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何気ない日常に現れた彼。

初めまして^^

短編小説を描いてみたいと思いまして、書き始めました♪


大学生活の中で今後の小説の感想なども参考にしていきたいので、よかったら一言でも感想などを聞かせてくれると嬉しいです。

 私は不運の塊だ。

 始まりは、私が小学5年生の頃。まるで母のものが遺伝してしまったかのように始まったその不幸続きの出来事は確かその頃から始まった気がする。

 最初は本当に些細なことだった。例えば、靴の裏に誰が噛んだのか分からない吐き捨てたガムがへばりついていたり何かにつまずいて少し膝を擦りむくぐらいだったのだがそれは今、大学生になって実家から離れて一人暮らしを始めると確信へと変わっていった。


 外に出れば必ずと言っていいほど鳩の糞が私の頭の上に落ちる。

 信号無視する車にひかれそうになったこともあるし雨が降らないと言っていた天気予報は、私が傘を持っていない日に限って土砂降り。最悪の時には、工事中のふさがれていた穴に誤ってはまってしまったこともある。

 その時は、浅くて怪我はなかったのだが私はそれっきり外に出るなにかある不運に悩まされ引きこもりがちになっていた。


 そんなある日。

 私は大学の友人にあるサイトを勧められた。

「ねぇ、これ知ってる?

 不幸なあなたをお守りします。だって。」

 授業が終わって一息ついた頃。彼女が私の前に見せたスマートホンの画面を私は覗き込む。

「すごいキャッチコピー、なんか嘘くさくない?」

「いやっ!それが、けっこうすごいらしいよ。今話題になってるんだけど、まさに人形ロボット!!」

 いつも物静かな彼女が珍しく興奮するのを見て私はそんな彼女に驚きながらも彼女のスマートホンでサイトの詳細を開いてみた。

「高っ!!これ50万するじゃん。」

 詳細を開いたと同時に出る赤い文字で書かれた値段に私は唖然とする。

「これでも安いもんだよ。だってアンドロイドだよ?しかも種類が選べるらしくって、これ本当に人間そっくりらしいんだよ!」

 やけに詳しく話す彼女を見て私は首を傾げた。

「何であんたがそんなに詳しく知ってんのよ?」

 彼女がニヤリと私を見るのを内心イラッとしながらも私は早く言えと急かすように睨み返した。

「ほらっ!」

 彼女は、私の前にある写真を見せて「ここ、ここ!」と指差す。

「これ、驚くことにロボットなんだよね〜」

「えっ!??これがロボット?人間にしか見えない。。。」

 私の前に出された写真はある有名人とその話題のアンドロイドが映った写真だった。

「最近、ロボットとか結構進歩してるでしょ?でも私のまわり買ってる人いなくてさ。そこでミカ、私に一番に見せてよ。」

 彼女はその写真を真剣に見つめる私の手からスマートホンを抜き取ると耳元でそう言ってそそくさと教室から出ていってしまった。




 数日後。

 私の前に1つの大きな段ボール箱が届いた。

 それは、宅配で送られてきたもので台車で運んできた宅配の人がわざわざ家の中に運んでもらったくらいそれは重い。

「これ。。。本当でかいな。。。」

 買ってしまったという驚きと後悔なのか分からないもやもやとした感じ。複雑なその感情は私を混乱させ、それと同時に私の心臓は今までにないほど高鳴っていた。

「よしっ!開けるぞっ!!」

 誰もいないのに部屋に響く私の声は私を覚悟の道へと引っ張りだす。

 南研究所と印刷された段ボールを眺めながら大きく深呼吸すると頑丈にガムテープで張られたそれをゆっくり剥がし空いた隙間から顏を覗かせた。



「!??」

 今までにない衝撃。

 私はそのダンボールの中にあるリアルでそれでいて繊細な物体に驚きダンボールから急いで手を離すと狭いアパートの一室、押し入れのドアにドシンと大きな音を立てて後ずさった。


