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遠大なる計画

「えっ!もう戻って来たの!」


戻った俺を迎えた小さいおっさんの第一声は、俺を非難する言葉だった。


「直道君、がんばったね~!流石、僕が見込んだだけの事はあるよ!」


そして、魔石と拾ってきた不思議な物の買取を頼んだ俺にかけられた言葉は、小さいおっさん自分自身を讃えるための言葉だった。


「これって何なんですか?」


不思議な踊りを踊りだした小さいおっさんが上機嫌なうちに知りたい事を聞いておく。


「これは女王アリのアリ蜜だね!高級食材だよ!それでこっちは回復苔の塊だ!中級ポーションの材料だから期待していいよ!」


どうやら、ドロップアイテムと採取素材だったようだ。

高値が付くって、どれくらいだろう。


「それで清算のほうだけど、軍隊アリの魔石が2904個で580,800円でアリ蜜が40万円、それで回復苔の塊だけど、これは凄いよ・・。」


アリの魔石を面倒臭がらず拾った、過去の俺!よくやった!

それでも半分以上は拾ってないはずだが、まぁいい!!

そ、それで、回復苔は、い、いくらだ・・・。


「回復苔はグラムあたり2万円だ!直道君が持ち帰ったのは113グラムと76グラムの塊2つ!しめて378万円だぁ!!」



おおぅ!やったぜ、俺!!

汚いから捨ててこようか迷ったが良く持って来たぜ!!!

ご、合計すると・・・。


「合計で476万、とんで800円だぁ!!!!」


よ、400万だと・・・。


「運が良かったな!Bランク冒険者の一回の稼ぎの平均だぜ!!」


えっ!今なんつった?


「Bランク冒険者ってそんなに稼げるんですか?」


「そりゃ、もっと深層階に行けば宝箱もあるだろうし、ドロップアイテムだったら高いのが落ちるからな。」


マジかよ!

冒険者どれだけ優遇されてんだよ。

ちょっと待てよ・・・。


「それじゃあ、Bランク冒険者って、月1億2000万稼いでるって事ですか?」


「ああ、違う違う!あいつ等はだいたい10日ぶっ通しで潜って、

10日休むを繰り返してるし、当り外れもあるから、そうだな・・・

だいたい5000万から1億ってとこじゃ無いかな!平均して月7000万くらいだろ!」


いや、7000万でも十分だろ、2ヵ月で・・・億こえるじゃねーか!!!


「それで、金の方はどうする?現金がいいのか振り込みでいいのか決めてくれ!今なら振込でも今日中に間に合うぜ!」


小さいおっさんが喚くので475万を振り込んでもらい、10,800円を現金で受け取った。

その後、小さいおっさんが昼を食べると言い出したので、俺も外に食べに行った。


何が食べたいというのも無かったので、ブラブラとヨドバシキャメラの方まで歩いていくと見知った後ろ姿を発見した。

見間違うはずが無い、揺れるガスタンク、奇跡の男、加藤君だ!


「加藤君、奇遇だね!」


後ろから声をかけると、加藤君が振り向く、よかった他人の空似じゃなくて、

こんな体形の人間が何人もいるわけ無いよな。


「やあ、菅原君。菅原君も限定版トキメモ11を買いに来たのかい?この時間に来ているって事は菅原君も予約したんだね。」


いや、なんだよ、そのトキメモ11って?

しかも限定版だと。


「あ、あの・・・・。」


ゲームを全くしないため知識ゼロの俺がなんとか加藤君に合わせようと頭を悩ませていたところ、不意に後ろから声がかかった。


「ん?」


俺が振り返るとそこにはかなり可愛い子が顔を赤らめ俯いていた。

な、なんだこれは?

今、俺に話しかけたんだよな。


「あ、あの・・・いつも兄がお世話になっています。弟のあらたです。」


ペコリと頭を下げたその後頭部を見つめながら俺は混乱した。

あに?アニ?兄?阿仁?


「僕の弟だよ。」


後ろから声がした。

加藤君の声だ。

俺が後ろを振り向くとガスタンクの加藤君がいる。

一瞬別人がいるんじゃないかと思ったが、ちゃんと加藤君だ。


俺は二人を見比べる。

奇跡の男はガスタンクに近い球状の体だ。

新と名乗った男は、・・・本当に男か?

160cmくらいの身長に細身で、顔は美少女というよりは可愛い系のショートヘアだ。

女の子と言われても驚かないが、男と言われたら証拠を見せろと言いたくなる。


「そ、そうなんだ。俺は菅原直道、君の兄さんとはクラスメイトだ。」


「菅原さんも限定版トキメモ11狙いですか?僕も兄さんと買いに来たんです。」


外見は血縁関係を疑うほど違うのに中身は一緒だ!

一刻も早く、この場から逃げだしたい。


「俺は大輔と待ち合わせなんだ。ほら、あいつ元々筋肉馬鹿だから体鍛えるのが好きだろ!家にバーベル置きたいらしくってさぁ、一緒に見にいくんだ。」


案の定、奇跡の男とその弟はそういった物に興味を示さなかった。

俺は早々に戦場を離脱し、新宿ダンジョンの前にまで戻って来ていた。

結局、コンビニで菓子パンを買って昼食を済ませたぜ。


しかし、加藤兄弟は侮れないな。

弟の方もあの見た目で男でヲタクとは・・・。

加藤兄が泥沼に引き込んでいるような気がしないでもないが、奇跡の男は奇跡の兄弟に改名だな。


俺はこの誰もが驚く今年最後のビックニュースを大輔にメールしてやった。

送信ボタンを押した直後に写メ撮っておけば良かったと思ったが、それはもはや後の祭りだ。


こうして、俺の新宿に詳しくなって女子にモテよう計画は早くもとん挫した。

目を離していたらブックマークや評価が思いっきり増えてました。

なんだか申し訳ない気もしますが、素直に応援して頂いていると思い感謝致します。

本日3本目の投稿をさせて頂きます。

読んで頂いている皆さん、有難う御座います。

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