スカウト!
「勉強すすめないとな…。」このオレ玉鋼みそぎは大学受験に失敗してしまい、浪人が決定していた。しかし半年ほどたったあとではやる気など削がれてしまう。その証拠に今日も本屋へいって関係のない本を読んできた。日々の自己嫌悪と焦りから余計関係のないことをしたくなる。
「あーあ、もういっそのこと世界を救う旅に出たいよなー。」
そんな下らないことを言ってみた。
『ピンポーン』
チャイムが鳴る。今両親は出かけているから自分で出なくてはいけない。
「はーい、ご用件は…。」
そこに立っていたのは身長は180cmほどある、つばの広く古びた帽子を被っている「いかにも」な魔法使いの格好の老人がいた。
「あの、親とかに何か…。」
この世界では魔法使いは珍しいがいないこともない。というのも別の大陸が発見されたのだ。
紫外線が目に見えないように、今までは干渉不可だった世界が太平洋上に存在していた。オーストラリア大陸よりも面積のあるそれは大発見であった。しかしそこへ足を踏み入れようならば安全という保証はないが。
そんなところに魔法使い達は住んでいた。
「少し話をしたいんじゃが良いかの?」
一見するとただの老人のようだが目はしっかりとこちらを見据えている。そして優しそうな顔立ちだ。
なんとなくだが家に上げた。別に何かしそうな感じもしない。
「ちょっと散らかってますけど楽にしてください。」
洗い物が残っているキッチンだが、そんなに気にすることはないだろう。魔法使いは椅子に腰かけた。
「おお、わしはこの紅茶のクッキーが好物でな。」
出した茶菓子を子供のように喜ぶ。クッキーを食べお茶を飲んだその魔法使いが言った。
「おぬし、世界をすくってみんか?」




