IN大阪ダンジョン
遅れました。
大阪ダンジョンのダンジョンボスは、誰でも知っている魔物ドラゴンだ。
知名度だけで言えばスライムと双璧の存在だが、その強さだけ見れば天と地ほどの違いがある。
最強の魔物はと聞かれたら、多くの人が名前をあげる魔物だろう。
「ドラゴンか・・・でも、直道にかかれば一発だろ?」
ビビりの大輔は俺と何度も潜るうちに、俺のスキルに絶大な信頼を置くようになった。
俺も自分のスキルの力をこいつほど信じたいが、万が一効かなかったらと思うと心配になる。
「たぶんな・・・だけど初見の敵だし警戒はしろよ。」
「すぐにダンジョンに入る?」
食い倒れMAPをもった加藤君が聞いてきた。
残念だが、君を自由にするのは危険だと身に染みてる。
「このまま、ダンジョンに入る!今日行ける所までいって野営する。道が分かれば明日一杯でドラゴンのところまで行けると思う。」
「結構な強行軍だぜ。」
誰のせいでそうなってると思うんだ。
四の五の言わずに働け!
「いくぞ!」
入り口で協会員にカードを見せて入る。
こんな時間では入る人がいないので驚かれるが、特に何か言って来たりはしない。
「いけるところまで走り抜けるぞ!大輔は一番前ですり抜けてくる奴がいたら対処、加藤君は最後尾で道を教えてくれ!
「「わかった。」」
俺達は夜のダンジョンを一列になって走り出した。
加藤君が俺のスキルを検証してくれた話だと、俺のスキルは240mの距離から1秒で俺のそばまで近づけると残HP5%で生き残ってられる事になるらしい。
2秒かかると残りの5%も削り取られるため、とんでもないスピードで動くような奴と、俺のスキルが削り取る以上のスピードでHPを回復させるような奴以外は近づく事が出来ない。
所々にいるボスやダンジョンボスが平気なのは、扉を開けるまで中は別空間として認識されているのではないかと言っていた。
何が言いたいかというと、俺達は順調にダンジョンを進んで行ったという事だ。
途中に落ちている魔石も無視して先へ先へと進む。
24時にさしかかるところで10階層への階段までこれた。
流石に飯野さん達にはまだ敵わないが、かなりいいペースだと思う。
「そろそろ、休んだ方が良く無いか?」
そろそろ皆疲れてきている。
大輔の提案も、もっともなものだ。
「僕はまだいけるよ。」
加藤君が滝のような汗を流しながら強がるが、もう限界のようにも見える。
「よし、下の階で寝床を探そう。それなりに広い小部屋がいいな。」
「地図に書いてある部屋だと、歩いて15分くらいのところのが、ちょうどいいと思う。通路の角に面してるし。」
通路の位置を気にしているのはトイレ事情のためだ。
流石に他人のトイレの臭いの充満する部屋にいたくはない。
そのため、外の通路の角にトイレを設置するようにしているのだ。
そして、夜中に魔物が集まって来てもいいように、トイレに一番近い壁際が俺の就寝スペースだ。
相談の後、10階層に降りた俺達は、その30分後にはそろって夢の中だった。
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「ちくしょう!!!!!開けろぉおぉおおお!!!!」
次の日の朝、俺達は大輔の怒声によって起こされた。
小部屋のドアを赤い顔で開けようと奮戦している。
「大輔、・・・下だ。ドアストッパーを外せ。」
すぐにしゃがみ込みドアストッパーを投げ捨てるように外すと、急いで外に出て行った。
・・・漏らさなくて良かったな。
加藤君は部屋の隅にいた。
そこで寝たのでは無く、彼はその丸い体型のせいでよく転がるのだ。
そのため朝、目を覚ますと、たいてい部屋の角にいる。
「おはよう・・・大輔君は・・・?」
「便所だ。」
加藤君が目をこすりなら聞いてきたので端的に答える。
時計を確認すると、まだ朝の5時だ。
脳筋戦士はいつも毛布1枚で寝ている。
そのため体が冷えて早朝にトイレに起きるのだ。
迷惑だから毛布以外も使うように言っているのだが、聞く耳を持たず言う事を聞かない。
本人は目覚まし代わりに丁度いいと思っているのだ。
「悪い、悪い。でも今日もちゃんと起きれただろ?」
俺の中で静かに殺意が芽生える。
が、起きてしまったのは仕方がない。
朝食を取りながら、予定を考えよう。
「今日中にドラゴンの元にまで行きたいな。」
「今の速度だと1時間で3階層、残り40階層だから12~14時間ってところだよ。」
「ちょっとキツイな・・・。」
俺、加藤君、大輔がそれぞれ口にする。
「まぁ、やってやれなくは無いが、どうする?一気に行くか?」
「ちょっと待って。途中で昼食や夕食を食べるから、更に時間はかかるよ。今日中は無謀だよ。」
たしかに、今日はちょっと無理だな・・・。
なるべく早くに方針を切り替えよう。
「よし、昼まで全力で進んで、そこで長めの休憩を入れよう。昼まであと6時間だから18~20階層進めるはずだ。それで昼飯にして3時間くらい仮眠をするんだ。それから4時間くらい進めば12階層は行ける。遅めの夕食を取ってまた仮眠。そして起きたら残りを一気に進もう。そすれば、明日の朝には終わってる。」
「直道、がいいなら俺はそれでいいぜ。」
「僕もそれならイケると思う。」
なんとなくやってきたけど、この遠征がチームとしての最初の仕事みたいなもんだ。
絶対、成功させるぞ!
誤字報告大量にきてました。
お手間とらせてすみません。
感想も有難う御座います。
鋭い内容の感想が多いのと温かいお言葉が励みになっています。
本日1本目の投稿をさせて頂きます。
有難う御座いました。




