呪われた俺
6階層の怪物はライオンイーターと呼ばれるデカいゴリラだ。
もちろんゴリラ等よりも危険で力も強い。
なにより1匹でいる事が無く、必ず2匹以上の群れでいる。
戦闘能力だけ見ればリザードマンより低いが、集団で来るためリザードマンより手強い。
そんな怪物のテリトリーが6階層なのだ。
見付かって捕まれれば間違いなく俺などは引き裂かれてしまう。
恐る恐る慎重に道を進む。
途中、3匹のライオンイーターを発見した。
ゴリラの様に黒くは無く、明るい茶色の毛並みだが、明らかにゴリラよりデカい。
ゴリラは身体の大きいオスでも2m無いが、ライオンイーターは3mを超える。
ゴリラの腕は丸太のようだがライオンイーターの腕はまるで電柱のようだ。
足が短く上半身だけが馬鹿デカいように見えるため一見するとコミカルだが、時折見せる犬歯の大きさなどまるで岩のようだ。
そのまま観察していると3匹のライオンイーターが死んで消える。
大丈夫、俺のスキルはちゃんと仕事をしている。
ゆっくり近づき魔石を拾うとリザードマンと同じくらいの魔石だ。
そのまま石畳の道を進み、中央部近くで部屋を探すと運よく小部屋を見付けられた。
ここで今日最後の罠を張る。
缶詰は全て使い果たしたが、俺は1つだけ秘密兵器を持って来ていた。
それはキッチンタイマーだ。
指定した時間になるとけたたましい電子音が鳴り響くやつだ。
しかも、今時のキッチンタイマーは止めないと徐々に音が大きくなる。
俺はこれを部屋の扉の正面の壁に貼り付け、5分後になるようにセットする。
そして小部屋に駆け込み扉を閉めてその時を待った。
『ピピッ!ピピッ!・・・・・・。』
キッチンタイマーが成りだした。
「ピ!ピ!ピ!ピ!ピ!ピ!ピ!・・・・。」
10秒もするとすぐに音が大きく激しくなりだした。
それにともない、キェー!ともキョー!ともとれる吠え声が聞こえてくる。
ライオンイーターだ。
この大型のゴリラは聞きなれない音に反応し、興奮して叫びながら近づいてくる。
接近が丸わかりなので都合はいいが、叫び声がデカ過ぎて耳が痛くなる。
今後は耳栓も用意しておこう。
そしてそれから2時間半、俺はこの猿共の叫び声を聞き続けた。
最後の方は軽く頭痛がしていたが俺は何とか耐えきった。
キッチンタイマーはとっくに止まっており、途中からは猿の叫び声で他の猿が集まってきていた状態だった。
頭を振りながら扉を開けて、急いで魔石とキッチンタイマーを確保する。
首をコキコキしながら数えると、魔石の数は364個あった。
どれだけいたんだと思いながらステータスの確認をする。
名前:菅原直道 Lv17→22
年齢:16
職業:呪殺師 Lv5→6
称号:
HP:108→140
MP:121→158
攻撃力:9→12
防御力:6→8
精神力:17→22
素早さ:11→14
知力 :4
器用 :11→13
運 :17→22
職業スキル
呪殺Lv3
スキル
「オォオオォォ!!!!マイ!!ガァアアァアアァァ!!!!」
思わずあの猿共にも負けない全力の叫び声をあげた。
だが、これは仕方がないだろう。
レベルが5つも上がってるの知力の上昇はゼロだ。
もしかして呪殺師って前衛職なのか・・・・。
いや!MPが順当に上がっているのだから後衛職のはずだ!!
気持ちを落ち着けるためわき目も振らずに出口を目指す。
戦闘も魔石も全て無視して走り抜けたら2時間ほどで地上に戻れた。
時計を見ると午後7時だ。
午前9時にダンジョンに入ったから10時間ほどダンジョンですごした事になる。
魔石の買取額は驚きの129,620円だった。
時給約1万3000円である。
スマホを見ると母からのメールが届いていた。
何時に戻るのかという内容だった。
9時には戻るとメールを返し、俺は行きつけの五反田のハンバーグ屋に行く。
地下1階にあるこの店はあまり有名じゃないが、牛100%のハンバーグがトンデモなく美味い店だ。
偶にトッピングをサービスしてくれたりもするので俺はガッツリ食べたい時はこの店に行く。
もっとも、今までは財布の中身と相談してだが、これからは好きな時に行けるぜ!
400グラムのハンバーグにライスを大盛りで片付け、腹をパンパンにして店を後にした。
家に戻ると両親からお土産の饅頭を渡された。
嫌いじゃ無いが2人とも饅頭がお土産って、ちょっとどうよ?
似た者夫婦ならそこらへん分かってんだろ!
明日のダンジョンでの昼飯兼罠の餌にしようと思い、リュックに仕舞い風呂に入った後にすぐに寝た。