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ep38:新しい私

「さて、最後はサリアだね。こちらにおいで」


「良かったなサリア。お前だけそのままだと、可愛そうだなって思ってたところだ」


 レクトは変なところで優しい。私はフッと笑ってしまった。


「最初に言っておくが、サリア。お前の量術は開放しても、レクトのように大きな変化はないし、面白みもない。――ただ、使い方によってはお前の量術が一番危険なものになる。それでも構わないね?」


 私の量術が一番危険なものになる……


 でも、先生が開放してくれるんだ。きっと必要なものに違いない。


「大丈夫。どうなるのか、なんとなく想像はついてる」


 私はそう言って目を閉じた。


 頭の上を、ミレルの手がすべってゆく。ああ、なんだろう……私の中を全て覗かれているような、この感じ……


 息を止めてという、ミレルの言葉の直後、私の中で何かが解き放たれた。


「お、終わったんですね? 先生、サリアさんもレクトくんのように新しい量術を得たんですか?」


「いや、サリアのイレイズは、イレイズのままだよ。――ただ、今日からのサリアは消せないものがなくなった。他人の量術でも、人の命でさえも」


 やはり、そうか……


 幼い頃から、人に向けてイレイズを放てば、消えてしまうイメージを鮮明に思い浮かべることが出来た。本能的に、自分の力に気付いていたのかもしれない。


「と、とんでもないな……セレスタを消し去っただけでも、驚異的な力だったのに……先生がこいつらに鍵をかけていた理由がよく分かる……」


「そ、そういえば兄さんは? 兄さんには鍵はかけていなかったんですか?」


「アレンはオルマーシャ孤児院に入った時、すでに六歳になっていたからね。鍵をかけるには大きくなりすぎていたんだ」


 そうか……だからアレンだけは、幼い頃から才能が飛び抜けていたんだ。


「先生……私たちに鍵をかけていたのは、私たちが力をつけすぎると殺されるかもしれないから?」


 ミレルは「そうだよ」と微笑んだ。

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