消去
遅くなりました。
目が覚めると何故か頭が痛い。
顔を洗うと額の部分がヒリヒリするので、見ると少しだけ擦りむいたような傷がある。
こんな傷、いつ出来たんだ?
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俺はカイムさんが言ってた裏ステータスの話も込みで、直道の事を加藤君と相談した。
「そんなのあるの?」
「そうみたいだ。カイムさんが言ってたよ。直道の奴は魅力が5なんだって。」
「ぼ、僕が6だよね。」
加藤君の問いに無言で頷く。
加藤君は女性関係では暴走しがちだが、元々は普通に善人だ。
俺は気が小さいために女性といると、緊張して頭が働かなくなり奇行に走るためモテないのだと思っていたが別な理由がちゃんとあったのだ。
「俺が差し入れ持って行った時は床で寝てた。カイムさんが言うには発狂状態だったらしい・・・。それで、相談して記憶の一部を消した方がいいんじゃないかって話になったんだ。」
「出来るの?そんな事!」
「カイムさんには出来るらしい。ただ、処置後すぐは戻り易いから注意が必要だって。」
「時間が経てば平気なの?」
「乾くのが遅い修正液みたいなもんだって言ってたな。記憶という文字の上にそれを塗ると文字が読めなくなるから忘れるって。その代わり乾くのが遅いから、拭き取られたら簡単に読めるようになるとか・・・だったかな。」
「どのくらいの期間か聞いてる?」
「人それぞれらしい、だからしばらく直道に女性関係の話をしない方がいいんだ。加藤君には悪いが協力してもらえないか?もちろん合コンの件はこれが終わったら何とかしてみせる。」
「気にしないで。僕だって、何が大事かくらいは分るからね。」
こうして俺はあの馬鹿のために加藤君の協力を取り付けた。
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俺が朝飯にしようと家から出ると、大輔と加藤君がいた。
「あれ?どうした?」
俺の家に来る事自体は変じゃあないが、いつもは先に電話かメールがくるんだが。
「あ、ああ・・・だ、大丈夫か?」
「何の事だ?」
俺が答えると、2人が俺から離れてヒソヒソと話をしている。
「おかしな奴等だ。立ち食いソバ食いに行こうと思ってたんだが、お前等、朝飯は?」
「俺等は食ってきた。ちょっとカイムさんに聞きたい事があるんだけど、家にいるか?」
「ああ、パソコンの画面睨んでるよ。俺はコロッケ玉子そば食ってくるから、勝手に入って話してろよ。」
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俺が朝飯を食って家に帰ると、ドアを開けた瞬間6つの眼が俺を捉える。
異様な視線にビクついたが無視して部屋に入ると、俺の動きに合わせて顔が動く。
なんだがホラーっぽい光景にドキドキするが、こいつら何のために俺を見てるんだ?
「気色悪いな!なんか言いたい事があんのかよ!」
「直道・・・これからの予定だが・・・どうする?」
予定・・・あれっ・・・秋に青森のダンジョンに行くんだよな・・・。
これからは・・・・。
「ほら、北海道か九州にって話だよ。忘れちゃったの?」
『主はよく忘れる。』
そう・・・だったか?
「おい、直道!お前、頭凹んでから物忘れが激しいんじゃないか?」
俺が首を傾げてると、大輔の奴が煽ってきやがった。
だが・・・何か忘れてるような気がする・・・。
・・・まぁ、そのうち思い出すだろ。
「やかましい!脳筋戦士!俺以上に物忘れが激しいお前に言われる筋合いは無い!」
「おう!調子出てきたじゃねえか!それでどっちにするんだ?」
「そうだな。北海道もいいが、あっちはAランクダンジョンもあるからな。まずは九州地方がいいんじゃないか?4つ全部攻略出来ればベストだが2つくらいは攻略しておきたい。」
「じゃあ、8月入ったら1ヵ月は九州遠征で、1ヵ月休んでそのご青森遠征でいいよな。」
まぁ、それでいいけど、やけに張り切ってるな。
「じゃあ、それまでは準備期間として、問題はどうやって行く?」
「陸路でいいんじゃね?でも九州とかだフェリーとかありそうじゃね?」
「じゃあ、船があったら船にするか?」
とんとん拍子で話しはまとまり、それまでに俺は備蓄の買い出し、大輔、加藤君でホテルやダンジョンの調査となった。
・・・なんか忘れてる気がする・・・。
感想と誤字報告、有難う御座います。
この度は何度か書き直していたため、壮絶に遅れました。
頂いた感想と誤字報告はこれから読ませて頂きます。
本日1本目の投稿をさせて頂きます。
有難う御座いました。




