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上がらない知力

「ええ、そうなんですよ、もう熱は引いたんですが衰弱が激しくて・・・ハイ、本当にすみません、今日も含め、土日もゆっくり休ませますんで、ハイ、それでは宜しくお願いします。」


「ありがとう、敦兄ちゃん!」


敦兄ちゃんのアリバイ電話のお陰で俺は無事3連休を達成出来た。

これで土日も含めて5連休だ。

明日からは休みでダンジョンも混むだろうから、一気にスパートをかけるぜ!


「いいよ。それとミッチャンにこれあげるよ。」


敦兄ちゃんが汚れたノートを渡してきた。

なんだこれ?


「それは五反田ダンジョンの2階までの地図と魔物の分布、その他気付いた事を俺が書き込んだノートなんだ。もう使わないからミッチャンにあげるよ。」


マジか、ぶっちゃけそこまで必要じゃないけど、敦兄ちゃんにとっては凄い財産のはずだぞ。


「い、いいの?」


「ああ、それでミッチャンの役に立てるならね。俺はもう書いてあることは全部覚えてるし、必要無いから是非受け取ってよ。」


「ありがとう、敦兄ちゃん!・・あっ!そうだこれ、おばさん達と一緒に食べてよ。」


俺は昨日ドロップしたオーク肉を丸ごと敦兄ちゃんに押し付けた。

元々、俺は家で料理をしないので敦兄ちゃんへのお土産として持って来たものだ。


「えっ!これってオーク肉じゃないの?」


「そうだよ。昨日ちょっとだけ3階に行ってみたんだ。それで運よく落ちたから敦兄ちゃんにと思って持って来たんだよ。」


ドヤ顔で答えると敦兄ちゃんも笑ってくれた。


「本当にいいの?売ればかなりの値段になるよ。」


「いいよ。元々食材系は売るつもり無いし、そのうちまた落ちると思うから。」


俺がこんなに気前がいいのは訳がある。

昨日の5万円を超える買取金額もそうだがステータスの件だ。


名前:菅原直道 Lv8→11

年齢:16

職業:呪殺師 Lv2→3

称号:

HP:53→71

MP:66→84

攻撃力:5→6

防御力:3→4

精神力:9→11

素早さ:6→7

知力 :3→4

器用 :7→8

運  :9→11

職業スキル

呪殺Lv2

スキル


ついに知力が1つ上がった。

これで俺の知力は当初の倍だ。

きっと今後のテストでも活躍してくれるに違いない。


敦兄ちゃんと別れた俺は今日も五反田ダンジョンに直行した。

今日は4階への階段を見付けるのが目標だ。

もう、狼は経験値的においしく無いので3階層の奥までは無視をする。

襲ってきた輩だけを倒して魔石を拾うだけにした。


今日1日かけて4階層への階段を見付けるつもりだったが、3階の奥の部屋でオークを1度罠にかけた後、あっさり見つかった。

現在の時刻はまだ午後2時だ。

4階奥まで行ったとしても十分戻ってこれる。


4階層の奥になると今度はリザードマンが出るようになる。

この二足歩行するトカゲの化物は、オークと同じくらいの体格で自前の鱗が堅牢なため防御力が高い。

その上、剣の扱いが巧みでかなり強い。

唯一安心できる点は単体でしか遭遇しない事だ。

オークは1~3体でいるのが多いのだが、リザードマンは必ず単体でいるのだ。


俺は4階への階段を緊張しながら降りると、奥に向かって一直線に進み出した。

帰り道が分かり易いようにするためだ。


中間地点を超えたか超えないかの辺りで、第一リザードマンを発見した。

黒っぽい緑色の鱗をしたトカゲが、右手に小さい盾、左手にボロボロの湾曲した剣を持ちうろついている。

身長は約2m、オークの様に太っているわけでも無く鍛えられた引き締まった体をしており、チロチロと舌を出し入れしている。



やばい、普通におっかない。

また、今度にしようと思い、ゆっくり後ずさりをしたら、転んでしまった。

右手に持った槍が石畳に打ち付けられ硬い音を出す。


遠目から見てもリザードマンの顔がこちらを向くのが分かった。

始めはゆっくり、そして俺を見付けると飛ぶように走り出して接近してきた。


「ギシャアァアアア!!!!」


叫び声と共に飛び掛かるリザードマンを何の抵抗も出来ないまま見つめる俺。

だめだ!!相手の動きがスローに見える。

これが死ぬ間際の走馬灯か・・・。

呆然とする俺の目の前でリザードマンが光になって消え、慣性のついた魔石が俺の顔にぶち当たる。

痛い・・・・だが、俺は生きている。


震える手で魔石を掴み、近くの扉を開け、中を確認すると飛び込んだ。

両肩を抱きながら震え落ち着くのを待つ。

俺のスキルはリザードマン相手にもキチンと仕事をしてくれた。

狼と同じで近づく事は出来ても、俺に攻撃を加える事は出来ない。

自分に言い聞かせるようにブツブツ言うと体の震えも止まってきた。


もう奥に行く気は無いが、ここで罠を張ってみよう。

オークも来るかもしれないが、リザードマンも来るだろう。

自分に無理矢理言い聞かせ、扉の左右に餌をセットし、自分は部屋の中に避難した。

座布団を使う事も忘れ聞き耳を立てるとオークらしき音とそれとは違う2種類の音がする。

そして恒例の魔石の落ちる音もだ。


いつもと違いその場では2時間ほど音が途切れなかった。

4階のほぼ中央付近にいるため、餌を見付ける怪物が多かったのかもしれない。

音がしなくなってから扉をあけると、魔石が山になっている。

急いで拾い集めて部屋の中に戻り数えてみた。

オークの魔石とリザードマンの魔石は大きさが違うからすぐに判別出来た。

オークの魔石が132個とリザードマン魔石が176個だ。

ほぼ中央にいるのかと思ったが若干奥寄りなんだろう。

忘れずにステータスを確認する。



名前:菅原直道 Lv11→14

年齢:16

職業:呪殺師 Lv2→4

称号:

HP:71→86

MP:84→98

攻撃力:6→7

防御力:4→5

精神力:11→14

素早さ:7→9

知力 :4

器用 :8→10

運  :11→14

職業スキル

呪殺Lv2→3

スキル


レベルが3つ上がってる・・・が知力はまた駄目か・・・。

敦兄ちゃんはレベル2で知力5になってるのに、俺のこの知力の上がり具合はどうなってるんだ。

呪いか何かなのか。


時計を見るともう5時を過ぎている。

今日はここまでにして一旦戻るべきだろう。

俺は来た道を急いで戻る。

帰りは魔石も拾わず、戻る事だけに専念したお陰か6時半すぎには地上に戻れた。

買取はオークの魔石が194個とリザードマンの魔石が177個で95780円となった。

一気に昨日の倍近くだ。

レベルも大輔を抜いたし、このままいけばレベル20くらいまで行けるんじゃないか。

ニマニマしながら贅沢してファミレスで夕飯を食べて家に帰った。


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