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ep01:地球へ

挿絵(By みてみん)

「二百年後にヴェルミラが消滅するだなんて……未だに僕は信じられませんよ」


 宇宙船から、母星ヴェルミラを見下ろしリオが言う。青々とした海を湛えるこの星は、今もヴェルミラの人々が住んでいる。リオの言う通り、数百年後に消滅してしまう星にはとても見えない。


「しかしまあ、やっとの思いでヴェルミラ統律院(とうりついん)に合格出来たってのになあ……初の任務が、人体実験か……」


「なっ、なんてこと言うんです、レクトくん。僕たちの任務は人体実験ではなく、惑星調査です。ワ・ク・セ・イ・チョ・ウ・サ」


「——まあ、合格ラインにギリギリ引っかかった三人には、お似合いの任務ってことなんだろうけどさ」


「まあまあ。他の合格者たちと違って、僕たちは攻撃力皆無なんですから。調査の任務を与えられただけでも良しとしましょうよ」


 ぼやくレクトに、リオはそう言って笑った。



 私、サリアを含めた三人は今、セレスタという宇宙船に乗っている。目的はヴェルミラの代わりになる、地球という星の調査に出るためだ。


「で? その地球ってのは、俺たちこのままの姿で問題ないのか?」


「ちょ、ちょっと、レクトくん……渡された資料に目を通してないんですか? 信じられないんですど……」


 リオはそう言うと、ため息を一つついてから地球の説明を始めた。


「ヴェルミラと地球の大きさはほぼ同じ。公転にこそ少しの差がありますが、自転に関してはほぼ同じだそうです。さらに驚いたことに、大気成分も99.9%同じなんですよ。そのせいもあってか、地球人の見た目は僕たちとほとんど同じなんです」


 モニタに映し出された地球人の映像を見て、レクトと私は「おお!」と声を上げた。


「ま、まさか、サリアさんも資料に目を通してなかったんですか……!? 先が思いやられます……あと、映像を見ても分かるように、男女の違いもヴェルミラ人と変わりありません。あとは言語だけ『量術(りょうじゅつ)』でインストールしてしまえば、地球人と同じように生活出来ると思われます」


 量術とは、量子を操ることで空間や物体、そして生物に影響・変化を与えることをいう。インストールする地球の言語でいうと、魔法や魔術というものが近いのかもしれない。ヴェルミラ人のほとんどは、この量術というものを使うことが出来る。


「そうは言うけどさ、リオ。直前に決まった任務だし、資料をもらったのなんて昨夜だよ? リオくらいマメじゃないと目なんて通さないよ」


「そうだよな、サリア。――にしても、普通ってこんな急に任務が決まるものなのか? 俺たち以外の準備はとっくに済んでたみたいだし」


 レクトの言う通りだ。地球では様々な手配がすでに済んでおり、私たちの家まで用意されているという話だ。


「そこは少し引っかかりますよね……秘密裏に進めていた任務だからってことなんでしょうけど……」


「――まあ、初任務が幼馴染の三人で良かったよ。量術の点数が最下位だったリオも一緒に来れたことだし」


「そ、そこで……試験の結果出してくる必要ありますか? ――言っておきますが、僕の量術はレクトくんと違って、ハッタリなんかじゃありませんからね」


「なっ、なんだと! 俺の量術のどこがハッタリだってんだ! お前、言っていいことと悪いこと……おおっ」


 その時、『ズウン――』とセレスタは大きく揺れ、コンピュータがアナウンスを始めた。


『セレスタ号、量術充填完了です。シートベルトを今一度確認してください。しばらくで、地球へ向けてワープを開始します』


「――おっ、おい。なに、クスクス笑ってんだよサリア」


「いや、レクトの量術がハッタリての、上手く言ったなって思って。ハハハ」


 レクトは「フンッ」と大きく鼻を鳴らし、ドスンとシートに深くかけた。


 まあ、そういう私の量術も褒められたものではないのだが。


 そんな事はさておき、いよいよ私たちの初任務の始まりだ。


 地球――


 一体、どんな星なのだろうか。

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― 新着の感想 ―
Ahahah, looks like I need to add more space warships and new technology to my novel... If Earth Al…
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