38 荷が重い
「火の粉より生まれし炎の子よ、我を遮るものを焦がし燃やしつくせ『炎塵』」
骨に相性がいいのか着火した一体が崩れ落ちる。
「よく燃えるな」
“えっ? ショーゴって魔法使えたの?”
“最初期だけ偶に使ってたな”
“剣しか使えないのかと思ってた”
“それよりショーゴ強くねえ? もう四体だぞ?”
“まだ十近く残ってる。気を抜くのは早いぞ”
魔法を交えつつ、ロングソードを振るっていく。
通常のスケルトンよりは少し動きが滑らかなような気はするけど、それだけだ。
そこまで強いという感じは薄い。あのホブゴブリンより歯ごたえがない。
もしかして、レベルアップしたおかげで俺が強くなったのか?
それでも剣を持った、それなりの相手が十体以上。
たまらない。
全身が熱くなりたぎる。
ガッシュファルトが戦場で感じていたのと同種の高揚感。
シーカーになって初めてかもしれない。
楽しい。
自然と口角が上がって、声もうわずる。
「次イイィ」
“ショーゴヤベエ。強いとは思ってたけど完全にE級じゃない”
“二桁のポーンスケルトンをソロで相手するのってD級でいける?”
“いや無理だな。最低でもC級中位以上だろ”
“ショーゴ一体何者”
“いや、なんかショーゴがカッコよく見えてきたんだけど”
「ははっ、こい。おおおおっ!」
ポーンスケルトンの攻撃を避けつつロングソードを叩き込む。
ステータスの上がった俺の一撃は骨を砕くに十分。
一撃で終わるのがもったいないがこればかりは仕方がない。
オークやホブゴブリンと違いウィークポイントがむき出しなので、よく見て防具の隙間さえ抜けば一撃で仕留めることが可能だ。
ただし、こちらも相手も動きながらなのでそれなりの集中力が必要ではある。
この集中力が高まり、標的が大きく見えるような感覚たまらない。
「もう一発!」
これだけの数を相手にしていれば、この戦闘の中でも自らの剣の精度が高まっていることを感じる。
全身から汗が噴き出してくる。
筋肉が熱を持っている。
それに反比例するように剣筋は冷たく鋭くなっていく。
「ふ~~っ、もう終わりか」
どうやら、さっきのが最後の個体だったらしい。
周りを見回してみても、モンスターは一体も残っていなかった。
うん、楽しかったな。
いや、今はそうじゃない。
「あっ、大丈夫ですか?」
「あ、ありがとうございます」
「助かりました」
「もう、ほんとにダメかと思いました~命の恩人です~。怖かったです~いや~ン」
「そうですか」
「それにしてもすごかったです~。もう、感激しました~。よかったら今度一緒に潜ったりしませんか~」
…………。
助けることが出来たのはよかった。
逆ハーレムパーティだけあって、女性の人もかわいい。
その可愛い女性に人がつり橋効果からか、俺に好意を向けてくれている。
正直に言おう。
こういうシチュエーションに憧れがなかったわけではない。
ダンジョンに出会いも求める俺にとってこれ以上ないシチュエーション。
そして、渇望したかわいい女性。
それは間違いない。
だが、この変わり身の早さはなんだ?
さっきは、仲間に死ねとまで言っていたのに。
さっきまでとは声も雰囲気も百八十度異なる。
人とはここまで一瞬でかわれるものなのか。
どう考えても俺には荷が重い。
重すぎる。
一緒に潜ったとしても逆ハーレムメンバーその4としての自分しか想像できない。
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