見て見ぬふりをするよ
学校に来た僕は自分の席に行った
自分の席がなくなっていた
そういえば今日からないんだと気づいて廊下に出た
みんな挨拶をするけど、僕には誰もしてくれない
まるで透明人間になったかのように
2年4組の前で、無視をされてる女の子がいた
「ねえ、ねえ、ねえ」
その後は声を喉に詰まらせて、しゃべるのをやめた
必死に何かを訴えるように僕の方を見た
2年3組の前で、教室に入らせないように通せんぼされてる女の子がいた
「こっち来んなよ」「お前の居場所じゃねえよ」
手で押されたり、足で蹴ったり
必死で何かを訴えるように僕の方を見た
2年2組の前で、暴力を振るわれている男の子がいた
プロレスの技だから、それの練習につきあってあげているらしい
「痛いよ」「大丈夫だよ」「痛いよ」「大丈夫だよ」
泣きそうな顔、力のない声
必死に何かを訴えるように僕の方を見た
2年1組の前で悪口を言われる男の子がいた
「ブス」「臭い」「人間じゃない」「ダメ人間」
「価値のない」「地獄に行って」「誰もあなたを望んでいない」「心臓の無駄遣い」「死ね」
真っ赤になった目から涙が出て、震えて消えそうな息、血の抜けたような体
僕の姿に気づくと必死に、その赤い目をこっちに向けた
僕は、声をかけずそこを立ち去った
走馬灯をみてるようだった
その4人とは明後日にでも、友達になるつもり
傍観者の気持ちがよくわかった
そして僕はまた屋上へ向かった
いじめはやめよう