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アザゼルさん!捕まえちゃたよ!勇者さん?

目を通して下さりありがとうございます。

ゼットスト王国南側国境、

「ウォォォォォォォォォォォォ!!」

「ヤァァァァァァァァァァァァ!!」

「ハァァァァァァァァァァァァ!!」

三人の勇者による連携攻撃が一つの影に繰り広げられられる。が、

「フハハハハ!皆無!!!!」

そう影は言うと、手のひらから禍々しい赤黒いモノを発生させ、地面に押し当てた。一瞬にして周囲一帯の地形は変わり、衝撃波により草木は倒れ、勇者は吹っ飛ぶ。

「グハッ」

勇者達は口から血を吐き、片腕は折れ、ズタズタのボロ雑巾のようだ。

「無理だよ、こんなの無理だよ....勝てるわけないよ....」

マジックキャスターの女の子は、絶望し、泣きながら立ち尽くす。

「あ、諦めるな....まだ....やれる.... 」

身体がボロ雑巾になりながらも、ヨロヨロと立ち上がる。

「無理だって!!勝てっこない!!私たちじゃむ..」

「俺達は勇者だろ!!皆の願い背負ってここまで来たんだろ!!長い道のりだったが、やっとここまで来た!俺は誓ったんだ。絶対助けに行くと誓った!!」

「そうだ....私もお姉ちゃんを助けるまで絶対に諦めない!」

涙を拭い、震える足を前に出しマジックキャスターは覚悟を決める。

「恐怖に打ち勝て!勝負だ!アザゼル!ウォォォォォォォォォォォォ!!!」


百年前、人類の生存する領域に、魔界から魔王軍が領域拡大のため攻めて来た。各地で侵略し、略奪、誘拐、殺戮などを繰り返す魔王軍に、各国はそれぞれ対応していたが、その圧倒的な戦力により勢いは止まらなかった。しかし、魔王軍に対抗するため、各国は協力しある組織をつくる。「聖十字団」の誕生である。各地の家族を失った子供、一般から魔王軍に対抗しようとするものを集め、勇者を生み出す。勇者により徐々に領土を取り戻し、現在は大きな戦いは無くなったものの、小競り合いが続いている。


ガラガラと四足歩行の魔物に鉄格子がついたの鉄車が引っ張られる。

「クソッ!!外れろ!外れろ!」

スゥオンは手枷を壁に叩きつけるが、キィンと高い音を出しただけで特に変化はない。

「もう無理だ....終わりだ....」

スゥオン以外の二人の剣士はブツブツと何か呟いていて、

「....」

マジックキャスターのレイナは黙って俯いている。悪魔に捕まった人間の女は、死ぬまでインキュバスにより悪魔の子を妊娠させられると、聖十字団では教わる。自分のこれからを思うと絶望してしまったのだろう。

「クソッォォォォォォォ!!!」

スゥオンが叫ぶと、鉄車が止まったようだ。すると、アザゼルが誰かと喋り出した。

「いゃ~、今日はたまたま、帰り道で出くわしましてね。なんと、四人もつかまえたのですよ!」

「四人ですか!そんな事もあるんですね~。にしてもアザゼル殿に襲うとは....勇敢なんだか、愚か者なんだか....」

「そうなんですよ。まさか、自分が襲われるとはねぇ....怖いご時世になったもんですね。怖くて夜は一人じゃ歩けなさそうです。久しぶりに、百万分の一位の力出しちゃいましたよ。」

先程戦ったアザゼルとは声は同じでも、別人のような口調に驚きつつ、実力の差に深い後悔を抱く。

「それはそうと、今日の中に女のマジックキャスターがいましてね」

レイナがビクッと反応し、肩を強ばらせる。ポタポタと顔から雫が落ちていた。

「それもね、歳も十八くらいなんですよ!」

「それは素晴らしい!飢えた男どもが喜びますぞ!」

とうとう我慢出来なくなって声に出して泣き始めてしまった。

「レイナ....」

スゥオンは呼び掛けるが全く応えない、応えられる状態ではなかった。

「では、その娘はこちらで預かります。」

「ああ、頼むよ。」

そう言うと、鉄の扉が開き、三体のオークが入ってくる。

「いや!やめて!触らないで!いやぁぁぁぁぁぁぁ!」

「おいおい嬢ちゃん、俺らだって傷つくぜそんなに言われたら。

大丈夫、最初は怖いけど、可愛がって貰えるからよ。そのうち楽しくなるからな、な?」

そう言うと、オークは目隠しをレイナにかけた。

「いや!スゥオン助けて!スゥオン!」

「レイナを離せ!」

スゥオンがタックルをしに行くがオークになぐりとばされた。

「スゥオン!スゥオォォォォォォォン!!」

レイナの叫び声が響きながら、意識が薄れていった。


ガコッ

鉄車が何かに乗り上げ頭を打ったスゥオンは目を覚ました。

「ここは....」

「お、起きたか」

声を聞いたオークが気き、

「レイナ....はっ!レイナは?」

「オメーさん嬢ちゃんとデキてるのか?」

「そ、それは....」

「まぁ、なんにせよ、嬢ちゃんは皆のレイナちゃんになるわけだ」

「き、貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「お、話してる間に着いちまった、降りな!」

鉄の扉が開き、差し込んでくる光に、目を細める。目を開くと、


「「「ようこそ!ゼットスト王国城下町バレバレへ!」」」


そう言った群衆は、悪魔や人間が混ざりあっており、肩を組むものまでいた。キョトンとしていると、カツカツと影が歩く音を出しながら前に出てきた。前に出ると、何処からかつむじ風が影に当たり、晴れていく。そこに現れたのは、紳士服とシルクハット、背中にドラゴンの翼、頭に二本の角を生やした悪魔がいた。

「私は魔王軍幹部、ならびにゼットスト王国統括者、アザゼルと申します。只今より採用面接を始めさせて頂きます!」

最後までありがとうございました。出来ましたら、感想お願いします。

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