第1話
「あ〜、眠い...」
そんな独り言を呟きながら俺は高校への通学路を歩く。今日は月曜日、一週間の一番はじめでほとんどの人が憂鬱と感じる日だ。こころなしか道行く人も暗い顔をしているような気がする。
「はぁー」
と、ため息をついていると高校が見えてくる。嫌だなあ、帰りたいなー、引きこもっていたいなぁなどと
ネガティブ思考全開である。我ながら呆れるぜ...
俺、朝霧 タクマには友達はいない、会話する人もいない、話しかけてくる人はいる。あくまで話しかけてくる人だ。あ、先生のことじやないよ。
特技といえば武道全般、空手、柔道、合気道、剣道、弓道だ。理由は家族のせい。家族のせいで全て全国レベルになった。趣味は読書、主に神話やライトノベルetc...と絵を描くこと。
自分で言うのも何だが顔も結構いいと思う、背も178センチある。紛うことなき高スペックだ、あと他の人には使えないものが使える。
学校に着き靴を履き替え教室に向かう。8:35にホームルームが始まる。今は30分、五分前行動とか俺真面目だなぁー、と自画自賛していると教室に着く。クラスメイトのほとんどがもう来ている。なん...だと...、まぁほとんどといっても1クラス20人×8だけど。高校が少し田舎にあり受験しようする人が少ないのが理由だ。
自分の席に向かう、窓際の一番後ろだ。席につくと同時に寝る体制に入る、ホームルームなど特に聞いておかなければいけないことはない、なんかこの前あった体育大会優勝おめでとうみたいな話しをしている。めんどくさいからもちろん出ていない、体育大会の日は休んだ。
うちのクラスは文武両道の人がいっぱいいる。特にクラスの中心にいるなんかキラキラしている人、名前は如月 タケル、このキラキラ男は女子にモテモテである、○ね
10分ほどするとチャイムが鳴り、休憩時間に入る、人が近づいてくる気配がする。
「おい、起きろ」
ああ、またこいつか…
「何かようかな、松尾くん」
松尾 ユウサクが話しかけて来た。その横に2人、松谷 ショウタ、田中 ケンタロウがいる。まぁ、いわゆるイジメっ子というやつだ、何故か俺に構ってくる、理由は不明。
「お前誰の許可得て勝手に寝てんの?殴るぞ」
はい、意味不明ー、何で寝るのにお前の許可がいるんだよ、ボケ‼︎と、内心で突っ込むが思ってることをそのまま口にすると面倒なので
「ごめん、ごめん、次からは気をつけるよ」
と、真反対のことを口にする。
「はぁ?謝って済むと思ってんの?」
「お前ちょっと調子乗ってる?ボコるぞ」
どうしろと…と、この会話のできない阿呆共をどう追い返そうか考えているとチャイムが鳴った。ナイスだチャイムさん‼︎
「おーい、早く席につけー」
「…チッ」
そうだお前ら早く席に帰れ、そして二度と近づくなと念じる、ちなみに243回目ぐらい
一限目は物理、二限目は数学、三限目は英語、四限目は芸術、五限目は体育、六限目は日本史、七限目はLHR、まぁ比較的楽な時間割だ、物理は寝ればいいし
数学は寝ればいいし、英語は寝ればいいし、芸術は寝れば(略) 体育だけはやらなければいけないけど。
淡々と授業が終わり五限目の体育の時間だ、女子はグラウンドでテニス、男子は武道場で柔道をする。柔道か…あの阿保3人組が絡んで来そうだなぁ
「おい」
はい、早速来ましたね〜暇な奴らめ
「どうしたの?」
「いやなに、黒帯の俺がお前の受け身の練習を手伝ってやろうと思ってな、ありがたく思えよ」
そういわれて俺は松尾の腰を見る、確かに黒い帯が巻かれてるな
「いや、いいよ迷惑だと思うし」
「ああん、なに口答えしてんだ、いいからやるぞ」
めんどいな〜、何なのだろうかこいつは、俺のこと好きなの?ホモなの?ごめんなさい気持ち悪いです。だいたい、学校で習う柔道なんて軽い護身術みたいなもんだろ、何で黒帯とやらなあかんのだ、そういう俺も黒帯だけど…
だが、どうするか…本気でやるか、軽く投げられてやるか、まぁ、あいつも受け身の練習とか言ってたし投げられてやるか
「よし、準備はいいか、
それでは…始めッ‼︎」
いつの間にか先生が審判やってる、何で止めないんだろう、この先生も阿保なのか普通黒帯の奴と試合なんかやらせんだろ(俺も黒帯だけど)止めろよ
「行くぜぇ、ケガしねぇように気をつけろよ」
「………」
もういいや、こうなれば全力で……負けに行ってやろう‼︎ダメージを少なくするんだ、わざと相手の懐に潜り込み投げやすいように服を掴ませてやる
「オラァァッ」
ものすごい勢いで投げられた、だがこちらも受け身の準備をしていたのでダメージはない、てかオラァァッってなんだよ、マジであぶねぇだろコイツ、こっちが初心者だったらどうすんだよ
「ふん、なかなかやるじゃねぇか」
あ、経験者っていうことがバレたか…?
「今日のところはこれで勘弁してやるぜ」
よかった、見る目がなくて
気づかないとかやっぱり阿保だな。
やっと体育が終わった。めんどくさかった。
あとは寝るだけの簡単なお仕事。
着替えているとあの阿保3人組も教室に戻ってきた。
あの阿保3人組に絡まれる理由を考えてみる。考えようとしたが、俺は考えるのをやめた。時間の無駄な気がしたから、よし睡眠を開始するか、と机に向かってうつ伏せになろうとした瞬間
ふっ、と辺りが暗くなったと同時に学校が揺れた。
10秒ほど揺れたのち、俺は尻餅をついた、椅子がなくなったのだ、なにが起こったかわからず低い姿勢のままじっとしていると、徐々に辺りが明るくなってきた
まわりを見回してみると教室ではない、石の壁で囲まれた部屋になっている。正面には大きな扉があり、クラスメイトも全員いる。
何だこれ、と誰もが混乱していると扉が開き胡散臭そうな老人が入ってきた。白い髪に長い白い髭いかにも老魔法使いのような格好をしている。
「ようこそ、勇者様方、カルデアへ歓迎します」