極東勢との対面
教室へ戻る途中で他クラスの生徒すれ違う、レクリエーションが終わって解散になったのだろう、しかもお昼どこかに食べに行こうとか楽しそうにしていて親睦を深めている感じがする。
それに比べて僕のクラスは、先生に追いかけられ、地面に埋められて疲労困憊になっただけで、レクリエーションですらない気がする。
やっとのことで教室に辿り着き椅子に座るがあまりの疲労感に机に突っ伏してしまう。
「今日はこれで終了だ気を付けて帰るように、ではまた明日。」
教卓に立っていた先生はそそくさと教室を後にする、だけど疲労と空腹でクラス全員が動けずにいた。
僕は早く帰って休むために体に鞭打って帰り支度をしているとカレン先生が戻ってきた。
「言い忘れていたが、残りのレクリエーションも同じだから明日からは闘技場に集合だ。」
先生の言葉に全員が絶望感に包まれる、一週間これを続けるなんて地獄だ、とりあえず早く帰って体を休めようと教室を出る、だけど正門で待っていた幸若君に捕まってしまった。
「なにしてる、ライオついてこい。」
「えっ?断ったよね?」
僕の問いかけを無視して僕の家とは違う方向に歩き出す、この感じ雷電さんそっくりだと思いながら渋々着いて行く。でもいつから正門で待っていたんだ?
「行き先ってどこ?」
「着けば分かる。」
「美剣さんは一緒じゃないんだね。」
「先に向かわせた。」
会話が続かない、無言で歩くのは気まずいから話題を振るけど一言で終わり、しかも幸若君も雷電さんと同じくらいの高身長で鋭い目付きをしてるから、睨まれてる気がしてなおの事気まずい。
「着いたぞ、皆もう揃っているはずだ。」
歩くこと十数分、案内されたのは見たことのない木造の建物だった。二階は無く家の周りは石造りの高い塀で囲まれていて中は見えないがとても広く庭もありそうだ。
王国では二階建てが一般的で庶民の家はほとんどが狭く高く作られおり、庭や塀があるのは貴族等の身分の高い人たちが住む屋敷だけだ。
「何を呆けてる、上がれ靴は脱げよ」
「あっ、う、うん。」
驚きで呆然としていたら幸若君に促され戸惑いながら靴を脱ぎ中に入る、外観だけでなく中の構造も全く見たことのないもので、建築技術とか全く分からないけどとても興味深い。
「ここで座って待っててくれ、皆を連れて来る。」
案内された部屋に一人になる、部屋の中心には足の短い大きなテーブルがあり椅子の代わりに四角いクッションのようなものが置かれている。
クッションに座って良いのか分からず壁際に立ち部屋を眺めていると、僕の知っている家とは大きく違っていて見てるだけでも楽しくなってくる。
廊下はよく見る木床だったけど部屋は石や木ではなくて草を編んだようなものが何枚も敷いてある、壁も肌ざわりから考えると土のようなものが使われているみたいだ。
「動くな、お前は誰だ。」
夢中になって壁や床を触っていたら突然体が動かなくなり後ろから首元に刃物を突き付けられる。声からして女の子だと思うけど部屋に入って来た事に全然気が付かなかった。
「あの!幸若君に言われてここで待ってたライオ・シーベルトです!」
あまりの恐怖に声を上ずらせながら答えるけど、何の反応もせず全然解放してくれる気配がない。
「風子!あんた何やってるんだい!」
女性の大きな声と共に後ろにある扉がバン!という音を立てて勢いよく開かれる、それと同時に首元に当てられていた刃物が離れて解放され、安心した僕はそのまま床にへたりこんだ。
「壁を触りながら一人で喋ってる不審者がいたから警戒しただけって、ぎゃああああああああ!!!」
「幸若から居間にライオ君が来てるって言われただろ、ごめんねライオ君驚かせてしまって風子にはきつく言っとくから許してやってね。」
風子と呼ばれる女の子の頭にアイアンクローのお仕置きをしながら優しく声を掛けてくれるが、片腕で人を持ち上げている彼女に苦笑いしか出来なかった。
「姐さんごめんなさい!お願いだから離して~~~~!」
「あんたのせいで幸若は友達少ないんだからね!これまでの分もまとめて反省しな!」
二人の身長差はかなりあり頭を鷲摑みされている彼女は痛みから足をばたつかせているけど床に届いていない。
「ああああああ!頭が!割れるうううううう!」
なかなか解放されず悲鳴を上げ続ける彼女を見るに見かねて立ち上がると扉が開く。
そこから山の様に大きな大男が部屋に入ってきた、今まで見た人の中で誰よりも大きくその大きさに圧倒され呆然としてしまう。
「お客様の前で何をやっている!!!!」
鬼のような形相で叫ぶ大男に気圧された僕の心は耐えきれず気を失った。
正月の関係で更新が遅れてしまいました。急いで書いたので間違ってるところがあるかもしれません。