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僕の異常な学園生活  作者: マロ
13/21

筋肉痛とクラスメイト

屋敷に戻った後はチエーニさんと少しお茶を飲んでからシャワーを浴びてすぐ寝た。

チエーニさんと会話してる時も、シャワーを浴びているときも、ずっと将来について考えていた、もしあの時サーシャさんが扉を開けていなかったら僕はセリアに何て答えるつもりだったのだろう。

ベットに潜り込み目を瞑ると今日の疲れから考える間もなくすぐに眠りに落ちた。




朝の目覚めは最悪だった。

天気は快晴で時計も取り換えてあり問題なく動いてるから今日の朝食は問題なく食べれそうだ。

だけど僕の体は全身筋肉痛で動けないでいた。


「今までで一番酷いな。」


やっとのことで起き上がり制服に着替える、この筋肉痛は昨日使った魔法の反動だから仕方ない。

僕が使った風の服(ウィンドウェア)は動きをサポートしてくれるけど体にかかる負担は倍以上、だから使った次の日は必ず筋肉痛になる。


「ライオ様朝食の準備が出来ております。お嬢様も既に食事をとられていますのでお早く。」


扉越しにサーシャさんに急かされて痛みに耐えながら食堂へ向かう。


「おはようライオ、何か動きがぎこちないわねどうしたの?」


「おはようセリア、ちょっと筋肉痛でさ。」


食事をとるセリアの向かいの席に座るとサーシャさんが朝食を持ってきてくれる。

今日の朝食はパンとハムエッグにミルクだ、食べる前にお祈りをしてから手を付ける。


「入学してまだ二日なのに余程厳しいのね、さすが最高峰だわ。」


厳しいって言うよりも地獄を経験した気分だ、それに最高峰と呼ばれる学園で最初の授業が捕まったら地面に埋められる鬼ごっことは誰も思わないだろう。


「それよりもライオ、今日の夕食はどこで食べるのかしら?」


食事を済ませ紅茶を飲むセリアの一言にドキッとした僕は飲んでいたミルクに咽てしまった。


「ゴホッ!きょ、今日はちゃんと帰ってくるから安心して。」


セリアの表情は笑顔だが物凄い威圧感を感じる、昨日は何も言えずにそのまま幸若君の所に行ったからその事で怒っているのだろう。

しかも朝にした約束をレクリエーションの内容が濃すぎて忘れてたなんて口が裂けても言えない。


「そう!それなら安心だわ!」


あからさまに上機嫌になるセリアに安心する、今日はちゃんと帰ってこないと学園まで馬車で送迎するとか言い出しそうだ。

学園には貴族もいるから馬車で通学する人もいるけど、これ以上お世話になる訳にもいかない。

それにもしそうなってしまったら毎日学園の目の前で今日も頑張ってね!とか、お疲れ様待ってたわ!とか言いながら抱き着いてくるのが容易に想像できてしまう。

それだけは絶対に回避しなければならない。


「それじゃあ私は仕事に行くわ、今日も頑張ってね。」


僕の右手を両手で優しく包み笑顔で食堂を出ていくセリア、触れていた時間は一秒にも満たない位だったのにセリアの柔らかい手の感触と優しいぬくもりがずっと残っていた。


食事を終えて学園に行こうと玄関に向かうとサーシャさんが待ち構えている。


「ライオ様お体の調子が優れないのであれば馬車でお送りしますが?」


「ただの筋肉痛なので歩いて行きますから大丈夫です。」


僕が断ると心なしか不機嫌になったような気がする、サーシャさんはとても美人だけど目付きが悪く基本無表情で笑顔とか他の表情を見たことがない。

仕事に関しては完璧でセリア曰く『サーシャに不可能は無いわ!』という事らしい、だけど僕は常に無表情で黙々と仕事をこなす彼女は苦手だ。


「承知しました、お気をつけて行ってらっしゃいませ。」


「ありがとうございます、では行ってきます。」


やっぱり何故か不機嫌な気がする、無表情だから表情から読み取れないし口調も変わっていないけど違和感があり気になる、けれどそこには触れないことにした。


「ライオ様、お待ちください。」


扉を開いて屋敷を出ようとするとサーシャさんに呼び止められる。


「どうしました?」


「お夕食には必ず間に合うようにお願い致します。」


いつもと違い強めの口調で言われて少したじろぐ、サーシャさんはセリアの専属でもあるし仲が良いから二人の間で何かしらのやり取りでもあったんだろう。


「は、はい…。」


僕の返事を聞くとサーシャさんは仕事に戻って行った、やっぱりサーシャさんが苦手だあの逆らえない感じの威圧感、多分僕は嫌われているのかもしれないと思ってしまう。

それはさておき二人に釘を刺されてしまったので今日は寄り道しないで帰ろう。


