転生
普通は、貴族の息子で魔力が無限で身体能力が世界一とかですよね……
それでなんやかんや不幸があって、イーブンな人生ですよね?
何故かワタクシ、橋の下に捨てられてるのですが……
…
……
………
何考えてんですかっ!ふざけんな神様!
死にますっ!確実に死にます!
「オギャーッ、オギャーッ!」
助けを呼ぼうにも、声が出ません!
そんな絶望的な状況で、今正にワタクシを覆う人影が!
人影が!
人影……が?
人影?
「……グゥウゥルゥウッ……!」
訂正します、何やら犬みたいな化け物でした。
ここまで不幸かワタクシの人生……
「ガァアアアアァッ!」
いぃぃやぁぁあああっ!死ぬ、死んでしまう!
そんな絶望的な状況のワタクシは、反射的に目をつむり……
てか、赤ちゃんなのであんまり目は開いてないのですが。
「うらぁ!」
何やら掛け声と共に肉を思い切り叩き斬ったかの様な効果音が聞こえました…
さようなら、お世話になった大切な人達……いや、生まれたばかりですけどね?
……てか、掛け声?なんで獣が?
「よっしゃ、シルバーウルフをゲット!」
……ワタクシ、死ななかったみたい。
「今日はウルフ鍋だな……ん?」
足音が近付いて来ました、お願いします、助けて下さい!
「オギャーッオギャーッ!」
「捨て子か……大方食うに困った農民の子か何かか」
やっぱり貴族の捨て子路線は駄目ですか……ですよね。
「迷わず成仏してくれよ、ナームー」
てか、助けてくれないんですか、いや、拝まないで下さい、助けて!
「オギャーッオギャーッ!」
「スマンな……俺は独身貴族としてプライドがあるんだ……」
そんな腐ったプライドは捨ててしまえ!
「オギャーッオギャーッオラーっ!」
「だからスマンて…【オラーっ】?」
スマンで済みますか、鬼畜か貴様は!
「スマンで済みますか、鬼畜か貴様は!」
「乳飲み子が……喋っ……た?」
喋ったみたいです。
もしかしてチート能力?
てか、赤ちゃんの時に喋れるチート能力とか役に立たない……
……チート能力無いんだからチートですらないですよね。
「もしかして…お前ハーフか?」
「オギャ……ハーフ?」
あっ、やっぱり喋れた。
「んー……ちょっと背中を……よっと」
オッサンに (この人髭面の厳ついオッサンなんですよ) 持ち上げられ裸の背中を見られました、もうお婿に行けない……
「あぁ、やっぱりな……」
へ、何がやっぱり何ですか?
「オメーは魔物と人間のハーフだわ、それで捨て子か……」
「魔物と……人間?」
「あぁ、つまりな、多分オメーの母ちゃんが人間だと思うが……魔物に襲われたんだろうなぁ、可哀相に」
えっ、それってつまり……
「オメーの母ちゃんは魔物に手込めにされて、オメーが生まれたんだろうな……」
ふ、不幸過ぎる……
「ふむ……流石にこれじゃ、オメーが可哀相過ぎるな」
はい、ワタクシもそう思います……
厳ついオッサンが何か思案しているみたいです。
「よし、解った」
「何がですか?」
「オメー、俺んち来い」
このオッサンは、いきなり何を言ってるんですか?
「オッサン独身貴族じゃ……」
「オッサ……まっ、まぁいい、オメーが来るのは俺の実家だ」
「実家て……」
ワタクシを助けてくれるのは有り難いですが、出来れば信用する為にも詳しく……
「まぁ、着きゃ解る」
はい、お任せしました。
……最近投げやりなのが慣れてきました。