ステータス
俺は運が悪い。
今まで運がいいと感じたことは一度もない。
ヒキニートだった自分を捨て、変わるために、ダンジョンシーカーになった初日にこれか。
本当についてない。
いやちがう。
戦鬼と呼ばれたガッシュファルトはその身体的ハンデを抱えながらも、自分の力で最強を目指し届かなかったとはいえその頂が見えるところまで至った。
最後はあれだったけどそれまで死線は何度も越えてきた。
死にそうな怪我だって何度も負った。
そうだ、このくらいの痛みが何だ。
俺はこんなところで死ねない。
気力を振り絞りゴブリンを見据えるが、やっぱり痛い。
痛すぎて、視界がぼやける。
距離感もはっきりとはしない。
今までのような間合いをはかっての一撃は無理だ。
頭にさえ喰らわなければなんとかなる。
「こ……い」
大きな声を出すことはかなわない。
左腕で頭だけ庇いゴブリンの攻撃に備える。
「ぐっ」
無防備の左わき腹を激痛が走る。
ゴブリンに武器で殴られた。
既に全身痛かったのに、更に激痛が襲って来る。
「がはっ、つがまえだ」
ゴブリンの姿もはっきり捉える事ができない。
細かい距離感もわからない。
だけど俺よりかなり小柄なゴブリンが攻撃をあててきたということは俺が手を伸ばせばそこにゴブリンがいるという事だ。
痛みに耐え両腕でゴブリンを掴む。
「ギ、ギ、ギア」
腕の中でゴブリンが暴れるが逃がさない。
ここで逃がしたら次うまくいく保証はない。
絶対に逃がさない
ゴブリンより俺の方がはるかに大きい。
「ううううううううううあああああああ~~っ」
痛みを無視することはできないけど、とにかくゴブリンを掴んだ腕に全ての力を込め全体重をかける。
こうなると以前の体重が恋しくなるが今はやるしかない。
ゴブリンの動きが激しくなるが、逃がすわけにはいかない。
何秒、何十秒たったかわからない。
何も考えずひたすら力のみ込める。
「ボギン」
鈍い音が聞こえ、腕の中で抵抗していたゴブリンが力を失い、消失した。
俺はそのままその場へと倒れ込む。
「やった」
倒れ込んではいけないことはわかっているけど、無理だ。
まさに全身の力を絞り出し、汗の量も半端ない。
なんとか倒せた。
自分でもよく倒せたものだと思う。
いくらゴブリンとはいえ力技で倒すって普通じゃないよな。
「はぁはぁはぁ」
呼吸が苦しい。
その場で呼吸が整うのを待っていると、呼吸が整うのと時を同じくして全身の痛みがス~ッと引いてきたのを感じる。
ゴブリンにやられた左わき腹は痛いけどそれ以外の痛みは明らかに引いてきた。
この痛み……。
冷静になって考えてみれば、こんな不自然な痛み可能性はひとつ。
「ステータスオープン」
桐谷省吾(20)
LV1
BP10
HP 10/15
MP 10/10
STR 10
ATK 10
AGI 6
MAG 11
LUK 5
スキル 火魔法
やはりだ。
ステータスが生えた。
あの猛烈な痛みはやはりステータスが生えたことによるものだったようだ。
説明を受けた時にはそんな話はしていなかった。
もしかしたら個人差があるのか?
それともガイドが付き添う前提だったのか?
いずれにしてもゴブリン11匹目にして念願のステータスを獲得することが出来た。
俺はうまくいったが、レベル0の状態でゴブリン11匹を倒す必要があるというのは簡単ではないかもしれない。
お金がない人が敬遠するのは、この難易度も一因だろう。
それでも、それを押して登録する人がいるのはこのステータスだ。
レベル1であってもレベル0の時とは比較にならない身体能力の向上。
そして、これこそがダンジョンシーカー登録者が最も望んでいるものだ。
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