ボス部屋の怪
今日は土曜日、出張中の親父と旅行中の母が帰ってくる日だ。
俺は2人にメールで友達と遊ぶから夕飯は要らない旨を連絡し、五反田ダンジョンにむかった。
今日は5階の階段を探すつもりだ。
ダンジョンはその規模にもよるが所々にボスと呼ばれる怪物の出る部屋がある。
そのボス部屋の奥に下に降りる階段があるのだが、このボスを倒さないとその階段のある部屋の扉は開かない。
そして、五反田ダンジョンの5階にはボス部屋があるのだ。
五反田ダンジョンの5階は前半部分はリザードマンのうろつく迷路だが後半部分はボス部屋しかない。
俺は五反田ダンジョンに入るとまずは4階層を目指した。
途中で出てくる怪物は狼までは全て無視して走る。
ステータスが上がっているせいで体が軽い。
苦も無く昨日いた4階層の中ほどまで進んだ。
落ちた魔石はオーク以外全て無視したため、ここに来るまでにオークの魔石を8個拾っただけだった。
その代わりここまで1時間弱でこれた。
昨日いた小部屋を横に眺め奥に進む。
ここまでくると人は全然いない。
五反田ダンジョンは稼げるダンジョンじゃないため初心者の練習用として認知されている。
潜っても精々がオーク肉目当てに潜るだけなので3階層に人がちらほらいるだけだ。
そのため4階層の中盤までは人が来ない。
俺もここから先は行った事がないので慎重に進む。
なるべく音をたてないように石畳を進み、曲がり角や十字路では時間をかけて確認し先に進む。
中央の辺りは昨日一掃したせいかリザードマンがおらず、だいぶ奥に入ってから見かけるようになった。
慎重に様子をうかがっているとゴブリンやコボルドのように魔石を残し死んでいく。
一度見付かった時も狼と同じように近づいてくる途中で死んでしまう。
安心し心に余裕が出来てくると、あちこち辺りを見回す余裕も生まれてきた。
そうすると5階への下り階段があっさり見付かった。
時計を確認すると、ここまでで3時間くらいだ。
下の階に行くか迷う。
考えた末に、階段近くの小部屋で罠を張り、ここまでの地図を書く。
それから5階へ降りてみる事にした。
最後の犬用缶詰をあけ、小部屋に待機する。
今日は昨日と違い1時間ほどで周りのリザードマンを狩りつくしたようだ。
魔石を数えると72個あった。
小部屋で荷物を纏め深呼吸する。
今日は5階のボス部屋を確認してから帰る事にする。
5階に降りて、真ん中の道を選んで奥に進む。
ボス部屋のある階層は前半部の迷路はともかく、後半部のボス部屋の入り口は常に真ん中にあるのだ。
そのため最短距離を行きたいなら真直ぐ進めばいい。
30分ほどかけて襲ってきたリザードマンを退けたどり着いたボス部屋の扉は天井まであるような大きな扉だった。
いかにもこの先にボスがいますよ的な作りだ。
扉を開けて中を覗きこむと・・・いた!
身長3mほどの青い鬼、オーガ(青)だ。
オーガは他に赤と黒がいるが、この青オーガが一番弱い。
それでもオークを片手でひき肉に出来るほど強い怪物だ。
だいたいの距離だが入り口から20mほど離れたところで仁王立ちしている。
その後ろには下の階への階段部屋に通じる扉が見える。
離れているのに威圧感が半端ない。
この部屋に入ると扉がロックされてしまうが、俺のように見ているだけだとボスは襲ってこない。
そのため、ボス戦では扉をあけて遠距離攻撃すると同時に踏み込むのがセオリーだ。
俺がやるとしたら、石を投げつけると同時に部屋に踏み込むのがベストだろう。
オーガ(青)の攻略を考えながら眺めていると不意にオーガ(青)が消えた。
それと同時に俺の耳にコツーンとよく聞く音が聞こえた。
俺は左右を見渡し決心して部屋に踏み込んだ。
後ろで扉が勝手に閉まる。
ドキドキしながら恐る恐る近づくとリザードマンの倍くらいの大きさの魔石があった。
周りを見渡してもオーガ(青)はいない。
オーガ(青)が死んでいるなら奥の扉も入り口の扉も開くはずだ。
入り口の扉を押すとあっけないくらい簡単に開いた。
恐る恐る自分のレベルを確認する。
名前:菅原直道 Lv14→17
年齢:16
職業:呪殺師 Lv4→5
称号:
HP:86→108
MP:98→121
攻撃力:7→9
防御力:5→6
精神力:14→17
素早さ:9→11
知力 :4
器用 :10→11
運 :14→17
職業スキル
呪殺Lv3
スキル
またしても知力が上がっていない・・・。
レベルが3つも上がってるのに、頑なに知力だけは現状維持だ。
涙目の俺の脳裏に敦兄ちゃんの言葉がよぎる。
『レベルを上げてさえいれば必ず知力も上がるよ。』
俺は6階層への階段がある扉に目を向ける。
本当なら今日はここで帰るはずだった。
だが、男にはやらねばならぬ時がある!
いつやるの?今でしょ!では無いが俺は決意を新たに6階層へと向かった。
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感謝の意を込め、拙い文章ですが本日は2本目を投稿させて頂きます。
有難う御座いました。