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君を必ず救い出すと約束したから~レスキューイン・シルバーマリン  作者: ユキトシ時雨
ミッション2 ボーイミーツガール!? 銀海よりの使いは何者か?
17/26

約束(2/2)

「あの……コースケさん。……おでこ大丈夫ですか?」


「まぁ、慣れっこですから……はは」


 買い出しで調達した日用品たちを、鋼助はテキパキと運び込んでいく。空いている船室の一つを、アミの仮部屋として当てがったのだ。


 けれど、その額はまだ真っ赤に腫れたまま。蛍必殺のデコピン恐るべし。


「コースケさんはベッドに腰掛けて休んでいてください。もう十分手伝ってくれたわけですし」


 鋼助の両の手から買い物袋を受け取ると、アミはその中身をそそくさと出していく。


 手際よく、あれこれを収納スペースへとしまい込む彼女だが、これだけは言わせてもらいたい。


「えっーと、パンツはここにしまうから、」


 下着を片付ける時は、もう少し隠すなり、恥ずかしそうにするなりして欲しい。


「ア、アミさん……やっぱ俺、部屋を出ます! 廊下で待ってますので、何か困ったことがあったら」


「別に構いませんよ。というか、コースケさんには、もう買うときに見られてるじゃないですか」


「いや、そういう問題じゃないでしょ!」


 こっちが緊張でどうにかなりそうなのだ。


 先輩たちにも何て言われるか分からないし、下手をすれば蛍に、デコピンよりももっと苛烈な制裁を受けるかもしれない。


 なんとか部屋から抜け出そうと言い訳を探す鋼助。だが、彼女はふと作業の手を止めて。


「コースケさん。私の名前の件なんですが、」


 鋼助の頭に先ほどの蛍とのやり取りが思い返される。たしかに、あれはアミの視点からしてもデリカシーに欠けた発言であった。


「すいません! やっぱり、名前はちゃんと決め直しましょう! 半ば、俺が強引に名前を付けちゃったような感じでしたし、もっと可愛い名前の方が」


「い、いえ! そういうことではなくてですね!」


 寧ろ、アミはこの名前を変えるつもりはないという。


「私の名前が、この船の名前とも同じってことが嬉しかったんです。皆さんの輪の中に入れてもらえたみたいで。それでちょっと舞い上がっちゃったのかもしれません」


 彼女が鋼助の隣に腰を下ろす。


 そして、自らの身体を委ねるようもたれかかった。


「ア、アミさん⁉」


「こういう風にするのは、ちょっとズルいですよね。けど、ずっと迷惑をかけっぱなしな私なんかに優しくしてくれる皆さんも悪いと思うんですよ」


 すぐに席を外そうとするも、アミはそれを許してはくれなかった。隊服を捕まえたまま、放そうとしない。


「貴方も私に優しくしてくれるから。こうやって甘えたくなっちゃうんです」


 自分でも心臓が弾けそうなことが分かった。早鐘を打つような脈の速さに、頬のあたりがジッと熱くなる。


「ねぇ、コースケさん」


「は、はい! な、なんでしょうか!」


「もしも……もしもですよ。私の記憶が戻った後で、私もこの船の一員になりたいと思ったなら。その時は今みたいに私のことを迎えてくれますか────」


 それは鋼助にとって迷うことなく答えられる問いであった。


 ただ、問いかけるアミはすがるような眼差しで、隊服を掴む手も僅かながらに震えている。


 だから、鋼助も気休めではなく、本心から言葉を紡ぐ。


「泣きそうな顔をしないでください。そんなの決まってるじゃないですか。アミさんがそう思ってくれるなら俺たちはいつだって、貴方のことを歓迎し、」


「────それは無理な相談だ」


 舷窓に亀裂が走った。


 飛び散るガラスと共に飛び込んできたのは、鋭利な刃先だ。


「なっ⁉」


 驚愕する猶予さえない。


 刃の切っ先は熱を帯びて。そのまま、船の外壁をバターの様に裂いてみせる。────吹き込む高温の蒸気と金属の溶ける臭いに五感が過敏になる中、その隙間の向こう側には人影が見えた。


「なんだ……お前は……」


 ボロ布も同然なローブを纏う人影だ。ローブからはひたひたと水滴を滴らせ、白い仮面で表情さえも覆い隠した人影は、まるで現世に降り立った死神か? それとも水底から這い上がってきた幽鬼か?


「迎えに来たわよ。私たちの……そしてREデザイン計画の姫君────CODE『ブループリンセス』」

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