大分再び
お久しぶりです。
自家用ジェットは経費として認められないと拒否された。
それに維持費もかかるというのでやめた。
代わりに自衛隊のヘリで送ってもらえる事になった。
契約書にサインすると、そのまま連れ出され4時間後には大分ダンジョンの真上に来ていた。
初めて乗るヘリに、はしゃいでいたが3時間強も揺られていると流石に飽きてくる。
途中で大型のヘリに乗り換えたため、機内は広く俺達3人の他に自衛隊の人も何人もいるが、皆フレンドリーで優しい。
「もう、あと2分ほどで大分ダンジョン上空ですね。」
俺達の世話をしてくれていた自衛隊員がそう言うと、俺達の後ろに他の隊員が無言で回り込んだ。
「少しそのままジッとしていて下さい。」
カチャカチャとヘリに乗せられた際に着せられた、金具の多い服をいじられている。
「な、何を・・・。」
「暴れないで下さい。」
俺が何事かと思い質問するが、それには答えずヘリの側面のドアが開かれる。
凄い勢いで風が流れ込んできた。
「ちょ・・・。」
思わず、手足をつっぱらせると後ろの隊員に抱きかかえられ、そのまま空へ。
「やめろぉおぉおおぉおお!!!」
物凄い高度から物凄い速さで落下している。
顔に当る風のすごさに、思わず顔をそむけるとそこには人影が・・・。
大輔と加藤君だ。
大輔は大の字で悲鳴をあげながら、加藤君は気絶して吊り下げられたトドの様にぐったりとしながら、自衛隊の人にかかえられて空を飛んでいる・・・いや、落下している。
次に気が付いた時は、俺は地面の上にへたり込んでいた。
パラシュートによる強制着陸。
いくら時間を短縮したいとは言え、これはあんまりだ。
ガクガク震える足で立ち上がると、俺達を道連れにダイブしてくれた自衛隊の人達はテキパキとパラシュートをたたんでいた。
「な、直道!加藤君が・・・!」
大輔の声がする方を見ると、死体の様に地面に横たわりピクリともしない加藤君がいる。
大輔がビシバシと頬を叩くが一向に目覚めない。
っていうかグーで殴ってるから気絶してるんじゃないのか・・・。
俺が馬乗りになりながら加藤君を殴る大輔をどかせ、ペットボトルの水を大量に浴びせかけるとブルッと震えながら頬を腫らした加藤君が目覚めた。
「菅原君がいるって事は、ここは地獄なの?」
次の瞬間、俺の幻の右が加藤君の顔面に突き刺さり加藤君は再び昏倒した。
踏み込み、腰のキレ、タイミングと我ながら会心の出来だった。
大輔が加藤君にドバドバと水をかける。
そうだ、殴って起こすんじゃない、一つ賢くなったな。
「直道、もう殴るなよ。」
黙れ!あれは加藤君が悪いのだ!
俺がプリプリ怒っていると加藤君が目を覚ました。
「ここは・・・」
「もう大分だ。・・・加藤君はスカイダイビングで顔面から地面に着地して気絶してたんだ。」
「い、痛い、まるで殴られたようにズキズキする。」
腫れた顔を触りながら加藤君がのたまう。
「酷い落ち方だったからな。終わったらダイエットしないとな。」
俺が優しく声をかけると加藤君が怪しい目付きで睨んできた。
このデブ覚えてるのか!!!
俺達が茶番を繰り広げていると自衛隊の車が到着した。
ただ車というかトラックだ。
俺達は荷物の様に荷台の方につれていかれ積み込まれた。
乗り心地は悪いがどうせ目的地は近くだ。
今日は温泉旅館に泊まり美味い物をたらふく食って英気を養うつもりだったが、何故か俺達が降ろされたのは人気の無い大分ダンジョンの前だった。
いや人気はある。
全て重火器を装備した自衛隊員だが・・・。
「えっ!あっ!・・・。」
俺達の前に左右に割れた自衛隊員が敬礼をして道を作っている。
「こちらへ!」
一緒に来た自衛隊員に先導されながらその居心地の悪い道を歩く。
目を合わせられない。
大輔は呑気そうに見様見真似で敬礼を返し加藤君はビクビクしながら進んで行く。
「こちらには2ヵ月分の水と食料が詰められてます!」
「ど、どうも・・・。」
入り口前で3つのマジックバックを受け取る。
「ご武運を祈ります!!!」
「「「ご武運を!!!!」」」
先導の自衛隊員がそう言うと、それまでピクリとも動かず敬礼したマネキンのようだった自衛隊員が大音量で復唱してきた。
こうして俺達は俺達の思惑とは裏腹に強制的に大分ダンジョンの地を踏むことになったのだった。
ようやく時間がとれたので続きを書きました。
まだ仕事が忙しく体力的にきついのでどのくらいの頻度での投稿になるか分かりません。
まだ頭の方が仕事関連で埋まっているため辻褄が合わない事を書くかもしれません。




