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封印の壺

「ちくしょう!またかよ!!!」


俺は今、体育館なみに広い倉庫のような部屋にいる。

どうしてこうなったのか・・・。

ゾンビ観戦ツアーが失敗に終わった俺は、今回の企画を行けるとこまで行ってみようチャレンジに切り替えた。

そして、臭い31階層を早々に突破し32階層をうろついている時、何の気なしに小部屋に入った。

そうしたら、ここに跳ばされたのだ。


トラップ・・・俺の天敵だ。

魔物には無類の力を発揮する俺のスキルもトラップには無力だ。

これが終わったら、仲間について考えてみる必要があるかもしれない。

今回飛ばされた部屋はカイムのいた部屋と違い、扉が2つ付いている。

但し、どちらも開かないが・・・。


そうして王様の椅子は無いが部屋の中央に壺が一つ置かれている。

大きさは縦1mくらいで、漬物を付ける大き目の壺のような感じだ。

漬物壺と違うのは表面にびっしりと何かの呪文のような模様が彫り込まれ、蓋に4枚のお札のようなものが張りつけられているくらいだ。

お札は蓋と壺をつなぐように張られており、蓋を開けるには破るか剥がすかする必要がある。


明らかに鍵はそれだろうが、罠なのも間違いないだろう。

カイムに鑑定させると封印の壺だという答えが返ってきた。


「中は分からないのか?」


『宝箱と一緒だ。あれは鑑定しても中身は分からない。』


微妙に鑑定は使えないな。


「中身は何だと思う?」


『恐らく高位の魔物だろう。戦え!』


他人事だと思いやがって・・・。


「なぁ、これって中の魔物ってどうなってるんだ?」


『中に動けない状態で詰められている。持ってみろ。』


うぐっ!駄目だ、たいした大きさじゃないのに持ち上がらん。


『実がパンパンに詰まっている。だから持ち上げられない。』


よく、こんなのに入るな。


「中にいるのは何だと思う?」


『分からない。だが、重いという事は大きいという事だ。意識はあるから封印が解けた瞬間に暴れ回るぞ。』


「なんで、こんな壺で封印出来るんだよ。蓋に隙間あるんだぜ。無理だろこれ!」


『隙間は関係ない。封印しているのは札の力だ。』


う~ん・・・どうしよう・・・。

俺がこの状況なら魔物じゃ無く毒ガスとか使うんだが・・・。

本当に魔物なんだよなぁ・・。


「なぁ、札を剥がさず、壺を壊したらどうなる?」


『その壺は壊れない。札によって守られている。』


「絶対か?」


『くどい!』


札とらない限り壺が壊れないなら、別の手を使ってみよう。


俺はカイムの中に食料とか水を買って溜め込んでいる。

その他にもキャンプ用品や目に付いたものを買ったりして、いざという時のために溜め込んでいる。

その中には当然、料理道具や調味料もあるわけで、卸売りの店でそれらも大量に購入している。

なんせ、金だけは持ってるからな。

我慢する必要がない。


そして、その中には油も大量に保管してある。

俺はカセットコンロに油をなみなみと注いだ鍋をセットし、アツアツにあっためた。

そして、加熱すること10数分、油は恐ろしいくらいの高温になっている。


『主、何をする気だ。』


「無論、蓋の隙間から流し込む!封印中に攻撃されたらどうなるんだ?」


『分からん。誰もやった事が無いからな。非常に興味深い。』


興奮した様子のカイムが見守る中、俺は蓋の隙間から油をながしこんだ。


!!!!!!!!


効果は劇的だった。

あの重いツボがガタガタ揺れて中から、声にならない悲鳴が上がってる。

ライオンイーターの手甲は分厚いから鍋掴みにちょうどいい。


ガタガタ揺れる壺を掴み、容赦なく隙間に油を流し込む。

鍋の油を全て入れたが壺の方が大きいため、もう少し入りそうだ。

第二段の油を用意している間に壺の周りに薪を置き、着火剤を使ってマッチで火を付けた。

ビバ!キャンプファイヤー!


五右衛門風呂の様になった壺が再度揺れ出すが炎の中から抜け出す事は出来ない。

そうこうしてる内に第二段の油が熱せられ、高温になった。

再び隙間から注ぎ込んだが、炎の中にあるため壺を抑えられない。

苦労して何とか流し込み、薪を追加する。


炎の中で踊るように壺は揺れていたが、時間が経つにつれ動きが弱く小さくなっていく。


完全に動きが止まったが、炎はまだくすぶっている。

折角なので、その火で餅を焼いて食う。

海苔と醤油の磯辺焼きだが、俺は醤油が大好きだ。

久々に食う磯辺焼きは美味く3つも作って食べてしまった。


炎にペットボトルの水をかけ、すすが付いている壺のお札を丁寧に剥がして取っておく。

もしかしたら、買い取ってくれるかもしれないからな。

蓋を開けると軟式野球のボールより一回り大きいくらいの魔石があった。

これは結構いい値が付きそうだ。


『むごいな・・。』


カイムに魔石を渡すとそんな事を言われたが、封印したのは俺じゃない。

全ては封印した奴が悪いのだ。

確認すると2つの扉はどちらも開くようになった。

ただ、ここがダンジョン何階層なのかすら俺達には分からない。

この日、俺とカイムは新宿ダンジョンで遭難した・・・・・・。

朝、投稿したら速攻で誤字報告を頂きました。

ご迷惑ばかりかけて、すみません。

本日2本目の投稿をさせて頂きます。

有難う御座いました。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 敵を油で苦しめながら食う餅は旨いか? [一言] きっとすごく美味しい
[一言] 惨すぎて草 既に指摘されてるけど、これカイムみたいな仲魔♀チャンスの可能性あったのでは?
[一言] これ、封印されていたのが巨乳のエロフで従魔案件であったらと考えると、、 なんてね、今となっては分からない
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