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ep43:到着

「ふう、やっと到着したか……ん? アレン、宇宙船は……?」


「ここに置きっぱなしにするわけにもいかんだろう。セレスタの時と同様、海底に潜ませてある」


 ここは、初めてセレスタで地球に降り立った時の広場。この場所に来るのは、もうこれで三度目になる。


「――着いてすぐで申し訳ないが、先にアブソルヴェールを見せておこうか。いつ奴らが現れるか分からんからな」


 ミレルはそう言って、右手を天に向けた。


 ブゥン……という低音と共に、薄いガラスのような層が現れる。それは、絶対防御(アブソルヴェール)という名前には似つかわしくない、美しい緑色をしていた。


「おっ、おーーーすげえ! 先生、これはアブソルヴェールの内側にいるってことなのか?」


「そうだ。薄っすらと見えるグリーンの層がアブソルヴェールの境界だ。誰か、一度外に出てみてくれるか」


 ミレルが言うと、一番端にいたリオがグリーンの層の外に出た。


「ああっ! 外に出ると、グリーンの層が見えません! アブソルヴェールは内側からしか見えないんですね」


「そのとおりだ。――そうだ、リオ。一度試しに撃ってみな、本気のクライメアを」


 そう言われた瞬間、リオの顔が硬直した。子どもの時も、先日の事も、リオは意図してクライメアを発動させたわけではない。撃てるかどうか自信がないのか、リオはその場で立ち尽くしてしまった。


「リオ! このあいだのように本気になってみろ! 先生のアブソルヴェールを信じて撃ち込んでこい!!」


 アレンが言うと、リオは右手首を左手で掴み、手のひらをこちらに向けた。


 見たことのない険しい表情……リオは本気だ……


「ク……クライメアっ!!」


 リオが叫んだ直後、手のひらから勢いよく豪炎が噴射された。ゴゴゴゴ……という大音響と共に、アブソルヴェールをビリビリと振動させていく。私は思わず両腕で顔を覆ったが、それでも視界は炎で真っ赤に染まっていた。


「凄いじゃないかリオ。アブソルヴェールを振動させるなんて大したもんだ。文句なしの合格だよ」


 ミレルはそう言い、アブソルヴェールを解いた。アブソルヴェールの外側だった部分は、円形状に芝生が燃え尽きている。


「せ……先生が言っていたように、本当に俺のクライメアを超えたのかもしれんな……リオにこんな力が閉じ込められていたとは……」


「落ち込むことはないよ、アレン。お前はクライメアだけじゃなく、ブレア(衝撃波)も持っている。お前の量術だって、一流も一流だ」


 クライメアを放ったリオは、自分の手のひらをいつまでも眺めていた。

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