15.揉み揉み!
魔物に襲われた後は特に何事もなく時間が流れ、日が沈んだので野宿をし朝に。
そして、大地の国を出て三日目。軽くパンを食べた後、いつも通り朝から歩き始め、昼になる頃には景色が変わらない変な森を抜け、苔が森一面を覆って川のせせらぎが聞こえる湿度の高い不思議な森へと変わり始めた。
「滑らない様に気を付けるのよ?」
「はい」
深い緑色の丸い岩が転がっている道無き道を、師匠の手をぎゅっと握ってゆっくりと歩いて行く。
やがて少し経つと、森は木がまばらになり太陽が差し込む幻想的な姿へと形を変える。
「ここまでくれば、後一時間ってところね。カランコエ、このまま歩く?それとも一旦休憩しましょうか?」
「えっーと……休憩したいです」
「分かったわ。ここでちょっとゆっくりしましょう」
師匠の言葉に私はお腹が空いたので休憩を入れてもらい、師匠が出してくれた甘いパンを頬張りのんびりする。
そんな私の姿に師匠は優しく笑い、
「カランコエ。足、疲れたでしょ?揉んであげるわ」
私の足に手を伸ばしてくる。でも私は申し訳ないなと思って、
「えっ?わざわざ大丈夫です」
確かにちょっと疲れてはいるけど、首を横に振る。
「心配なのよ、カランコエ。ね?」
すると師匠は、相変わらず心配そうな演技で私に顔を近付けて首を傾げてきたので、
「な、なら、お願いします」
渋々折れて頷くと、師匠は喜びながら私の足を揉み出す。
「ふふ、カランコエの足は柔らかいわね。ぷにぷにしていて、弾力があって、ずっと揉んでられるわ」
「し、師匠……やめてください。変な事言うの」
「だって本当の事なんだから。若い体って感じがするわ」
「し、師匠も若いと思いますけど……」
「あら。ふふ、嬉しい事言ってくれるわね」
私の言葉に揉む力が少し強くなり、なんだか足が少しずつ温かくなってくる。
「痛くはないかしら?」
「はい、大丈夫です」
優しくて気持ちが良くて、甘いパンを食べ終わってからも数分間師匠に足を揉まれて、
「よし!カランコエ、そろそろ行きましょう」
「はい」
師匠が立ち上がって私に手を伸ばしてきたので、その手を握って立ち上がる。
「足が……凄く軽いです」
足を動かしてみて始めて疲れが吹き飛んでいる事に気が付き、その感覚に驚きながら言葉を溢すと、
「なら良かったわ。心を込めて揉んだから。さぁ、カランコエあと少しよ」
師匠は嬉しそうにそう言って、私の手を優しく引いて歩き始めたので、私はそれに付いて行く。
そうして、森を抜けて完全に空が見えるようになると、少しずつ地面には花が咲き誇り色とりどりの花が揺れる花畑へと景色が移り変わり、
「着いたわよ、カランコエ。花の国、『アンサス』へ」
師匠が花畑に負けないぐらいの笑みを私に向けて、楽しそうに言ってきた。
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