44 レッサーリッチ
“おい、もう2時間たったんだけど”
“俺、スタンピード以外でこんなに戦いっぱの配信始めて見たんだけど”
“やべえ、ヤバすぎる。こんなE級見たことねえ”
“いつまで戦う気だ”
“千日手。どっちか尽きるまで終わらないんじゃ”
“わたしはショーゴがライブで視れて満足”
“視聴者数1000いってるな”
“いや、これ1000のレベルの配信じゃないだろ”
“とにかくショーゴ勝つんだ。絶対死ぬな”
“そうだ、死ぬな。レッサーリッチだ。レッサーリッチさえやれば終わる”
残念だ。
本当に残念だ。
かなり鍛えたつもりだった。
レベルも上がってステータスも上がったつもりだった。
夢の無限ループを経験出来て、控えめに言っても最高だ。
だけど、人間である以上エンドレスに動き続ける事は出来ない。
ずっと戦い続けることはかなわない。
MPが尽きてしまった。
全身に乳酸がたまり、動きが鈍ってきてしまった。
この戦いで近づいたかと思ったけどガッシュファルトにはまだ届いていない。
まだまだだな。
武器の心配をしていたけど杞憂だった。
ロングソードはまだ健在だ。
俺の方が先にガタが来るとは、勘違いも甚だしいな。
おそらく150体は倒しただろう。
60万オーバー。
いつもの倍だ。
ヤバいな。
ダンジョンシーカーになってからの稼ぎがヤバい。
ついでに身体がそろそろ限界だ。
もったいない。
本当にもったいない。
いや、でもまた罠を踏み込めば出てきてくれるかもしれない。
そうだといいな。
だけど、今はこれ以上無理だ。
「ふうううううううっ、おおおおおおおおおおっ」
声を上げ、悲鳴を上げる身体に活を入れる。
この最高の時間を終わらせる。
終わらせ方はとっくにわかってた。
だけどもったいなくてギリギリまで引っ張ってしまった。
ちょっとやり過ぎたかもしれないけど。
俺ってもしかしてMっ気があるのか?
いや、それはないな。
どっちかというとSか?
重くなった足を前へと踏み出し、眼前のポーンスケルトンを斬り、更に前へと進んで行く。
俺の意図を解したのか、ポーンスケルトンが一斉に襲ってくるが遅い。
もう見慣れたと言ってもいい動き。
順番に斬り伏せ前へと進む。
「お前すごいな。流石はEランク。とんでもなかった。またやろう」
俺はローブを纏ったスケルトンにロングソードを振るう。
「ガンッ」
スケルトンの杖で止められてしまう。
こいつ、魔法だけじゃないのか。
無限召喚に近接までいけるのか。
おそらくはEランク最上位と言っても過言ではないんじゃないだろうか。
「うおおおおおおおおおっ」
ロングソードを何度も振るい叩き込む。
杖自体に殺傷能力は薄い。
なら刃の付いたこちらの武器が勝る。
回転をあげスケルトンを削っていく。
ボギン。
杖を持つ腕を折ってやった。
いくら優れていても骨である以上強度に限界はある。
「これで終わりだ!」
防ぐ術を失ったスケルトンに向けとどめの一撃を叩き込む。
ローブごと背骨をたたき斬る。
スケルトンはその場に崩れ、ポーンスケルトンが新たに現れる様子はない。
終わった。
終わってしまった。
いや、本当に楽しかったな。
ローブのやつ、まさか近接でもあれだけ動けるとは思ってなかった。
戦いが終わり、高揚感が落ち着いてくると、反比例するように身体の重さが増してくる。
ちょっとやり過ぎた。
もうちょっと早く終わらせればよかったかな
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