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僕の異常な学園生活  作者: マロ
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悪魔のレクリエーション


「結果は幸若の勝利だな!では全員降りてこい、これからレクリエーションを始めるぞ!」


観客席から降りてカレン先生の元へ集合する、心なしか先生のテンションが高い。


「模擬戦については後日授業で説明する。それでは楽しい楽しいレクリエーションの説明をしようか。」


そう言ってカレン先生が指を鳴らすと先生の後ろに3mはありそうな大きい砂時計が現れる。


「お前達にはこれから鬼ごっこをしてもらう、ルールは簡単だ、鬼つまり私から砂時計の砂が全て落ちるまで一人でも逃げ切れば勝ちだ。闘技場から出るもしくは観客席に入るのは禁止だが魔法は許可する。」


終始笑顔で説明していたカレン先生は鼻歌を歌いながら準備運動を始める、魔法有りで鬼ごっこなんて命に係わる程危険なのにそれをやると聞いて全員が呆然としていた。


「さぁ始めようか!!!」


準備運動を終えた先生が叫ぶと同時に地面が揺れる程の爆発が目の前で起きる、先生の魔法だと頭では理解していてもあまりの衝撃にパニックになった皆が蜘蛛の子を散らすように逃げ始める。


「さぁ逃げろ逃げろおぉ!ハハハハハハハハハハ!!!」


一心不乱に逃げ始める僕たちを腕を組み高笑いして眺めているカレン先生は、もう教師とは思えなかった。

僕も出来るだけ離れようと全力疾走していると隣に幸若君と美剣さんが現れる。


「お前がライオ・シーベルトだな、親父から話は聞いているこれからよろしく頼む。」


「よ、よろ、しく。」


走っているのにも関わらず一切息切れをせずに話す彼に、精一杯の返事をする。


「おい、早速一人捕まりそうだぞ。」


幸若君に言われ立ち止まり振り返るとカレン先生がゆっくりとした足取りで真っ直ぐ進んでいく、その先にいる最初の標的はパラク君だった。

模擬戦で魔力を使いすぎた彼はとても疲弊していて、カレン先生から逃げようとしてはいるが足取りは遅く、このままだととてもではないが逃げられないだろう。


「早く助けないと!」


捕まれば何をされるかわからない、僕が助けに向かおうとすると幸若君に腕を掴まれ止められてしまう、腕を振り解こうとするがどんなに力を入れても手は解けず、遂にパラク君は先生に追い詰められ逃げ場を失ってしまった。


