君の心の弱さ。
完結!!
ここまで読んでいただきありがとうございました^^
それは突然起こって、私を暗闇の中に引きずり込んだ。
一本の電話。嫌な予感はしたけど時間を止めることはできない、私は学校に出ようとしていたところで受話器を持って耳に当てる。
「。。。はい、どちら様でしょうか。」
重苦しい空気が向こう側にはあるようで少しの沈黙の後誰かの声がした。知らない人だ、誰かの荒く息をする音に私は不安になった。
「あの。。。」
「すいません。高橋、というものです。あなたの父の友人なのですが。。。」
お父さんの友人?
何故そんな人が私に電話をかけたのだろう。不安が募っていく。
「えっと、どうしたんですか?」
沈黙の後、電話越しの彼がそっと息をのんだのが分かった。
「非常に申し上げにくいんですが、さっきあなたのご両親が交通事故でお亡くなりに。。。」
息が止まりそうになった。涙も出せずに「えっ?」そんな気の弱い声を出すのが精一杯だった。
「私もさっき知りまして、すぐ病院に来てもらえませんか?」
私はその場にしゃがみ込んだ。そのときやっと私の目から涙がこぼれた。
「大丈夫ですか?」
家の出る準備をしていた彼が気づいて私の隣にしゃがみ込む。
「私の両親が。。。さっき死んじゃったって。。。」
私は止まらない涙を流しながら彼にそう言う。震えた私の声に理解したのか私の手に握ってある受話器を取ると変わりに受話器を耳に当てて話しだした。
「代わりました。彼女が話せそうになかったので、はい。病院の名前を教えていただけますか?えっと、野崎病院。。。分かりました。すぐに行きます。」
そんな会話を交わし受話器を置く。
「あなたの両親の遺体が野崎病院にあるそうです。確認してほしいらしいです。すぐにむかいましょう。」
重苦しい空間の中、彼があまりにも平然と話してる。
「。。。わかるの?」
「えっ?」
「あなたに何が分かるの?」
あっ、言っちゃった。
「早く行かないと。」
彼はそれでも無表情で。
私の心を理解してない。私の両親が亡くなったのになんで君はそんなにも無表情なの?
「私、ひとりぼっちだよ。。。」
震えた声にナイフで切り裂かれたように痛い私の心はきっと彼には届かない。
私は独りだ。
「ひとりぼっり。。。それは。。。」
彼がそう言って首を傾げるのを見て私は彼をほって歩き出す。
鞄を持ち靴を履き外に飛び出した。
「待ってください!!」
そんな彼の言葉も聞かず私は走り出す。
病院に着くとお父さんの友人らしき人がいてうつむいて座っていた。声をかけるとそうだったらしくその友人に連れられて病院の霊安室にむかった。
はっきりと見た。
私のお父さんとお母さんだった。
パキッと何かの壊れる音がした。
病院の人から説明を聞き、私はそれを呆然と聞いていた。
終わって父の友人と別れるて、遠くから駆けつけた父母の両親に挨拶すると私は何も考えずに屋上にむかった。
世界にさようなら。
手すりをまたいでぎりぎりのところで立ってるのに恐怖はなくて止まらない涙に私は目をつぶった。
ふと風にのって彼の声がした。
その声はとても小さくて私は大きく深呼吸した。
「ミカさん!!!!!」
あっ、彼が私の名前を呼んでる。初めてだこんな焦った彼の声を聞くのは。
一気にぱっと体を支えていた手すりを離すと私の体は宙に落ちる。
ふいに誰かにぐいっと腕を掴まれたような気がした。それでもそれはバランスを崩し静寂の中、目を静かに開けると彼が私の体を抱きしめて目をつぶっていた。
その表情は無表情ではない、苦しく歪んだものだった。
彼の何かが折れて嫌な音がした。
彼の荒い呼吸だけが響いて私の心の中をとかしていく。
「な。。。なんで助けるの。。。」
私は彼を見て声を荒げた。
「あなたが。。。屋上から死のうとしていたのを見たから。。。」
苦しそうに息をする彼に私は彼の今の心が分からなかった。
「死のうとしたの!!助けなくてよかったの。。。!!!今、ナイフで胸を貫いたように痛いの。。。」
涙が止まらなくって彼からながれる大量に血に私は息が止まりそうなほど苦しくなった。
「私も痛いです。」
「当たり前でしょう!!」
「違う。あなたのそんな表情を見て心が痛いのです。」
初めて聞く彼の震えた声に私は「なんで。。。」そう呟いた。
「怖かったんです。感情を持つことが。」
彼がそう言って苦しそうな表情をした。
「怖い?」
「そう、とても怖かった。あなたみたいに平然と笑ったり苦しそうに泣いたりすることが私の何かが変わってしまいそうで。」
どくどくと流れる血に彼はまた苦しそうに顔をしかめた。
「死なない?」
私は震えた声で彼に聞く。
「当たり前でしょう?私は死にません。」
「なんで。。。私を助けたの?君は痛みを知ってるのに。」
「あなたは私を変えてくれたから。死んでほしくないって、大切な人を守りたいって思ったから。」
彼はそう言って笑った。
「今、笑うんじゃないよ。。」
彼の微笑んだ表情はなんとも不格好だったけど、私の心を包んでくれた。
「怪我ないですか?痛いところは。。。」
「バカ。」
そっと彼の手が伸びる。
私の髪をすきそっと抱きしめられた。彼の血がつく覚悟で私はそっと彼の服を握って目をつぶった。
「大丈夫。今にでも君のまわりは幸せであふれるから。」
彼がそう言う。
世界が初めて鮮やかなものに変わったような気がした。
今はまだ立ち直れないかもしれないけど。それでも彼が一緒にいるから。
ゆっくりでいい。
私は彼の体温を感じながらそっとそんなことを思った。
ありがとうございます!!




