我が人生に一点の悔いなし……いやある
久々の新作始めました。
よろしくお願いします。
「ここは俺にまかせて先にいけ~~~!」
「そんな……。隊長だけおいて逃げることなどできません!」
「レオル、敵はたかだか2000。侮ってくれるなよ。この戦鬼ガッシュファルトの敵ではないぞ。先に他のみんなを連れ帰って飯でも食ってろ。俺はまだまだ暴れ足りん」
「隊長~~。この私だけでも」
「お前には婚約者が待っているんだろう。まあ、祝儀は期待して待ってろ。アストレア軍2000の首級だぞ」
「だいちょおおお~」
「情けない声をあげるな。他の隊員に笑われるぞ。さあ、いけええええええええええええ~~~~」
「だいちょおおお~~~いきで、いきでください~~。まってまず。まってますから~~」
ふ~~~、ようやく行ったか。
レオルのあの顔傑作だったな。
一度言ってみたかったんだよな。
「ここは俺にまかせて先にいけ」
俺の名前はガッシュファルト。
メリール王国の騎士隊長をしている。
子供の頃よりカッコいい漢に憧れていた。
俺の中でカッコいいとは強い事。
最強を目指し幼少の頃より剣を振るった。
今では王国内でも指折りの剣使いとなり戦鬼と呼ばれるまでに至った。
さあ、いくか。
「アレストレアの雑兵どもが! この戦鬼ガッシュファルトがお前らを地獄へ叩き落してやる。うおおおおおおおおおおお~~~」
ふん、アストレアの練度も知れている。
遅い。
剣を振るい迫ってくる眼前の敵の首を落とす。
「舐めるな~~たかだかチビ一人、なにを恐れる事がある。突っ込めえええ~!」
「あ⁉ なんて言った? 今すぐその舌引きちぎってやる!」
絶対許さん。
誰がチビだ?
俺はチビじゃねえ。
少しばかり成長が遅いだけだ。
向かって来る敵兵を順番に斬ってふざけた事を口走った愚か者の口に剣を突き刺し黙らせる。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「このばけものが~~~。うて~~~」
「ぐっ」
敵の放った矢が肩口に刺さる。
闘い始めてからそれなりの時間が経過した。
おそらく50は倒したか。
レオルたちはもう距離を稼ぐことはできただろうか。
いや、まだだ。
まだいける。
この程度で終わるわけにはいかん。
「がああああああああああ~~~」
雄たけびを上げ再びアストレア軍へと突撃する。
雑兵をいくら倒したとしても止まらない。
将を倒す。
あの偉そうにふんぞり返って全身を緋色の鎧に身を包んだのがそうか。
身の丈を越える愛剣を振るい戦場の鬼と化した俺は敵将へと迫る。
「ひいっ、寄せるな。いけ、いけえ~~」
情けない。
将なら自ら剣を振るい向かってこい。
およそ将とも思えない態度の緋色へと迫る。
「どけえええええええ~~~」
邪魔だ。
俺の目に映るは緋色の首のみ。
俺のすべてはこの時の為に。
血反吐をはくような鍛錬も、この瞬間の為。
「おおおおおおおお~~!」
残るすべてを吐き出し、緋色へと至り途中から折れてしまった剣をその首へと突き立てる。
「がふっ、あ……あ」
「討ち取ったりいいい~~!」
次の瞬間、俺の全身が周囲の雑兵の刃により貫かれた。
全身を焼けるような痛みが走り意識が遠のく。
ここまでか。
将を討った。
これで時間は稼げるだろう。
『我が人生に一点の悔いなし』
剣に生き、仲間の為に生き、祖国に殉じる。
これ以上の人生があるだろうか。
…………。
死の間際にまで本心を偽って何になるだろうか。
本当は、悔いがある。
いや、むしろ悔いしかない。
剣を志し、最強を目指した。
戦鬼と呼ばれ、周囲からはいずれは剣聖、剣神へと至ると言われた。
だが届かなかった。
剣聖、剣神と呼ばれる者を見たことはある。
正直技量は俺と大差ない。
足りないのは手足の長さ。
極まった技量。
その先にあったのは俺ではどうしようもない身体的ハンデ。
俺の両親はどちらも小柄だ。
俺にも色濃くその素養が現れ、思うように背が伸びることはなかった。
やつらと俺では大人と子供ほども体格に差があった。
俺の倍はあろうかという大男と俺が同じスピードで剣を振るえば当然、前者が先に届く。
どれだけ鍛えようとも覆ることのない極致。
認めたくはないが、届かなかった。
そしてもうひとつ。
正直、剣神へと至ることが出来なかった事よりもこちらの方が悔いが残る。
人生を賭けた剣がとどかなかった。
そしてすべてを剣に賭けたせいで意中の女性と巡り合うことは一度もなかった。
部下のレオルはよい伴侶に恵まれた。
俺よりも弱いのに、あんなに気立ての良い女性と婚約に至るとは。
他の隊員もそれぞれ、手を取る女性がいた。
そんな中、鬼と呼ばれ子供ほどの背丈しかない俺に寄り添ってくれる女性は一人たりともいなかった。
剣にすべてをかけたからと言って女性に興味がなかったわけじゃない。
俺だって、女性と手の一つも繋いでみたかった。
出来る事ならキスの一つもしてみたかった。
もっと言えば婚約だってしてみたかった。
俺だって、もててみたかったあああああ~~!
死の間際に心から願った心の叫びが消えゆく世界に木霊する。
『我が人生に悔いあり』
どうせ死ぬなら、こんな風に全身を刃に貫かれてじゃない! 女性の胸に抱かれて死にたかったあああああああああああああああああああああああああああ~~。
そこで完全に俺の心臓は動きを止め意識は途切れた。
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