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修羅の国

すみません、投稿確認で止まってました。


出発は有明からだった。

何故かこの方面の地理に詳しい加藤君が、助手席で道案内をしてくれた。

18時出発で暇だった俺達は昼頃について、昼飯を食い車を船に乗せた後は、大カラオケ大会と洒落込んだ

もちろん得点表示をして1位の奴は代金免除だ。

この賭けはカラオケ好きだが余り上手く無い大輔がいるため、俺と加藤君の一騎打ちとなる。

ぶっちゃけ楽勝だと思っていたのだが、このデブは肺活量があるせいか歌が上手かった。

オペラ歌手とかも太った人が多いが、その傾向があるのだろうか。


負けじと俺も自慢の歌唱力を披露するが、その瞬間こめかみに激痛が走る!


「あうっ!」


おかしな声をあげて動きが止まると、皆が心配そうにこちらを見ている。

最近、たまに頭が痛くなるのだが、何故かその時、皆が俺を注目している。

初めは心配してくれているのかと思ったがカイムまで目を見開いて俺を見ている。

あの鳥は自分が興味あるもの以外に関心をはらわない。

おかしいぞ・・・。


「・・・お前等、何故俺を見ている?」


「そりゃあ、友達がいきなり変な声をあげたら心配するだろ!なっ!」


大輔の声に皆が頷き肯定の意思を示すが、俺の頭が凹んだ事を笑って話すような輩が、俺を心配する事が信じられん。


「昔は俺が怪我をしても笑って煽ってたはずだが・・・。」


「ぼ、僕達も成長してるんだよ。もう子供じゃないから、そんな事はしないよ。」


俺の怪我を笑ってたのは、それほど昔じゃないんだが・・・。

怪しいな。

だが、加藤君まで誤魔化しに走るとは、聞いても素直に話したりはしないな・・・。


「そうか、俺は大丈夫だ。心配かけて悪かったな。」


俺の一言で皆がぎこちない笑顔を作るが、口の端が痙攣しているからバレバレだ。

間違い無い。

こいつ等、何かを隠してる。


その後はいい時間だったのでお開きにし、乗船するためにフェリー乗り場の方に移動した。

そして18時、馬鹿デカいカーフェリーが港を離れる。

明後日の朝に福岡の港に着くため、この船で2泊する。

ちなみにカイムは俺のカバンの中に隠れて密航だ。

部屋の中では出してやるつもりだが、人目に付くような行動は出来ない。


部屋の中ではトランプが大活躍した。

神経衰弱は1度やったら加藤君が圧倒的な強さを発揮したため、基本ジュースをかけたババ抜きかポーカーだ。

ババ抜きは俺と加藤君が、ポーカーは馬鹿づきした大輔がそれぞれ勝ち越し、収支はだいたいトントンとなった。


修羅の国、九州に着いた俺達は、車を受け取るとそのまま、あの有名な別府温泉に向かった。

九州地方には、福岡、大分、熊本、鹿児島、長崎と5つのBランクダンジョンが固まっている。

そのため、港から一番近いのは福岡なのだが、今回は2つ以上のダンジョンを攻略する予定なので福岡ダンジョンは最後にする事にしている。



「や、やめろぉおぉおおお!!!」


「す、菅原君・・・・。」


温泉旅館の豪華な夕食が終わった後、俺は大輔を吊り天井にかけていた。

吊り天井、別名ロメロ・スペシャル。

一度決まれば脱出は困難、そして全身が痛い。


「吐け!大輔!貴様ら、俺に何を隠している!!!」


オロオロする加藤君を尻目に脳筋戦士を絞り上げる。


『主の頭を心配しているだけだ。他意は無い。』


カイムが淡々とした口調で失礼な理由を説明するが本当だろうか。


「そ、そうだよ。菅原君は一度頭の怪我をしてるし、それから時々頭が痛いっていうから心配なんだよ。」


本当か?・・・加藤君が嘘を言うとは思えんが・・・。


「本当だ!お前、頭が凹んだんだぞ!何で死んでない?」


大輔、お前はお仕置きだ!

大輔の体を揺さぶりながらダメージを蓄積させる。


「ぎゃあぁああ!!!や、やめろ!この馬鹿!!!」



「くそが!ひでぇめに遭ったぜ!」


自身に回復魔法を使いながら大輔がわめいている。

コソコソしたお前等が悪い!

こうして九州での初めての夜は更けていった。

明日は大分ダンジョンに挑む予定だ。

早く眠らねば・・・。

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