「最初の犠牲者はお前だパラク・アデオン、模擬戦などしなければ逃げ切れたかもしれんなぁ。」


先生は不敵な笑みを浮かべながらパラク君にゆっくりと近づく、捕まるまいと彼は魔法を撃ち抵抗するが全く通用せず肩を掴まれてしまう。

その瞬間彼の体が地面に飲み込まれ首から上だけが地面から出た状態になり、掴まれても逃れようと抵抗してしていたパラク君はピクリとも動かなくなった。。


「さぁ次は誰だ?早く逃げないと同じ目に合うぞ?」


パラク君の惨劇を見て動きが止まっていた全員が先生の言葉に恐怖を感じ一心不乱に逃げ始める。


「魔法はあんなことも出来るのか。」


「本当ね、すごいわ。」


留学生の二人を除いての話だけど。


「なんで二人ともそんなに落ち着いてるの!?早く逃げよう!」


慌てて僕は走り出すが何故か二人がついてこない。


「後は頑張れ。」


「ご武運を。」


「えっ?」


その声に振り返ると二人の姿は無く、代わりにそこに笑顔の先生が立っていて、その笑みはもう悪魔のような微笑みだった。


「次はライオ・シーベルトか、皆抵抗はするが簡単に捕まるからな少しつまらん、だからお前はちゃんと逃げてくれよ、出来なければお前もあれの仲間入りだ。」


カレン先生が指差す方向を見ると既にパラク君以外に10人程埋まっていて、突然消えた二人も犠牲になってしまったのか心配になってくる。


「留学生の二人は捕まったんですか?」


「いや、あの二人は私が近づいたのに気づいてすぐ逃げたぞ。」


何だか裏切られた気分になった。囮に使われてすぐに捕まるのも癪だから精一杯抵抗してやろう。


「分かりました、魔法を使っても良いんですよね?」


「もちろんだ、その為に捕まえずに待っているのだからな。」


目を瞑り意識を集中させると僕の体が風に包まれ羽の様に軽くなるのを感じる。

これは僕が考えた魔法風の服(ウィンドウェア)、風を体に身に纏うことで全ての動作を素早く行う事ができ10秒程だが空も飛ぶことが出来る。

そのかわり魔力の消費が激しく魔力の少ない僕には長くても3分しかもたない上に発動中は他の魔法が一切使えなくなる、しかもあくまで風を纏っているだけなので防御に関しては生身と変わらない欠陥魔法だ。


「それじゃあ逃げさせてもらいます。」


走り出した僕は魔法の効果で物凄い速さで逃げるが、すぐ後ろをカレン先生が追いかけてくる。


「なかなかいい魔法だな!だが速いだけだと逃げ切れんぞ!」


流石にこれだけで逃げ切れる程簡単じゃない、僕は壁に向かって走る。


「何をするつもりか分からんがそっちは壁だぞ!」


僕の出方を見ているのか後ろを追いかけて来るだけで触ってこない、壁が目前に迫りさすがにカレン先生は手を伸ばし肩を掴もうとしてくる。

壁に激突する直前で僕は壁を蹴り後ろにいるカレン先生を飛び越える、代わりに先生が勢いを殺せずに壁に激突し大きな穴あけた。


「ライオ・シーベルト…」


真っ暗な穴の中から聞こえる低く威圧感のある声に呼ばれ無意識に直立不動の姿勢になる、流石にやり過ぎたと思い命を捨てる覚悟をする。

ゆらゆらと体を揺らしながらカレン先生が近づいて来る、僕の目の前に立つと勢いよく僕の肩を掴んできた。

恐怖心から目を瞑ってしまうが何も起こらないため恐る恐る目を開いて先生を見ると、子供の様に目を輝かせて僕を見つめている。


「合格だ!私はこれを待っていたんだ!素晴らしい!抵抗するのであればこれくらいやってくれないと張り合いがない!抵抗と聞いて攻撃してくる奴ばかりでな!敵わない相手に攻撃するなんて何を考えているのやら…」


僕は訳も分からず呆然と先生の話を聞いていた。


「だが油断は禁物だ、まだ鬼ごっこは終わっていないぞ。」


その言葉に我に返ったが時既に遅く、先生の手が肩から離れるとパラク君と同様に地面に飲み込まれ僕は意識を失った。



「ライオさん起きて下さい、終わりましたよ。」


体ををゆすられて目が覚めると、美剣さんが微笑みながら砂の落ち切った砂時計を指差している。


「あぁ、ありがとうございます。気を失っていたんですね僕」


ゆっくり体を起こすと地面から解放されてることに気がついた。

周りを見ても疲れているからか寝そべったり座り込んではいるものの地面に埋まっている人はいなかった。


「全員目が覚めたか、レクリエーションはこれで終わりだ教室に戻るぞ。」


先生の声が聞こえて一斉に動き出す、みんな肩を借りながら歩いている人もいるくらい疲弊していて、僕が気を失った後も大変だったのだろう。

僕も少しだけフラフラしながら教室へ向かっていると、幸若君と美剣さんが近寄ってくる。


「ライオ、学校が終わったら他の留学生も紹介する、予定を開けといてくれ。」


「今日は疲れたから家で休みたいんだけど…」


美剣さんが言っていたように留学生の皆は雷電さんから僕の話を聞いている、だから遅かれ早かれ顔合わせはするとは思っていた、けれど流石に今日は疲れたから遠慮したい。


「あの程度で疲れるなんて、鍛え方があま過ぎるぞ。」


吐き捨てるように言い残してさっさと教室へ向かう幸若君にムカッとするが、疲れから反論する気力もなく黙って教室へ向かうが余計に疲れた気分だ。



どうしても一話で納めたくて考えていたら一番長くなってしまいました。

誤字脱字や不自然な文章、アドバイス等あればぜひお願いします。

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