8.保管庫!
元鉱脈から、私達は次に魔脈に一番近い保管庫へ。
「だいぶ、降りましたね」
肌寒い程に辺りの温度が下がり、湿っぽく、暗闇で奥が見えない細い道をひたすら歩いて行く。
「寒くはないかしら?」
「ちょっとだけ寒いです」
「私のローブの中にでも入る?」
師匠は白いローブを広げて、私に入って欲しそうな顔をする。
それを見て私はそれぐらいならと、師匠のローブの中にゆっくりと入る。
「失礼します……温かい」
中は何故か温かく心地良い。
「魔法を使っているんですか?」
「ええ」
師匠は頷き私の手を優しく握ってくれたので、私も握り返しそれから数分歩いて、鉄の扉の前にやって来た。
「ん……」
ニャーカさんが軽そうに鉄の扉を開き、中へ入ると……
「広い、ですね」
物凄く広い部屋に出た。天井も壁もランプだけでは見えず、暗闇が奥まで続いている。
そして鼠色の岩の床には、無数の金や銀。宝石や色々な原石なんかがあり、
「これは……ぬいぐるみ?」
誰のものか分からない、ぬいぐるみ等の雑貨なんかも綺麗に保存されていた。
「ん……魔脈。古くから、才能、運、能力、上げる、信じられて、きた。魔脈の、魔力を、吸った物も、同じ」
ニャーカさんの説明を聞いて私は納得し、保管されている物を更に見る。
「服、鞄、あっ、魔法の杖まで。本当に沢山ありますね」
私が、師匠のローブの中から視線を動かして物を見ていると、師匠は微笑みながら私の頭を撫でてきて、
「カランコエ。魔脈にこんなに近付ける機会なんて滅多にないから、いい経験したわね」
優しくそんな事を言ってくれる。だから私も笑って、
「はいっ!」
大きく頷き、それからしばらく保管庫を見たあと、私と師匠とニャーカさんは縦穴まで戻った。
◆
「や、やっと太陽の光が……」
縦穴の底に戻る頃にはもうクタクタで、久しぶりの太陽に少し感動する。
と、ニャーカさんは、
「ん……おつ。バイバイ」
また来た道を戻って行って、ランプの光と共に暗闇に姿を消した。
私はなんて逞しさなんだ、と尊敬しながらも上までどうやって上がるのかふと気になって、
「師匠、上までって……」
私が首を傾げて聞くと、師匠は平然と疲れなんか全くない顔で言ってくる。
「もちろん、飛ぶわ!何なら、もっと上に行きましょうか!」
「し、師匠っ!きゃあ!」
そして飛び降りた時と同じ様に、私を師匠は抱きしめて物凄い速度で上へと上がって行き、
「カランコエ。ほら、目を開けなさい」
速度を感じなくなった時、師匠に頭を撫でられて私は目を開け……あまりの高さと雲の近さに師匠を思いっ切り抱きしめて、絶叫する。
「し、師匠っ!騙しましたね?な、なんで、空の上なんですかっ!」
「大丈夫、大丈夫。私がいるもの。カランコエ、何でも慣れよ。ここから見た『ガイア』、凄く綺麗よ」
しばらく目を瞑っていた私だったけど、師匠の言葉をなんとか信じて、ゆっくりとまた目を開けてみる。
するとそこには、草の緑と、崖なんかの鼠色の岩と、黒ずんだオレンジ色の屋根が沢山見えて、
「……き、綺麗ですね」
私は思わず言葉を漏らした。
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