「なっ。。。!!!!な。。なにこれっ。。。」

 スーツを着た私よりもずっと大人の男性が確かに私の目の前に存在している。

 ピシッと着こなしたスーツ姿に私はあまりのリアルさに驚愕して、そして私のほうをじっと見つめている彼の瞳が印象に残った。

 光のない何かを失った目。その目には確かに私の姿が映っていてそれでも信じ難い状況に体が動かなかった。

 彼はダンボール箱からいきなり出るなり私に近づいてくる。

 それが恐怖でしかなくて「こっ、こないでっ!!!」そんな言葉を彼に投げかけてしまった。

 彼は私の声を聞くなり立ち止まる。

 しーんと静まり返ったその空間に私の震えた呼吸だけが聞こえて息苦しくなった。

 そしてそんな沈黙を破って彼が初めて口を開いた。

「すいません。驚かせてしまったようですね。」

 その声は確かに彼の口から発せられた声なのに無表情の彼とは裏腹に声は透き通るような人間らしい声だった。

「い。。。いえ。。。こちらこそごめんなさい。あなたがいきなり近づいてきたから。。。襲われると思ってしまって。。。」

 顏が真っ赤になってしまいそうだ。

 彼はそんな私を笑いもせずに「そんなこと、しませんよ。」と真剣に言うと私の前に手を出した。

「ありがとう。」

 私はその手を持って重たい体を起こすと、あらためて彼を見た。

 彼のスーツはよく似合ってる。黒い背広に短い髪、少しつんとした鼻筋の通った顏で全体的に整った顔立ちだ。

 彼は愛想笑いも私にむかって嫌な顏1つせずに「お怪我はないですか?」と聞いたので「大丈夫。」そう言うと同時にこれも現代の進歩なのかもしれないと感じた。



 そしてその日、私は初めて同居人ができた。



 次の日。

 寝起きの悪い私を彼が起こすと驚いて彼の顏をビンタしてしまう。

「ごっ!!!ごめんなさい!!!」

 その時も彼は痛そうな顔せず無表情だ。

 彼の頬は私が叩いてしまったせいで真っ赤になっていてロボットなのに繊細に作られていることに驚いた。

 私は彼がいるのにあちこちにはねた髪を手ぐしで簡単にとかすと起き上がる。

 日の光がカーテンの隙間から部屋の中に射し込み、昨日食べたカステラの袋が机に散乱している中、私は大きくあくびをして彼が出てきてからそのままになっていたダンボール箱の中から彼に関しての詳細が書かれている説明書を取り出した。



『彼は、あなたの感情をしっかり把握してその場にあった行動をしてくれます。怪我をしてもあなたを守ってくれるので心配要りません。日に日に彼には痛み、感情、そして人間らしい表情まで繊細でよりリアルに表現できるようになります。いわば人間よりも発達したアンドロイド。ぜひ彼を活用してハッピーライフをお過ごしください。』



 そんな言葉が説明文の一面に大きな字で書かれている。

「なんて、理不尽なんだろう。。。」

「どうしました?」

 あまりの文章に私は自分の思いを声に出してしまったのに反応して彼が訪ねてきた。

 私は、からかったような表情を彼に向ける。

 部屋の中は酷い有様で彼にそんな私の汚い部分を見られているのが恥ずかしい。

 でもこれから彼と暮らしていくから。



「君は、ロボットだけどロボットじゃない。この説明文間違ってるよ。私が証明してあげる。君は私よりも優秀な人間なんだ。」

 私は彼に言葉を投げかける。

 そうだこんな理不尽な言葉間違ってる。彼にそぐわないそんな言葉。彼にはもうすぐ感情というものが生まれるんだ。だから彼も人間だ。

 私は心の中で静かに思う。

 彼は私の言葉に理解ができなかったのか首を傾げると「すいません。まだ未熟であなたの言葉が理解出来ません。」そう言うとそっと笑ったような気がした。





「す、すごい!!!本当に人間みたいだ。」

 それは、私が起きるのが遅くて午後から通学した大学の教室。

 友人に見せると彼女は驚いて彼のまわりをぐるぐる回り始めた。今日の彼女もいつもと違う。

「さっすがミカだ!まさか買うとは思わなかったよ!!」

「買うに決まってるじゃん!私のまわりは不幸であふれてるんだよっ!!」

 私は頬を膨らまして彼女に対抗する。そんな彼女は「かっこいいね〜」とニヤニヤしながら眺めるとふうと一息ついたように椅子に座った。

 そして私に聞いていいのか複雑な表情をしてそれでも興味はあると言った風に訪ねてきた。

「彼、怪我だらけだけど。。。どうした?」

 その理由もあって彼女の声は小声気味だ。

「それが。。。通学中に車にひかれそうになって。。。それで彼が私をかばってくれたんだよ。。。」

 まるで、笑い事みたいに話す。そうしないとこんな私の不幸体質が苦しくのしかかってくるから。

 彼女は「そう。大変だったね。。。」そう言ったきり何もそのことについて訪ねることはなかった。たぶん彼女も私のことを心配しているのだろう。私の感情を考えてもう聞かないと言う判断をとったのだろう。本当に優しい友人だ。



私は自分のことで精一杯だから。



夕日に染まるそんな空の中。友人と別れて私は学校の校舎を出る。一日はすぐ過ぎてしまう。明日は早起きをしよう。彼にそんな事を話すと彼は笑うこともなかったけどしっかりとその言葉に耳を傾けて聞いてくれていた。合間に「そうですね。」などと私に言うそんな彼に私はそっと微笑んだ。

夕暮れの中、彼の瞳は未だに暗闇に染まっているけれどそれでもいつか彼の中に芽生える何かが私のすべてを受けとめてくれますように。




そう静かに願った。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

嬉しいです^^

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