第3話
ラトガルの話が終わった後、俺たちはギルドとなる建物に案内され、そこで一夜を過ごした。一人一部屋というのはグッジョブだった。
ラトガルに聞いたところ元の世界に帰還することは出来ないらしい。意味わからん。どうもこの世界の奴らは信用出来ない。その点ではこの国の干渉が少なくなるギルドを結成ということには賛成だった。
そして今俺たちは騎士団による戦闘訓練を受けているところだ。
「それじゃ今から戦闘訓練を開始する。騎士団長のイザークだ。以後よろしく」
なんか軽いなこの人、大丈夫か?
「よし、それじゃ今からステータスカードを配る。ステータスカードってのは身分証明書見たいなものだ。受け取ったらカードに自分の血を一滴垂らしたら自分についての情報が表示される。訓練はそれからだな」
ゲームかよ…この世界。とりあえずステータスカードともに配られた針を使い血を垂らしてみる。血が出るまで指を針で刺すのは結構痛いな。
名前 朝霧 タクマ
適正ジョブ ??? レベル ???
ギルド
適正属性 土
攻 ???
守 ???
走 ???
魔 124
体 167
スキル
千変万化
なんだこれ?ほとんど???じゃん。しかし、ふとその場にあった誰かの足跡を見ているとステータスカードに変化があった
名前 朝霧 タクマ
適正ジョブ 斥候 レベル 1
ギルド
適正属性 土
攻 56
守 37
走 86
魔 124
体 167
スキル
千変万化、偵察、追跡、尾行、鍵開け、罠探知、聞き耳
なんだ、なんかの間違いか?いやでもこの千変万化っていうスキルはさっきもあったな。まぁとりあえず俺のジョブはせ、せっこう?スキルを見る限り偵察兵っぽいな。
「よーし、全員ステータスカードを確認出来たか?なら適正ジョブを教えてくれ、それに合わせて訓練を行う」
早速スキル聞き耳でクラスのジョブを盗み聞きしてみた。如月さんは勇者ってジョブらしい、安定だな。松尾は拳闘王ってジョブ、脳筋の予感がする。その他は適正ジョブが二個あったりする奴もいた。
んで最後に俺の番、自分が斥候であることを伝えた。
「よーし、そんじゃこれから訓練を開始する、ケガに気をつけて頑張れ〜。んじゃ自分の好きな武器を選んでくれ」
本当にこの騎士団長は大丈夫か?そんなことは置いといて武器を選ぶか。軽い武器がいいかな、弓とダガーにしとこうかな。
弓とダガーを持った瞬間またステータスカードに変化があった。
名前 朝霧 タクマ
適正ジョブ 弓士 盗賊 レベル 1
ギルド
適正属性 土
攻 78
守 52
走 96
魔 124
体 167
スキル
千変万化、偵察、追跡、尾行、鍵開け、罠探知、聞き耳、消音、忍び足、精密射撃、速射、曲射、鷹の目
え、何だこれ?斥候が消えて弓士と盗賊が適正ジョブになってステータスも上がってる。もしかして千変万化の所為か?チートじゃね?
「何してる、早く来い」
おっと驚いている場合じゃなかった。訓練せねば。
…………訓練は俺に驚きをくれた。
「じゃあ今からお前達には、この死刑囚達を処刑してもらう。お前達には人を殺すことを経験してほしい。どんな方法でも構わない」
絶句した、声が出なかった。できるわけがない。何故初っ端からなんでこんなにハードなんだ?いやそうさせる理由は分かる。分かるが納得はできない。
「で、できるわけがないでしょう‼︎」
勇者如月が声を荒げた。もっともだ。これで「分かりました」なんて簡単に言ったら狂ってると思う。
「ふむ、だがこれはいざ魔族を殺す時に躊躇して返り討ちに合わないようにするための訓練だ。やってもらう。それともぶっつけ本番で殺すか?俺はそれでもいいんだけどな」
なんというストレート…普通オブラートに包んでさりげなくそっと言うべきだろ、ジャイロボールかよ。
「「「「「……………」」」」」
全員沈黙している。なんで初っ端からこんな……あの騎士団長絶対頭おかしいって思ってるんだろうなぁ
「まぁ、一番最初からこれは少し意地悪だったかな?
はははっ、だがいつか絶対やってもらうからな」
何わろとんねん…はぁ帰りてぇ。