表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/66

ep05:イレイズ

「この鉄の棒切れ一つで、この家を施錠してるのか……恐ろしく低レベルなセキュリティだな……」


 レクトは鍵穴にガチャりと鍵を差し込み、そう言った。


「まさかだけどさ、この家に三人全員で住むわけじゃないよね?」


「い、いや、それが……サリアさんの言う通り、僕たち全員の家だそうで……」


「はあっ!?」


 レクトと私はリオを睨みつけた。


「ちょ、ちょっと、僕に怒らないでくださいよ! 僕だって知ったのは地球に着いてからだし、同じように驚いてるんですから!」


 それもそうだ、リオに文句を言っても仕方がない。レクトはため息をつきつつ、ガラガラと引き戸を開けた。


「……あー。外観同様、中もくたびれてるな」


「本当ですね……しかも何ですか、この大きな壺とか。この家、不用品だらけかもしれませんね」


「じゃ、まずは三人で不用品選びから始めるか。まず、このデカい壺は要らないな。 ――よろしくサリア」


 まあ、そうなるか。


 私は右手をかざしてイレイズを唱え、大きな壺を消去した。


「おお、流石。――そのイレイズで他人の量術や生命(いのち)まで消せたら、首席で合格してただろうな」


「フンッ、うるさい。で、次はどれを消したらいい?」


 私は家の中の不用品を、片っ端から消し去った。



***



「――よし、これで大方片付いたか。不用品は多かったけど、買わなくて済んだものも多くて助かったな。――で、次は誰がどの部屋を使うかだ。どうだ? 希望の部屋はあったか?」


 レクトの問いに、私とリオは頷いた。


 一階にはリビングキッチンの奥に一部屋、二階にはベランダ側に一部屋、奥にある一部屋で合計三部屋がある。


「じゃあ、せーので言うぞ! ――せーのっ!」


「俺は一階!」「僕はベランダ付きの部屋!」「私は二階の奥!」


 まさかの、一度で全員が希望通りの部屋を選ぶことが出来た。


「サリアさん、そっちの部屋、広くないけど大丈夫ですか?」


「窓を開けるとね、小さな畑が見えるんだ。道路が目の前の部屋より、私はこっちがいい」


「畑か……ヴェルミラで畑を見る機会なんて、ほとんど無いからな。まあ、すんなり部屋割りが決まって――」


 その時、『ぐぅ』っとレクトの腹の虫が鳴いた。


「ハハハ、すまんすまん。腹減ったし、とりあえず飯にでもするか」


 私たちはセレスタから持ってきた食事をテーブルに広げた。


 そういえば、セレスタから持ってきた食事はこれで最後だ。明日からは、何を食べようか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