僕らはみんな生きている。
月曜日、今日からまた憂鬱な一週間が始まる。
俺が教室に入ると大輔のやつがニヤニヤしながら近づいてきた。
「レベル上がったか?」
どうやら俺が自主的に休んでダンジョンに行っていた事を言ってるらしい。
「分かるか?」
「バレバレだろ。」
大輔が言うには俺が休んでダンジョンに行っているのはバレていたらしい、担任の高坂先生も分かっているが黙っていてくれたようだ。
「ぶっちゃけ、戦闘職になってる奴って必ず、ずる休みしてるからな。でも、お前みたいにテスト前に5連休取った奴はいないから、高坂も困ってたぜ。」
うちの学校の1年で今のところ戦闘職が取れた人間は俺を含めて16人いる。
学年で200人ちょっといるから、だいたいが7~8%の比率になる。
元々、戦闘職になれるのは5%前後と言われるので、この数字は高い事になり、たぶん他の高校がそのぶん割をくらっているはずだ。
うちのクラスには俺も含めて戦闘職が5人かたまっており、もう終わったが体育祭は他のクラスに圧勝している。
そのため担任の高坂先生は冒険者に理解がある。
まだ、30代前半の英語教師だが若い分、今の世の中に理解があるともいえる。
ちなみに髭の剃り跡が濃い、ムキムキの男だ。
そうこうしてるうちに高坂が来た。
今日もパツンパツンのTシャツとジャージの下を履いている。
何故、この男が体育教師じゃないのか謎だ。
「よおし!今日は菅原はちゃんといるな!菅原、今度休むときは先生に相談しろよ!」
クラスに笑いが溢れるが、教師がそんなこと言っていいのかよ!
あっという間に昼休みになり、俺は大輔と飯を食いながら、居なかった時のことを聞いた。
「高坂のやつ、HRでお前の事、名指しで言ってたぜ。それで、俺達にも休む前は事前に相談しろって言ってた。」
くそ・・・敦兄ちゃんまで巻き込んで立てた計画が、こんなに早く見破られるとは・・・。
「それで、レベルいくつになたんだよ?みっちりやったら4くらいにはなったか?」
大輔の言葉にニヤリと笑みを返しながら俺は言ってやった。
「悪いな大輔、俺のレベルは既に24だ・・・。」
「冗談はいいからさっさと言え。」
数舜の間もなく即答で返された。
「いや、本当に24だって!」
「・・・お前、最近頭に強い衝撃とか脳にダメージくるような事なかったか?」
脳にダメージだと・・・そういえば猿共の甲高い叫び声を聞いた後はフラフラしたな・・・あの感覚か・・・。
「心あたりがあるのか・・・直道・・悪い事は言わないから暫くゆっくり過ごせ。お前は疲れてるんだよ。」
俺が首を傾げ考えていると、不意に大輔がそんな事を言いだした。
こいつめ、俺にレベルを抜かれた事を信じたくないんだな。
流石、脳筋の代名詞の戦士職だ。
そう言えば、こいつの知力っていくつあるんだ?
「なぁ、大輔って知力いくつだ?」
「なんだよ、藪から棒に・・・俺は戦士職だから知力はあんま上がらないんだよ。」
「いいから言えよ。」
「・・・俺の知力は6だよ。直道はいくつなんだ?」
「・・・お、俺はよ、4だ・・・。」
「・・・そんな落ち込むなよ。お前は後衛職だからすぐ上がるだろ。」
大輔が口数の少なくなった俺を慰め始める。
が、俺はそれどころじゃなかった。
レベルがダブルスコアの戦士より知力が低いって・・・。
そう言えば敦兄ちゃんはレベル2で知力が5になったと言っていた。
レベル24の俺はレベル1の敦兄ちゃんと同じ知力しか持たないのか・・・。
「まぁ、元気出せよ。知力なんかレベルが上がればすぐに上がるよ。」
レベルは上がったんだよ、思いっきりな・・・。
「菅原君、ちょっといいかな?」
俺が漫画なら顔の上半分に縦線が入っているような時に誰かが声をかけてきた。
見上げると、そこには同じクラスの奇跡の男、加藤君がいた。
加藤君は職業、魔法使いの男だ。
昔はただのデブのヲタクだったが、夏休み前に職業が戦闘職と判明し、一躍クラスのヒーローになった。
そして、その後続々と戦闘職の輩がカップルを成立させる中、ただ一人振られ続ける偉業を成し遂げた。
魔法使いとなった後に告白した数が1ヵ月平均で15回。
夏休みを入れてこの数なのだ。
ほぼ毎日、告白しては振られ続ける彼は、俺達の間で奇跡の男として讃えられていた。
「落ち込んでるみたいだけど、諦めたらそこで終わりだ。僕を見なよ。もう同学年は全滅したから今は先輩に声をかけてるんだぜ。」
最強のメンタルモンスターの格好いいのか悪いのか分からない励ましの言葉が俺に力を与える。
どこかで聞いたような言葉だとは思ったが、それはこの際不問にする。
「そうだな・・・加藤君のお陰で力が出たよ。」
「そうだ。僕も頑張るから、菅原君も頑張りなよ。」
奇跡の男、加藤君はそう言って去っていった。
丸い、ガスタンクのような体を揺らしながら・・・。
「大輔、悪かったな。俺も頑張ってみるよ。」
まずは、知力を7まであげる。
そして、宮沢さんより巨乳で可愛い彼女をつくる。
絶対だぁああああ!!!!
応援して頂き有難う御座います。
こんな事でしか感謝を示せませんが、本日3本目の投稿をさせて頂きます。
それと感想を有難う御座います。
それだけちゃんと読んでいてくれている証なので素直に嬉しいです。
参考にさせて頂きます。
有難う御座いました。