現状把握
読みやすく改稿しました。
ふわ ふわ
なんだか、ポカポカ陽だまりの中にいるような暖かくて、それでいて居心地のいい、夢を見ていたような。そんな気持ちで目が覚めた。そういう日ってあるよね。
(あれ、こんなに気持ちのいい目覚め、いつぶりかなぁ。最近連勤で疲れてたからなぁ。どれ、起きるか。)
目を開けた…けど、目を開けても何も見えない。
ん…違うね?たしかに目は開けているんだけれども暗い、見えない、何も…。
夢心地な気分からサッと意識が覚醒する。
(あるぇ…?なにこれ!?…んん??)
いつも通り起きようと体を動かそうとして気付いた。
(え、せっま!??どこ、ここ、狭すぎて上手く動けない!酔いすぎて変なとこで寝ちゃったのかな!?最近そんなに飲んでなかったし、はめ外しすぎた!?)
ーーー
「今日も仕事お疲れぇい!かんぱ〜い!!」
「「うぇ〜い!!!」」
コチン、とグラスがぶつかり合う涼しい音がする。
「ごくごくごく、ぷひゃ〜〜〜!冷えてる冷えてるぅ!」
うんうん、やはり酒は冷えてるうちに飲まなきゃあ!ま、そんなに強くないんだけど。てか、飲んだ後の記憶残ってることのほうが少ないっていうか…。
「お!一気なんて良い飲みっぷりね、さすが!店員さん、生もう一杯ね!」
私の向かいの席に座っているのは、由美。たぶん私の記憶が無い
ほど飲むのは、こやつが関係してると思う。
「ちょっと〜、急アルでピーポーなんて嫌よぉ〜。」
由美の隣に座ってるのは佳奈。酒はそこまで得意じゃないって言ってたな。チビチビ飲むのが好きらしい。のんびりの佳奈らしいなって思っちゃう。
高校の友達の由美から誘われた飲み会。
久しぶりに飲もうや!って某アプリでメッセージが来たんだよね。それでいつメン(えっ古い?)の私と由美と佳奈の3人で集まって、近場にあった安い焼き鳥が美味いって評判の居酒屋予約してもらって、飲んで飲んで呑まれて…それで……。
あっ、そうそう、そうだっ!久しぶりに飲んだからすごく楽しくなっちゃったんだよね。
「百合さぁ、笑いすぎじゃね?爆笑なんだけど!」
由美が半分空いたジョッキ片手に、笑いながら突っ込む。
「そんなんだから彼氏出来ないんだよ〜。もっとお上品にしなきゃ〜。」
彼氏持ちの佳奈は、スマホ片手におつまみの枝豆を食べてる。勝者の余裕か!
「も〜、余計なお世話っ!んふ、ぷ、ちょっと、待っあははははっ。ひゃーーーーっ!!!うぐっ、げっほげっほげほ、ちょっ笑いすぎてむせ、げっほげほ。」
酒もだいぶ回ってたし、笑いのツボが浅くなってた私。引き笑いに誘発されて、口に入ってたぼんじりが変なところに入ったみたい。
すごくむせちゃったんだ。
「うぷぷ。ん、まって、百合大丈夫?ちょっ、顔色悪いよ?」
「百合?百合?え?百合ー!!!!」
さっきから上手く息が出来なくて、苦しい…!!
「百合…ーーー!!救急車……ん…で!」
テーブルから身を乗り出してこっちを見てる二人。さっきまで赤かった顔が、すっかり青くなってる。
なんだか声が聞こえなくなって、そのまま目の前が白くなって…
って。
(え、私死んでないよね?いやいや、死んどる!!!!!!!死んどるやんけ!!!!!おぎゃぁぁぁあ!)
びっくりしすぎて脳内で叫びまくった。なななななななアババババババ……いいいい一旦落ち着こう。
(も、もしかしてリアルすぎる夢…とか?い〜や〜、有り得ない!)
あの日の仕事のこと、飲み会のこと、話した内容ハッキリと全て覚えてる。珍しいことに覚えてる。だから、あれは夢じゃないってことは分かる。
うーん、ってことは生き返ったのかな?なんで真っ暗…?目は開いてる、よね?
顔に手を当てようとして、また気がついた。
およそ手だと思われる働きをする「なにか」はあるが、指の感触がない。というより顔まで届かない。
(私の体に何が起きてるの!?)
びっくりして顔を起き上がらせようともがくと、コツン、と硬いものと硬いものが当たる音がした。発生源は私の口らへんと、その先らへん。見えないから曖昧な感覚でしか言いようがない。
ちゃんと、リップケアしなさすぎて唇乾燥しちゃったかな??
いやいや、なわけあるかい。もう1回顔を前方方向に動かしてみた。
コツン、と音が鳴る。
何か変なマスクでもかけてるのかな、そんな感覚だった。今度は思いっきりぶつけてみた。えい。
ピキッ
壁にヒビが入った。そこから光が漏れるように入ってくる。このまま頭突き?口突き?を繰り返せば割れそうだ。あんなに思いっきりぶつかったのに、不思議と痛みはなく、付けているマスク?も壊れた感触はない。
…マスクというか、私の体の一部みたいな気がしてきた。もう1回ぶつかれば、割れて、外に出られそうだった。えい!
ピキピキ パリンッ
視界がぼやける。眩しい。今まで暗いところにいたから、当然。見上げた空が、ひたすらに青く広いことはわかった。
(さーて、ここはどこでしょう?)
光にも目が慣れてきたので、周りを見渡した。そして絶句する。見渡す限りの緑の葉っぱ。しかも、木を上から見たような形をしている。つまりはここは木の上ってこと。
手前には、柵みたいに枝木が編んで出来ている。私の目線よりは低い、落下防止かな。床も同じく木が編まれている。
あ、そっか!森にいるのに空が青く広いのは木の頂点に居るからなのね。納得した。
って、は??は??いやいやいやいやいや!なにこれ助けて!
誰か呼ばなくちゃ!声を出そうと空気で胸を膨らます。
「ぴよー!ぴぃいーー!!」(誰かー!助けてぇー!!)
…ぴよ?
「ぴよ?」(は?)
視点を足元に移して、「自分」を見た。黄色くて、フカフカした毛が生えている。
フォルムは丸く、可愛らしい。着ぐるみみたい。そして足、どこぞの鳥だよね。黄色い、うまれたての、鳥。これらから導き出される答え。ひとつしかない。
(もしかして…私、ヒヨコなの……?)
スゥーーっ、思いっきり息を吸い込み、叫ぶ。
「ぴよおおおおぉぉぉおお!!!」(なんじゃそりゃぁぁぁああ!!!!)




