54 いい運動
やっぱり、ダンジョンでピンチを助けるっていうのはベタだけど、効果的ではあるらしい。
ただ、それが必ずしも、マッチングするとは限らない。
出来る事ならもっと普通の女性を助ける機会に恵まれたりしないだろうか。
それにしても、他の人たちはいったいどこで知り合ってるんだろうか。
毎日のようにダンジョンに潜っているとそんな時間も機会もないと強く感じる。
今更だけど、もしかしたらダンジョンは出会いを求める場所ではないのかもしれない。
ダンジョンに潜る前に出会っていなければならないのか?
ここでネガティブになっても仕方がないので切り替えてダンジョンを進むことにする。
「最近よく眠れています。ダンジョンがいい運動になるみたいです」
“どうでもいい情報”
“いや睡眠は大事だぞ”
“さっきの戦いとのギャップがすごい”
“ハマるとこのギャップがたまらん”
“わかる~~。戦い以外の配信もスキ”
“いや、スキな理由がわからんぞ”
“だってショーゴの日常が漏れ出してる”
“あ~~そういう”
視聴者に向けてトークしている間に次のモンスターだ。
実物は始めて見るモンスターばかりなので確実ではないけど、おそらくあれはヒュージラットか。
ネズミとはいえ大きさはヘルハウンドくらいはある。
しかもその数は10を超えている。
ここのモンスターは群れをつくるタイプが多いのかもしれないけど、普通に有難い。
ヒュージラットはこちらを認識すると一斉に動き始める。
「すごいな」
全てのラットが一糸乱れぬ感じで同じ動きを見せ、一団となってこちらへと迫ってくる。
まるで一体の巨大な生き物のようだ。
通路をすべて占めているので避けようがない。
覚悟を決め迎え撃つこととする。
“これやばくないか”
“ソロじゃ対応不可案件”
“オワタ。空飛ぶしかない”
“ショーゴ逃げて。逃げるのよ”
“嫌どう考えてもラットの方が速い”
“ヒュージラットなんかスイミーみたい”
“バカ! そんなかわいいもんじゃねえ”
ロングソードを構える手に力を込める。
「こいっ!」
迫るヒュージラットに向け刃を振るう。
向かって来る圧に押されそうになるのを踏みとどまり、連続で剣を振るう。
左右、後方にも回り込んできた。
ロングソードを振り払うように大きく振るうが、流石に360度はカバーしきれない。
ドンッ。
背後からすごい圧で押され痛みを感じるが倒れるわけにはいかない。
脚に力を込めその場に踏みとどまり、後方のラットを串刺しにする。
視る限り、ヒュージラットの攻撃はその前歯と鋭い爪と突進力。
幸いにもまだ出血するような攻撃は受けていない。この数に囲まれている以上ある程度攻撃をくらうのは仕方がない。
そう覚悟し意識を切り替える。
回避を諦め、意識を攻撃に全振りする。
ひたすら剣を大きく振り回す。
大丈夫だ。
ヒュージラット一匹一匹はそこまで強いわけじゃない。
普通に斬れるし、やれる。
「くっ」
横からの衝撃にバランスを崩しそうになる。
咄嗟に『炎塵』を放つ。
「火の粉より生まれし炎の子よ、我を遮るものを焦がし燃やしつくせ『炎塵』」
燃やすのは真ん中にいるやつだ。
突然、中団の奴が燃え上がり、その影響で周囲にいた個体が乱れる。
隙間が出来た。俺は、その隙間を広げるべく剣を振るう。
炎に忌避感があるのか乱れてからのラットはそこまでの脅威ではなくなっていた。
近接している個体を端から駆除していく。
「ふっ!」
数が減れば当然、集団攻撃の威力は減衰し、怖さはなくなっていた。
「これで最後だ」
渾身の一振りが最後の一匹を消滅させることに成功する。
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