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僕の異常な学園生活  作者: マロ
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雷電さんの頼み事


「ライオ・シーベルトは僕ですけど、用件は何ですか。」


この人には見覚えがある、入学式で留学生の説明をしていた雷電さんだと思うけど僕は警戒する。


「そう警戒しないでくれ、俺はチエーニ・シーベルトさんの知り合いで名を雷電という、入学式にも参加していただろ?君に頼み事があるんだ。」


雷電さんが出した名前はセリアの父親の名前だ、チエーニさんの知り合いなら少しは安心だけど、チエーニさんは僕がこうして教会に顔を出していることは知らないはずだ、なのに教会の前で僕を待っているのはおかしい。


「頼み事ですか?内容次第ですけど、でも僕に出来る事なんですか?」


僕の言葉に雷電さんは少し笑った。


「君にしか頼めない事だ、だがこのまま立ち話もなんだし飯でも食いながら話をしよう、店は君が選ぶといい食事代も俺が出すから安心してくれ、では行こうか。」


そう言って歩き出す雷電さんの背中を見てこのまま帰ってしまおうと考えたが確認したいこともあり僕は後を追いかけた。

雷電さんの隣を歩いているとあまりの身長差に悲しくなってくる、163㎝で小柄な僕に比べて雷電さんは見上げないと顔が見えないくらい背が高い、多分190㎝位はあると思う。

僕も高身長になりたい!なんて考えているが会話もなく無言で10分は歩いている、気まずいかなり気まずい、この空気を打破するために僕は思い切って声を掛けてみる。


「雷電さん質問いいですか?」


「いいぞ何でも聞いてくれ。」


雷電さんは隣を歩く僕を見ることもなく返事をする。


「カレン先生と手合わせをして勝ったのは本当ですか?」


「あぁそれは事実だ、あの若さでは信じられない程の実力だったぞ。だが魔法に頼り過ぎている、素晴らしい槍捌きだったが改善する余地は大いにあるな。」


入学式でカレン先生が言っていた事は本当で驚いたが、それよりも騎士でもない王宮魔法師のカレン先生が武器を使うことの方が衝撃的だった。


「カレン先生は槍を使うんですか!?」


驚きを隠せないままでいる僕の問いかけに、雷電さんは少し気圧されていたが小さく笑って僕の方を見る。


「興味津々だな、その事についても教えてやるからまず店を決めてくれないか?


「わかりました!こっちですついて来てください。」


雷電さんの言葉にあからさまにテンションが上がる僕は意気揚々と、よくセリアと一緒に行く喫茶店へと案内することにした。


「いらっしゃいませ~、あらライオじゃな~い!今日はセリアと一緒じゃないのね~。」


喫茶店に入るとウエイトレスをしている顔なじみのメイトさんが声をかけてくるが、隣にいる雷電さんを見て不思議そうにしている。


「まぁ色々ありまして…。」


「わかったわ~、それじゃ二名様ねこちらのテーブルへどうぞ~。」


僕の言葉に察してくれたのか何も聞かずに二人掛けのテーブル席へ案内してくれた。


「まずカレン先生の話なんですけど。」


さっきの話が気になっていた僕は、雷電さんが椅子に座るやいなや質問する。


「その質問に答える前に何かを注文しよう、君も腹が減っているだろう?ついでにオススメを教えてくれ。」


雷電さんの指摘に空腹だったのを思い出して少し冷静になった。


「それもそうですね、オススメはいっぱいあるんですけど僕が好きなのはナポリタンです。ここに来ると必ず注文する位好きなんです、もしよければ食べてみますか?」


僕の提案に雷電さんが頷くと丁度いいタイミングでメイトさんが水を持ってきた。


「ご注文はお決まりですか~?いつもの二つですね~かしこまりました~」


注文をしてないのにメイトさんは水を置いて戻っていく、まぁ僕がナポリタンを頼みすぎていつもので通じるから注文を間違うことは無いと思うけど、あの人会話を盗み聞きしてたな。


「ここは君の行きつけだったのか、落ち着いた所でいい場所だな。」


今はお昼時だからか多少混みあってはいるが雷電さんの言う通り、他のお客さんも穏やかな表情でランチを楽しんでいる。


「ですよね、僕もここでのんびり食事をするのが好きなんですよ。」


「セリアと一緒に食事をするのがでしょ~、は~い、いつものナポリタンお持ちしました~ごゆっくりどうぞ~」


ナポリタンを二つ持ってきたメイトさんは余計な一言を言い残してそそくさと戻っていく、僕はメイトさんのせいで開いた口が塞がらないでいた。


「セリアってセリア・シーベルトのことか?君はセリア・シーベルトの事が好きなのか?」


雷電さんに追い打ちをかけられて僕は項垂れた、そうだよ!そのとおりだよ!でもそんなはっきり言わないでくれよ。半ば自暴自棄になっていたが雷電さんがセリアの事も知っていることが気になった。


「そうですよ!でも雷電さんセリアの事も知っているんですね!」


「そんなに自棄になることはないだろ、シーベルト家については酒の席でチエーニ・シーベルトが泥酔すると家族の話を始めるからな、何回も同じ話を聞けば会ったこと無くても名前くらいは覚えるものだ。」


まぁ確かにチエーニさんはお酒は好きだけどかなり弱い、だから奥さんに禁止されてるのだけれども雷電さんの話を聞く限りだと仕事と言って飲んでるみたいだ。

奥さんに怒られてる場面が思い浮かんでため息が出そうになる。


「それはさておき、頼み事の件だが単刀直入に言うとだな、留学生の面倒を見てほしい。」

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