義理なんてないけど、なんというか、見過ごせない!でも、ちょっと距離があって今から走っても間に合わない!


「ぴーーーーよーーーーーー!!!!」


隠れていた茂みから飛び出て、精一杯鳴き声をあげて注意を引きつける。案の定、男たちは突然現れた私にびっくりして、動きが止まった。女の子もこっちを見て驚いている。あれ…瞳の色が違う?紫っぽい…?


驚いていた男たちだったけども、私がヘンテコながらも魔物だとわかったみたいで、すぐに攻撃態勢を整える。男たちは胸元からナイフを取り出す。みんな同じような装飾をされている、絶対ヤバい宗教団体だよこれ。


前世では全くをもって、宗教というものに関わらず生きていた。クリスマスはクリスマスで祝うし、お正月には神社に初詣に行く。必要な時だけ神頼み、だからこんな魔物になんて転生しちゃったのかもね。


男たちまであと5mほどのところで止まる。相手も攻撃態勢だ、下手に近寄れない。女の子は男たちが壁となり、少し私から遠ざけられた位置にいる。男たちの壁から女の子と目が合う。魔物への怯えとまだ殺されなかった喜びが混じった、透けるような紫の目だ。


助けたい、そう思った。

男たちと戦うのはちょっと、いや、だいぶ厳しい。だから、狙うのは女の子だけ!一点突破じゃあ!


「ぴよぉおおおー!!!」(オラァあああー!!!)


短い足で地面を蹴り上げ、猛スピードで走り出す。



「地の精霊よ、魔物を突き刺す棘を生やしたまえ。」


先頭の男がナイフを掲げて祈るように唱える。

うわ!足元から土の棘が生えてきた!

羽をばたつかせ、方向転換し間一髪避ける。


他の男たちもナイフを構えて、私を殺そうと突き出してくる。右からナイフが、左からも、や、やばい!

なんとか避けられたけど、羽毛が少し犠牲になった。でも、避けるだけだから男たちに囲まれてしまった!


大丈夫、策はある!ふふふー!


「ぴ、ぴよよーーー!!ぴぃぃぃ!!」(わ、私から離れてよーーー!!光り輝けぇぇ!!)


魔力を体に巡らせ、私の体が光るようにイメージをする。バサーっと翼を広げて、神様の後光が刺すようなイメージ。魔法を使う時、イメージは大切!


…ドヤァ!この眩しくなってるうちに逃げる作戦は!男たちも、「なんだこれ!」「ぁぁぁ、目がぁ目がァァ!!」目がやられたね、顔を手で覆っている。

男たちの合間をすり抜けて女の子の元へ向かった。


「う、うぅ…。」


女の子も目がやられたみたい。ごめんね。

でも、ちんたらしていられない!腰の辺りの服を咥えて、その場から走り出した。「え、なに!」って声が聞こえた気がする。首元だと、首が閉まって息しづらいからね!


「キャァァァァアア!!!」

山頂から下っていくおかげで、スピードを出しやすかった。


ふっ、はっ、よっ、ぴよっ!

目の前に迫る大木の幹の軍勢を、華麗に避けていく。山登りとかで、足とスタミナは鍛えられたおかげでスピードを出しても平気だった。

さて、そろそろ止まっても大丈夫かな?ゆっくりゆっくりスピードを下げていく、一気に止まると足に負担がかかりすぎて折れちゃう。


そして近くの大きな木下に穴を掘り、そこに女の子を寝かせる。下り坂を下がっていくうちに、気絶しちゃったっぽい。そりゃそうだ、あんなの下手なジェットコースターより1億倍怖いわ。

腰の辺りが唾液でべとべとになっちゃった…。あっちゃあ〜。

穴の入口は狭くして、他の魔物から見えないよう注意をする。


私は穴の上に座り込み、女の子が起きるのを待った。

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