学園に着いて教室ではなく闘技場に向かう、僕が闘技場に着いた頃にはクラスのほとんどが集まっていた。

まだ三日の学園生活だけどもう既に何個かのグループが出来ていて雑談を楽しんでいるようだった。

僕は少しでも動けるように柔軟をして体をほぐして準備をする、今日の鬼ごっこでは風の服(ウィンドウェア)は使えないから別の方法を考える。


「よう!お前ライオ・シーベルトだよな!」


後ろから声を掛けられ振り返ると僕と同じくらいの背丈をした緑髪の男子生徒がいた。


「俺はウィリアム・オーランド!気楽にウィリアムって呼んでくれ、よろしくな!」


「それなら僕の事もライオで良いよ、よろしくね。」


彼は一番早くここに来て後から来たクラスメイト全員に声を掛けていたそうだ、僕と軽く雑談をしたあとまだ声を掛けてない奴がいるからと言ってその場を離れたと思ったらすぐに戻ってきた。


「なんだあいつ!腹立つなー!」


戻ってきたウィリアムはかなり腹を立てていた。


「聞いてくれよライオ、パラク・アデオンに声掛けたらさ、『貴族でも無いお前がアデオン家の次期当主である僕に話しかけるな』だとよ!確かに俺は貴族じゃないけどよそんな言い方無いよな、俺以外にも庶民で入学してる奴だっているのにさ!」


怒るウィリアムを横目にパラク君を見ると周りに数人が集まって雑談をしている様だ、上級貴族のアデオン家の次期当主に少しでも覚えてもらおうという魂胆なのだろうか。

笑顔で雑談しているパラク君の表情が突然険しくなり目線が闘技場の入り口に向けられる、僕もそれに釣られて目線を動かすと幸若君と美剣さんがそこにはいた。


「ライオ留学生が来たぞ、ちょっと挨拶して来るわ!」


さっきまで凄く怒っていたウィリアムは先ほどとは打って変わって笑顔で幸若君達の所に走って行ったけどまたすぐに戻ってきた。


「ライオ留学生マジで怖ぇ!男の方は話しかけても『おう!』しか言わないで睨みつけてくるし、女の人はずっと笑顔で返事すらしてくれないんだけど!俺の挨拶変だったかな?」


「いやぁ、ははは…」


怒ったり驚いたり落ち込んだりウィリアムは忙しい奴だけど悪い奴では無いみたいだ。でも警戒されてるなんて言えず反応に困って苦笑いで誤魔化していると幸若君達が声を掛けてきた。


「おはようございます、ライオさん。」


「おはようライオ、昨日は親父が迷惑かけたな大丈夫だったか?」


二人は僕の隣にいるウィリアムには目もくれず平然と挨拶をしてくる、それをみてウィリアムは驚きのあまり開いた口が塞がっていない。


「二人ともおはよう、昨日の事は気にしなくて大丈夫だよ。」


昨日セリアが僕を迎えに来れた理由は雷電さんだった、僕が幸若君の家でご飯をご馳走になっているときに雷電さんが屋敷に来ていたらしく、僕が帰ってこないと騒いでいたセリアに食事に招待したと教えた結果があれだった。


「いや俺も予定も聞かずに連れて行ったからな、すまなかった。」


「確かに最初は断ったけど着いてったのは僕の判断だし、ご飯も美味しくて楽しかったから僕がお礼を言いたいくらいだよ。」


「そうか、ありがとう。」


幸若君のとなりで会話を聞いていた美剣さんが我慢できないっといった感じで幸若君の腕に抱きつく。


「ライオさんこの人ね、昨日ライオさんに迎えが来た後に、『半ば強引に家に連れてきたから迷惑かけたかもしれない申し訳ない事したな』って言って心配してたんですよ!こういうとこ可愛いですよね!」


とても楽しそうに話しながら腕に頬ずりをしている、幸若君は平然としている様に見えるけど耳が真っ赤になっていて照れているようだ。


「ライオ!どういう事だ!何でそんなに留学生と仲が良いんだ!まだ今日で三日目だぞ!」


我に返ったウィリアムが大声を出しながら僕の肩を掴み思いっきり揺らしてくる、塩対応された本人からすれば当然の反応だと思うけど、ウィリアムはかなり力が強くて腕が振り解けない上に物凄い勢いで揺らされて唯の筋肉痛で意識が遠のきそうだ。


「全員集まったか!これからレクリエーションを始めるぞ!」


カレン先生の声が聞こえ渋々解放される、ウィリアムは悔しそうな表情をしていて全然納得していない様子だった。


「ライオこの事は後で話そう、まずは授業だ行こうぜ!」


元気よくカレン先生の元へ走り出すウィリアム、幸若君たちは既に移動開始していた、僕も遅れないよう痛む体に鞭を打って動き出すが今日のレクリエーションは地面に埋まる事を覚悟した。

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