そして冬休みへ
俺の頭がツルツルになってから１ヵ月ほどが過ぎた。
ようやく髪が伸びてきたが、いまだほとんど坊主だ。
寒くなりだしたから早く伸びて欲しい。
俺達３人は相変わらず小遣い稼ぎ程度にダンジョンに潜り、のんびりしていた。
そんなある日、俺の職業スキルのレベルが上がった。
ずっと上がらなかったレベルがついに９になったのだ。
そして知力もあがり、ついに１０だ！
カイムに鑑定させると、クリティカル判定が加わったという。
詳細は分らんがクリティカル判定なんだから悪い物では無い。
カイムからの久しぶりのいい報告に胸躍る気持ちだ。
『主、ニヤニヤするな気持ち悪い。』
今なら鳥の暴言も許せる気がする。
『不憫な男だ。』
鳥のおかしな一言に急速に気持ちが冷める。
どういう意味だ・・・。
「おい、カイム！お前、何か隠してる事があるだろ？」
『ない。』
「なら、今の不憫だってのはどういう意味だ？」
『主は知力が１０になった事を殊の外喜んでいる。』
「そうだけど・・・なんかマズイのかよ？」
『見せかけだ。呪いで半減している。実際は５だ。』
どういう意味だ！！！
カイムに詳しく説明させた。
『主の職業、呪殺師はユニークジョブだ。強力な反面デメリットもある。』
『無条件で敵を葬る代わりに、自身にも呪いをかける。この国の言葉で人を呪わば穴二つという奴だ。』
「ど、どういう事だ・・・。」
『穴というのは墓穴の事で、他人を・・・。』
「そっちじゃ無い！俺にかかってる呪いの方だ！どんな呪いだ？」
『１つは・・・。』
「まて！１つじゃないのかよ！」
『黙って聞け！１つは自身のステータスを半減する呪い、もう１つは常時、混乱（小）になる呪いだ。』
なんじゃ、そりゃあ！！！！
俺は急いでステータスを確認した。
名前：菅原直道 Ｌｖ９８
年齢：１８
職業：呪殺師 Ｌｖ４１
称号：０００５３ダンジョン管理者
ＨＰ：６８６
ＭＰ：７７１
攻撃力：６３
防御力：２８
精神力：９８
素早さ：４９
知力 ：１０
器用 ：５３
運 ：９８
職業スキル
呪殺Ｌｖ９
スキル
って事は俺の知力は５なのか・・・。
いや、まてよ。
「なぁ、カイム。ステータスを見ると知力は１０なんだが、本当は２０で半減して１０なんじゃないのか？」
『諦めろ。呪いはステータスでは判別できん。』
「ホントにホントか？」
『武器防具を付けても、その数値がステータス反映されないのと一緒だ。』
そんなぁ・・・。
「ちょっと待て。だが、俺はテストの点は上がっているぞ。」
『多少は知力が上がっているからだろう。それに体力は付いているから、主のやる一夜漬けは理に適っている。』
その日、俺は久々に枕を涙で濡らした。
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数日後、そろそろ、冬休みに攻略するダンジョンを決めなければならないため、小遣い稼ぎを中断し話合う。
近場のダンジョンと言えば、福島か横浜しかない。
横浜なら電車で行けるが、福島なら俺か大輔の運転だ。
ちなみに俺はまだ免許をとっていないが、冬休みまでには間に合う予定だ。
「福島がいい。」
普段、積極的に意見を言わない加藤君が珍しく主張する。
「本場の喜多方ラーメンが食べたい。」
どうやらダンジョンとは別の目的があったようだ。
だが、この意見に俺と大輔ものっかった。
なんだかんだ言っても高校生はラーメンが大好きだ。
雪道になる可能性も考えて、車は四駆にすることにした。
俺でも名前だけは知っているぼんた四菱のピジェロ、もちろん中古だ。
前のオーナーさんが丁寧に乗っていたおかげで、ほとんど新品同様の車を手に入れる事が出来た。
そして、運命の期末試験、会社設立の書類仕事とおもしろくない作業を終えて、ようやく冬休みになった。
俺も無事に免許を取得出来たぜ。
念のためにスタッドレスに履き替えたピジェロに乗り込み出発する。
中古とは思えないほどピカピカだぜ。
「直道、もっとスピードだせよ！」
馬鹿が俺を煽るが高速に出るまではノロノロ運転だ。
こんなところで警察のお世話にはなりたくない。
かなり時間がかかってしまったが、昼過ぎには福島に着いた俺達はさっそく、予約しているホテルの方に向かった。
ホテルはダンジョンに近いところのビジネスホテルだ。
とりあえず、今日１泊して明日の朝から潜る事にする。
昼はファミレスで済ませ、夜は加藤君の希望でかなり高めのステーキハウスに行った。
１人１万５０００円のコースを頼んだのだが、肉が口の中で溶ける感触に驚いた。
翌日、ホテルをチェックアウトし、福島ダンジョンの入り口をくぐった。
沢山の感想と誤字報告を有難う御座います。
マスクの件は転売なのでしょうか。
１週間前くらいまでは普通にスーパーにあったのに、目敏い奴等ですね。
本日１本目の投稿をさせて頂きます。
有難う御座いました。
